キビレ / 魚は大物 / 釣り人は小物

Title : 60メートル遠投の大物

 

 

今年1月18日に釣り上げたキビレ ( 黄鯛 ) 46cm。

網を足元に置き、すぐにキビレと分かりましたが、

周囲のオジイチャン数名が口々に黒鯛だ!クロダイだ!と大騒ぎ。

訂正せず曖昧な笑いを作る自分が

小さい…。

厳寒期の大物スズキ / 大物シーバス

Title やり取り約20分

 

 

先日、東京に初雪で交通機関に遅れ。その前日愚かなる私は海辺の堤防で性懲りもなく釣りをすること2時間半。上の写真は日没18:20過ぎ、浮き仕掛けに猛然と食らいついた大物78㎝のスズキ。

 

 

 

この大口を見て下さい。私の手首までスッポリ入り、口の中で開いて閉じて運動が出来る程のフライ料理最高美味なる海の幸。

日没直前に釣れたのはスズキの幼魚。セイゴと呼ばれるサイズで約18㎝。海底に沈めた仕掛けには約20㎝のマコガレイ。

 

 

 

21㎝のメバルはもう少し大きくしてから煮付けようと持ち帰り水槽飼育。4月~5月辺りにいただきます。これは黒メバルで最高に美味。店で売られているものは赤メバルで数段味は落ちます。

真冬のスズキ釣り / 堤防釣り

Title : 玉網とスズキ

 

 

先月5回の釣行で上げたスズキです。こうして写真を並べてみると同じ1尾を何枚も撮影したように見えますが全て別個体です。私にはルアーマンのようにシーバスと呼ばれるスズキとゲームを楽しんでいる感覚はありません。彼らルアーマン(擬似エサ使用の釣りをする人)は大物が釣れても優しくリリース。私の様に食い意地が張っている者は漁感覚。新鮮な焼き魚やフライが食べたいばかりに12月の真夜中、寒さで卒倒しそうになりながら釣りをしているのです。

7月はカタクチイワシ(イリコになるもの。写真D)をサビキ釣りで釣りまくり、刺身で頂きました。100尾ほどを捌くのは大変ではありましたが、小口ネギと生姜醤油で食べる映像が私を励まし続けてくれました。カタクチイワシも私に劣らぬ食いしん坊、コマセを詰めた網の中に入り込んで食べていたりします。

11月はセイゴ釣り(写真B、18~50㎝。キスも混じってますが)。スズキの幼魚で、下から斜め上へ上昇するエサに食いついてきますから、そういう誘い掛けを竿先で。1時間50尾ほど釣れ、針を飲み込んでいないものはリリース。

たまに嬉しい外道もかかります。コショウダイは高級料亭に出る希少価値のネタ。写真Aは28㎝と小ぶりですが、旨さ抜群、甘味があり焼き魚にして絶品。

写真Cはマアジ26㎝。日没直後のサビキ釣りで8尾を6分間で上げました。こここ、これは凄い!とやる気満々になりましたが、回遊してきたのはその1回のみ。あとは待てど暮らせど音沙汰無し。釣りたてのアジは全身虹色に光り輝いています。刺身と焼き魚でペロリと完食。

写真Eは、逃がして欲しさに、アジ待つ私の背中に向かって声を枯らさんばかりにフレー、フレェーッ!! と応援し続ける石蟹(甲羅コブシ大)。哀れさを誘い蟹汁諦めリリース。

 

 

 

カサゴの数釣り / ロックフィッシュ / あやかりたい生命力

Title : 戦国武将魚

 

 

今年1月に2回釣行。カサゴさんアナゴさんの釣果です。外道では30㎝ほどのセイゴも多く掛かりました。それにしても寒い!、足先の感覚皆無。途中、自転車のオマワリさんにも職務質問されました。

「寒いでしょ?」「ええ」「釣り好きなんだ」「というよりカサゴとアナゴが食べたいんです」

オマワリさんも釣り好きで、郷里に帰ると波止めブロック(沈みテトラ)に糸を垂らしてイセエビを釣るそうです。ひえええ羨ましい!。

写真右上下は、持ち帰ったカサゴを氷から出し塩水張ったタライに入れたところ。わずか数十秒で仮死状態から復活!。釣り座から帰宅まで2時間、もの凄い生命力です。夏場8月は海水水槽で飼育しているカサゴはことごとく酸欠死します。暑さには非常に弱いのです。

メジナ幼魚 / 環境で違う体色

メジナ幼魚のエメラルド体色バージョンとコールタール体色バージョン!。黒い体色のメジナに比べ緑色のコチラさん、明るい色合いだけあって本来の縦縞模様がよく分かります。お札の透かしさながらであります。住んでいる環境下で体色が劇的に違うような印象があります。このサイズは早く大きくなりたくて食欲はモーレツ!。竿を置きっ放しにしていると鍼(ハリ)を呑んでしまう確率が高くなってしまいます。そうなるとエラや内臓が傷ついてリリース出来ません。アタリが出たら即アワセ(魚の口にハリを引っかけること)して、健康体で海に戻してあげたいものです。

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ママカリはいかが?/ サッパの酢漬

 

 

 

海釣りが初めての人でも、比較的簡単に魚が釣れてしまう。それを実現させてくれるのがサビキ釣り。冷凍圧縮されたプランクトンを解凍し、小さな網や器に入れて仕掛けにくっつけるだけ。仕掛けを海に投入し、竿を上下に軽く振っていると、海中にプランクトがワラワラ出ます。出尽くしたら再び詰めて上下振りの繰り返し。

そうこうするうち、やがて回遊魚軍団がコーナー回って直線コース!。あとはコッチのもの、一早く発生(魚にはそう見える)したプランクトン煙幕見つけて突っ込んできます。回遊魚は泳ぎながら捕食し決して立ち止まりはしませんから、結果的に掛かったハリを強く引くことになります。判りやすいアタリですよね。当然群れなので1度に何尾も数珠繋ぎ(じゅずつなぎ)で上がってきます。連なった銀色が、陽光を受けてツイストする様は子供達をエキサイトさせずにはおきません。

サビキ(上下誘いかけを、さびく、と言うことから)釣りに使用されるプランクトンはエビ(体長7mm程度)。これを大サジスプーンで30杯くらい、せっせと入れ物に詰め込みます。仕掛けには何本も鍼(ハリ)がついていて、ハリ自体がプランクトンに見える装飾が施されていますから、ハリにエサを付ける必要はありません。 “ママカリはいかが?/ サッパの酢漬” の続きを読む

薄紅リップ魚 / ウミタナゴ

 

 

 

海釣りを初めて間もなく、海タナゴなるものが釣れました。小学生の時分、たびたび沼でタナゴを網ですくったものでしたが、なるほど何となく似ています。前者は淡水魚ですが川タナゴとは呼ばれません。コチラは海タナゴ。しかしながら、ど~もシックリきませんねえ。海で川魚を釣っている気分です。釣れたてのウミタナゴは赤身がかった美しいピンク色をしていて気品があります。陽光の角度で銀色に早変わりも出来ますね。

初めて釣りあげた時は真鯛かと思いました。そう思った人は意外と多いようです。タイだ、タイだと小躍りして悦び、周囲の誰かに違うと指摘されガッカリ。タイとは似ても似つかぬオチョボ口。しかもほんのり薄紅色の唇で、どことなく女性的なイメージのある魚です。エビが好物なようで、サビキ釣りのオキアミ、ボイルエビなどで比較的釣果を稼げます。 “ 冬来たりなば、春遠からじ ” の頃によく釣れる印象がありますが如何でしょうか。体高があるので20センチでもなんだか大物を上げた気分にさせてくれる思いやり深いお魚です。

捌いてみると小骨が多いのでシロウトでは刺身だと手こずるかも。塩焼きなら何とかなりそうです。水っぽいから苦手だと言う人もいれば、干物にしたら旨いと言う人も。好みの分かれる魚です。魚の味に敏感なネコさんに判断を仰いだこと3度(みたび)。食べやすい15センチサイズだったのですが、またいで無視の、ネコまたぎ。アッチャー~ッ!。

 

◆海タナゴ24センチ。ドングリ浮き1号にハリス1号、チヌ1号鍼(ハリ)。

 

サヨリストより黒鯛

 

 

 

ここ2~3年前から、ボクの釣り座でも突然サヨリが釣れるようになりました。サヨリなど全く縁がないと思っていただけに相当ビックリです。近年のシリヤケイカブームといい、やはりこれも異常気象だとか海の環境の劇的変化が原因でしょうか。喜んでばかりはいられませんね。

釣り上げたサヨリを調べてみると、センニンサヨリが正式名称ということでした。写真で見ていた口先の赤色長楊枝、固いかどうか1度触ってみたかった!と試してみるに固くもなく柔らかくもなく…。

堤防から1~2メートル辺りの水面にサヨリの群れが見えている状態はいささか戸惑いましたよ。姿が見えている魚は絶対に釣れない、がボクの経験値でしたから。信じられないほど小さくて細い鍼(ハリ)なんですねえ、サヨリ仕掛けのソレは。鍼に解凍アミブロック(プランクトンのエビをレンガ状に圧縮したもの)のエビを4~5匹付けるのですが、エビがフニャフニャで付けにくいこと甚だし!。イライラする程です。

「これじゃソッと海面に落としただけでハリから取れてしまうんじゃないですかね」と隣で高見の見物決め込むオジイチャンにボヤいてみせたところ「大丈夫だようー。エビが取れたってハリに1~2匹残ってれば釣れるようー」と余裕の笑み。この方は去年この場所で大きなサヨリをツヌケ(2ケタ)爆釣したとのこと。ベテランが言うからには、とポチャッ。たちまちサヨリの群れが右往左往、次の瞬間、軽くククククッと引き有り!。

サッと竿を上げるとピチピチ躍動しながらサヨリが上がってきました。手早く外してバケツにポチョン。人生初、サヨリストになっちゃいそうだなと興奮気味で第2投。再び群れが右往左往。でも空振り。次も空振り。なんてこったい、エサ付いてんのかね全く!。 “サヨリストより黒鯛” の続きを読む

レア物グレ / お宝は突然やって来る!

 

 

 

釣りをしていると、嬉しいやら悲しいやらの釣果結果が連続、というホロ苦甘い経験を数多く積み重ねることになります。狙った魚は何故だかサッパリ釣れず、何でコレがやって来たのか甚だ理解に苦しむという魚が上がってきたりします。

どこかの有名な言葉でしたか “ 釣り人とは、さも見てきたように海の中を語る者 ” というのがあるそうです。ゲラゲラ!、全くその通り!。コレコレしてるんだからソレが釣れないのは全く変!とか皆様勝手に叫んでおりますが、魚にしてみれば「何トンチンカンなこと言ってんだ、愚か者がーッ!!」でありましょう。人間のトンでもない驕り(おごり)というものです。

今回ご紹介しますのは尾長メジナ(通称尾長グレ)。堤防釣りでいつも、しょっちゅう、アッチでもコッチでも釣れているのが口太グレ。滅多に釣れないのが尾長です。これは東京湾近辺の話で、他もそんな傾向なのかどうかは分かりませんが…。

夜7時頃に浮きが沈みました。引っ張る感じでアアこれはメジナさんがいらっしゃったのだなと。慎重にやり取りしてタモ網に入れようと海面を覗き込んでみましたら、闇に浮かび上がるは真っ白ケな魚体!。

何だコレ?。

頭の中でスライドショー開始。ハイ終わり。検索結果に該当者なし。何だべ何だべとすくい上げてみますと、ん?。コレもしかして尾長?

ガーン!!、ガーン!!、ガガーン!!、ガンガガーン!!。 “レア物グレ / お宝は突然やって来る!” の続きを読む

魔法のメジナ / 川崎の浮島釣り園でメジナと遊ぼ

この写真はメジナです。堤防釣りをする人には古くて新しいお友達。体格差なりの重量感があって、アタリ(魚が掛かった時のリアクション)があると、釣り人らに「んッ!!、結構デカいんじゃないかコレは?!」と罪深い夢を抱かせやすい魚でもあります。メジナは大抵、堤防コンクリート壁に張り付くように居ます。昼でも夜でも釣れます。ウロコは異様に硬くて包丁で卸す時はバリバリ音がする程です。岸壁の重戦車、といった風貌。すごくおいしいと言う人と、磯臭くて苦手と言う人に分かれます。堤防で釣れるメジナは大体10センチから40センチ前後、25センチ前後が釣れるところををよく見かけます。ボクはムニエルにして食べるのが大好きです。

メジナには色々な思い出がありますが、ここでは印象に残った愛らしいエピソードを紹介したいと思います。

ハイヌーン、八月灼熱の釣り座。長さ約300mほどの堤防に20名程の釣り人達。大学生から壮年まで、ジリジリと肌焦がす炎天下に歯を食いしばりつつ竿さばき。しかし過酷な暑さが皆の口を開かせてしまう。鼻の孔からだけではダメだ、口からも酸素を吸収しなければッ…。

首にまいたタオルは既にビチョ。それでも額から噴き出す汗を、無意味と知りつつソレでぬぐい取るボク。ぬぐった傍から等分の汗。額をぬぐう時に麦わら帽子が上に押し上げられアミダかぶりとなるのだが、その図をボクは愛せない。またそういった姿になっているのかと思うとガッカリだが、誰も人のことなど見てはいない。暑さの中ガンバっているのに誰の竿にも魚が来ない。ボクら同様、さっきまで辛抱強く繁みで待機していたネコも、小アジのおすそ分けを断念し席を立ってしまった…。

これはホビーとは程遠い。もはや苦行以外の何物でもない。釣り人達が密かに恐れる魔の刻、まさにそれが今なのだ…。そう思った時、ボクの隣にオジイチャンと孫娘が到着。赤銅色に日焼けしたオジイチャンとピンクのTシャツ着た小学2年生くらいのオチビちゃん。ああ…また犠牲者が…。苦行フェア開催中です…。

ボクの竿から5mほど離れたところに置き竿、オジイチャンはそそくさと30センチ幅のフェンス影まで撤退。竿元で元気にピョンピョン跳ねているオチビに手招き。オチビ無視。子供の言い知れぬパワーには脱帽だぁ~、と左腕に噴き出した大量の塩を右手ではらうボク。

「ジーチャン、釣れたよ!、お魚釣れたよ!」 “魔法のメジナ / 川崎の浮島釣り園でメジナと遊ぼ” の続きを読む

汽水域 / ハゼ釣り

 

 

 

ボクが生まれて初めて釣り竿を振ったその日、初釣果は15センチほどのマハゼ。巷(ちまた)で言うハゼ釣りとは、このお方を釣ることです。特に釣り好きではない人も、ハゼは釣ったことがあるという話をよく耳にします。そーでしょう。簡単に釣れます。次々に釣れる傾向がありますから釣ってて飽きません。大きな本格的な竿も必要なく、簡易釣り竿で十分釣れるので子供達にも楽々です。手頃な大きさで大人しく、食べて美味。捌くのが面倒なら、そのまま衣をつけて天ぷら。手間いらずな人気者。海に注ぎ込む河川域なら浅くても十分釣れます。

満潮と共に河川に流入し、干潮と共に海へと戻ってゆきます。もっともこれは、ある程度ハゼの体が出来てからの話で、小さめのハゼは天敵を避け成長するまで河川に留まっています。お腹のヒレを吸盤代わりにして底の障害物に張り付いてますが、これは流れの速さに対抗するため。遊泳能力が劣るというのも理由でしょうか。

釣りをしていない時分、夕暮れ前にボンヤリ川岸を眺めていたら、約2センチほどの黒い稚魚の群れが固まって移動してゆくのが見えました。200 ~ 300尾くらいでしょうか。水深は約30センチといったところ。幼少時代の魚採り感覚が復活し、翌日の同時刻、同場所、100円ショップで購入した捕虫網構えて待機。

しめしめ、やって来た!。眼にも止まらぬ速さですくえば最低でも10尾程度は入るはず。ソレ今だッ!。やった!。どれどれ。アリャッ?!。網を覗けばカラッポ。群団はどこだと見回すも、辺り一面姿なし。今すくった場所に留まっているのか?。川底の砂泥ごとすくったので水が黄土色に濁ってしまい何も見えない。しばらくして半透明になったので目を凝らしてはみるものの、やっぱり姿なし。

後日確認しましたが、彼らは猛スピードで砂泥に突っ込み潜ったのでした。考えてみれば簡単な理屈。透明で浅い岸辺を移動するのです。何の防衛策もなければ種はとっくに絶滅ですもんねえ。

◆マハゼ16センチ。夏場のハゼ遊び釣行にて。1時間で45尾。仕掛けは市販のハゼ仕掛け。

 

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シルクロードのお魚さんと天ぷらチビ / コショウダイ

 

 

 

堤防釣り竿師達の憧れトップは何といっても黒鯛!。クロダイ、チヌ、どっちで呼ぶにせよ釣り座の王様NO1!。釣れて「おめでとうございます」って周囲からお褒めの言葉を頂戴出来るのは黒鯛だけ。しかしながら、ボクにとっての王様は黒鯛ではなく胡椒鯛(こしょうダイ / 体紋が胡椒の粒に似ているところから)。何だそりゃって、どうもすいません。

ボクはこの魚の容姿が大好き。まるで観賞魚の様なお洒落模様。かつて貴重な香辛料を求めてシルクロードが生まれましたが、この鯛もまた御多分に漏れず、釣り人にとっては非常に貴重な香辛料も同然なのであります。かつて、これを釣り上げた人々に別月日で3度尋ねられました。皆さん異口同音、「これ何?。変なの釣れちゃったよ!」。

最大60センチになるとの記載あり。場所によりでしょうが、釣り座で上がるのは15~30センチといったところ。アイナメと同じく狙って釣れることが少ないお方で希少価値あり。ボクがコショウダイを上げたのは過去3度。17、20、24センチと幼魚サイズばかりなり。24センチの時のみリリース出来ず食べてしまいました。

1度食べてみたいという日頃の思いが強すぎましたネ。反省しつつも満足。というのも大層美味だったからであります。小ぶりな割には肉厚!。しかも甘味があってムニエル大正解、上品な味だと思います。何せ過去3度の小物釣果、情報あんまり提供出来なくて申し訳ありません。オマケとしてボクが唯一上げたメゴチ写真を掲載します、って再び何だそりゃ!。天ぷらで有名なお方ですよネ。

ボクは極小鍼(ハリ)を使わないブッコミ釣り師なのでメゴチが釣れないのも至極当然、狙ったわけではなく外道(本命とは違う魚、の意)でしたが、何という愛らしさ!。可愛くて食べちゃいたい!を即実行!。僅かな身とはいえ非常に美味!、キスにも負けズ、のお味でありました。

 

◆コショウダイ24センチ。スパイク天秤20号をヘチで真横ズル引き。仕掛けはイシモチ仕掛け2本鍼(ハリ)。下、メゴチ15センチ。キス天秤にナス錘15号、チヌ1号鍼自作仕掛けを遠投20メートル。手前にゆっくりズル引き。1尾のみの釣果。

 

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1発カマス?

 

 

 

カマスを釣りました。もとい。カマスが釣れてしまいました。かねてよりカマスなる魚を1度は上げてみたいと心密かに思ってはいましたが、ボクの釣り座では常連釣り人サンから「余り釣れないみたいだよー。上げるのタマに見るけど小っちゃいの。こんくらい~」と二指で12センチ辺り広げて見せられるが関の山。そのサイズならボクも何尾か引っ掛けたことあります。アジやイワシ狙いのサビキ仕掛けに掛かってくるのです。

カマスといっても幼魚ですから、釣り人たる者、カマスを釣ったとは言えませんねえ。これはどんな魚種にも言えること。オチビちゃんはリリース鉄則がお約束です。大人のカマスはどう釣るか。春から初夏にかけてが狙い目だとか。色々な釣り方がありますが、最も効率が良いのは、弓角と呼ばれる魚を模した擬似エサを海に向かって放り投げ、沈ませながら引いてくる釣り方。

もちろん、あたかも魚が泳いでいるとカマスに勘違いさせるような操り方でなければなりません。泳がせるスピードや泳がせ方は釣り座によって違うようです。潮の流れ方だとかカマスの主食の違いでソレは変わるものだと思います。

ボクの釣り座でも大人カマスが全く釣れないというわけではなく、稀に40センチ弱の大物が釣れてしまうこともあると聞きますが、未だ目撃経験なしで半信半疑でありました。が、。が、。突如ソレが上がるのを自身で目撃してしまいました。我が竿に掛かって下さったのです!。へ?。キョトンとしましたねえ。

「何だコレ。カマスに似てるけど」。視力低いボク、目の前にたぐり寄せてビックラコンですよぅ!。だってシリヤケイカを狙ってドヘチ(堤防壁スレスレ)に仕掛けを落としてたんですから!。カマスはヘチから少なくとも5~10メートル位に仕掛けを投げて引いてくるものだとばかり思い込んでましたから。仕掛けの擬似エサは浮きスッテでした。ラッキーだったのは、この浮きスッテのカンナにはナナナント、カエシ(返し)が付いていたのです。

非常に珍しいスッテではありませんか?。ボクも釣具店で見つけた時は失笑しましたよ。魚とイカ兼用だなんてねえ、と…。反省致します。我が手にカマスさんをもたらしてくれたのですから…。コレを投げては手前に引いてくる、を暫く繰り返しておりましたが、お目当てのイカはサッパリ釣れず、休憩しようとヘチ壁に置竿にした直後のアタリ(魚がハリ掛かりしたというサイン)でありました。

肝心のシリヤケイカは釣れませんでしたが大満足。早速持ち帰り捌いて塩焼き。至福の味とは正にコレ!。以降、カマスさんとはズ~ッとご無沙汰。トホホ。

 

● アカカマス30センチ。ドヘチにて浮きスッテ置竿、ハリス3号。水深約8メートル、底切り約30センチ。

 

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出世して鈴木さん

堤防釣りをする人達に根強い人気を誇るスズキ。手応えガッツリでエキサイティング!、だけではありません。堤防で結構な数が釣れる大物魚(70センチだ、80センチだなどと!)といえばスズキだけ。ホシザメやアカエイなんてのは1メートル近くありますが、こちらは無脊椎で魚さんじゃありませんもんねえ。

スズキという魚は、日本だけではなく世界的にも大人気。フレンチ、イタリアン、最高峰の魚料理として欠かせない存在です。赤身魚の味でも白身魚の味でもない、スズキはスズキといったオリジナルティスト。クセが有るよで無いよな味覚、引き締まってるよで、ないよな食感。つまり、スズキは自分の可能性を限定しない魚なのだと思います。シェフの調理で変幻自在、一皿一皿いかようにも。新たなる魅力を繰り出してくる引出しの多さには思わず脱帽せずにはおれません。

日本人の姓で鈴木名は多いですよねえ。スズキは海だけではなく海続きの河川でも釣れますから、アングラー(釣り人)達には狙えるポイントてんこ盛り。大抵の人は自分なりのマル秘ポイント持っているものです。さすが日本の鈴木さん。

スズキをシーバスと呼ぶアングラーのほとんどはルアー釣りをやる人達。ルアーとは、魚が好む虫や魚ソックリに作られた擬似エサ。それを絶妙な竿さばきで操り、あたかもソレが生きているかの様に演出し魚を陥れるのです。 “出世して鈴木さん” の続きを読む

クリスマス・イヴにカサゴの贈り物

ドラマチックな魚のアタリ(魚がハリ掛かりした時のアクション)や胸躍る魚との攻防を楽しみたい釣り師達にはカサゴの人気はサッパリです。無理もなし。メジナであればハリ掛かりした途端、海底向かって一直線。急角度に潜ろうとしますから、勢い糸はグーッっと引っ張られ竿先が弧を描いて強く引き込まれます。ヒッジョーッにドラマチックなアタリです。スズキであればハリを飲み込むか唇にハリ掛かりした途端、流線形の銀色ボディをギラつかせ、泳ぎを一気に加速!。当然糸は引っ張られ、竿先にグググググーッっと遊泳力が加えられ、一気に人と魚の一進一退攻防がスタートします。小アジやイワシはハリ掛かりしてすぐ、いとも易々と竿片手上げ。ですが、全身をピチピチと激しく振りながら上がってきますから、魚を釣った臨場感はタップリ味わえるというもの。それに引き換え、カサゴさんは。

海底で動くエサにバクッ!。眼にも止まらぬ一瞬の早業(はやわざ)!。ビックリ仰天の大口開きで丸呑み!。エサを仕掛けではないかと警戒し、ツンツンと軽く口先で突いてみる、チョコッとだけカジッてヤな感じがしたら食べるのをやめて泳ぎ去る魚種が多い中、カサゴさんは米粒大の警戒心も用心もまるで無し!。

「アナタは何故、そんな危険な想いをしてまで山に登るのですか?」と登山家に質問。登山家いわく「そこに山があるからだ」、という有名な金言がありますが当に(まさに)ソレ。カサゴさんは目の前に来た餌に反射的に飛びつくようにインストールされているんですね。「そこにエサがあるからだ」なのです。で、バクッと口に入れたのは0・0何秒の神業ですから特にアタリが出ないのです。何の気なしに竿を上げたら釣れていた。しかも糸で巻き上げる間中、直立不動の気を付け!ポーズを崩さない(時にUの字シャチホコ不動の場合あり)。これでは魚の引きを味わいたい人には面白くも何ともありません。

カサゴさんがジッとしている海底の居場所が特定されてしまえば、カサゴさんは次々に釣られてしまうことが多くなってしまいます。その結果、あちこちにあったカサゴさんのネグラはモヌケの殻となり、その釣り座からカサゴさんの姿は完全に消滅してしまいます。何故なら、カサゴさんやメバルさんは成長が非常に遅い魚種なのです。成魚になるのに5~6年もかかります。

釣りを始めたばかりの頃、どんな小さな魚でもいいから1尾釣りたい!と、ある年のクリスマス・イヴ、誰も居ない漆黒の釣り座で寒風に打ち震えながら1人釣り糸を垂れていたことがありました。潮は長潮。長潮は満潮と干潮の差がほとんどなく、魚が最も釣れないと言われている潮回り。ボクはそんなことさえ知らないド素人でありました。横殴りの風が霧雨を乗せ始めた頃、体は芯まで冷え、悲しくて涙がこぼれ、もう帰ろうとションボリ顔でリールを巻き始めた刹那です。

重い…。すごく重い。ボクのオモチャのような小さな釣り竿だからです。凄く重く感じたのは。堤防の壁の上、上がってきたのは直立不動のカサゴさん!。まるまる太った見事な魚体!。25センチの大きさは(帰宅後測定)その時のボクにとってはマグロを釣ったに等しい大きさでした。嬉し涙をぬぐいながら口からハリを外そうとしますが、微動だに動かないカサゴさん。仰天した目で大口開けたまま、タヌキ寝入り?のカサゴさん。気絶してしまったの?」。

クリスマスの奇跡。ジーザスからの贈り物。この時の1尾がなかったら、あの夜を境に、ボクは釣りをやめてしまっていたと思います。

追伸。 やめてもらいたかった。  カサゴ。

 

●写真上。珍しく日没前に釣れたカサゴ19センチ。写真下の2尾、大きい方が32センチの大物。まさにド迫力の大口!。スパイク天秤25号に50センチ仕掛け、ハリス3号吹き流し。カサゴ鍼(ハリ)。餌はイワシのミンチの中にアサリむき身を内蔵。

 

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ビー玉魚 / 川崎浮島釣り園で日没メバル

 

 

 

煮付や刺身が美味しいメバル。その名の由来、一説には “ 目が張る ” “ 見張る” から来ているのだとか。確かに。冗談ではないかと思える程の大目玉、まるで取って付けたようなビー玉アイ。さぞかし物が良く見えるだろうと推察すれば、やっぱり釣り人各位、「メバルは目がいいからねー!。仕掛けミエミエで明るいうちは釣れないよーん!」との声しきり、よーんよーんとコダマする。

ボクとすればやや異議アリ。薄曇りなら真夏の午後4時でも結構釣れました。夜行性が強く、昼より日没から夜の方が良く釣れる、との記述も多いです。それが間違っているとは全く思いません。記述した方々の釣り座メバルがそうなんだと思うのです。去年、初夏2週間に6回釣行、18センチ前後のメバルを8尾ゲット。うち7尾は夕方4時~4時半の収獲、日没後7時代は1尾のみ。やはり、各釣り座でメバルの習慣が違うのだと思います。メバルに限ったことではありませんが…。

ある日の黄昏時、ボクがブッコミ(仕掛けをオモリで海底に沈める釣法)で20センチ超えのウミタナゴをバンバン上げていると、高価なスーツをお召しの貫禄十分な初老男性が音もなくボクの背後に。ズイッとバケツの中を覗き込む。中には9尾のウミタナゴ。顔が合ったボクに「これはウミタナゴというんだよ」と諭す様におっしゃる。「そうですね」。

即座に10尾目のウミタナゴが上がる。鍼(ハリ)を魚の口から外していると、足元の仕掛けをシゲシゲとご覧になった紳士、「ウミタナゴは浮き仕掛け(ボクの仕掛けとは真逆、仕掛けを浮かせる釣法)でないと釣れないよ」とキッパリ。返答に困るボク。だとすれば、今ボクがしている釣りは超常現象なのだろうか?!。

そんなわけで、釣りに “ 絶対 ” はないです。メバルは視力が良いから太い糸だと見抜かれやすいと言われてますが、ボクが上げたメバルは全てハリス(釣り糸)2号。決して見えにくい細さではありません。でもメバルさん達には気にならなかったのでしょう。理由は分かりません。

彼らは海底よりチョット上、頭を上にして体を傾け、頭上を通過するエサを数尾グループで待っています。海底のストラクチャー(岩やテトラ、海藻などの障害物)の中や極く付近で見張っているのです。岩場に居つくことから、カサゴやメバルはロックフィッシュとあだ名されます。釣り上げた時の海底環境によって、ある時は銀色に茶色い縦縞、黄金色に茶色い縦縞、の体色と様々です。なかなか愛嬌のある受け口、可愛らしいですよ。

◆メバル23センチ。寸が詰まって見える程のメタボ君です。キス天秤、ナス錘6号、自家製90センチ胴突仕掛け、モトスとエダス共に2号。鍼(ハリ)はメバル8号。アップダウンの誘い掛け。

 

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穴子バンザイ!! / 似て良し、焼いて良し、最高の寿司ネタ

ふっくら柔らかい穴子。煮て良し、焼いて良し!。アナゴの押し寿司、アナゴの握り。

アナゴ散らし寿司にアナゴ天!。アア、そのさま思い描くだけでも卒倒しそうに熱狂するボクの胃袋!。近年、ウナギの枯渇からアナゴを代用する動きがワイワイ活発化。

しかし残念ながら似て非なる物、ウナギ大好物でもあるボクにしてみれば、やっはり気晴らしに食すの範囲を出ない。非常に柔らかく調理されたウナギでも、どこか引き締まった筋肉の名残を歯先に感じる。

それこそがウナギの旨味要素の大事なひとつではあるまいか。他方、アナゴにそれはない。あくまで柔らかさを内包する柔らかさ。それこそがアナゴのアナゴたる由縁、旨味要素のひとつではあるまいか。

釣り初心者だった頃、いかにも通が入る店といった風情の天ぷら屋を発見、ただちに入口横のお品書きに急接近す。“当店名物アナゴ天丼”。うわぁぁ~、即入店。菜箸の長さに匹敵するアナゴ天がシシトウとミョウガ天の上、丼またいで明日にかける橋。大喜びでひとくちパクッ。

穴子料理にまつわる問題点。ナマ臭いッ。これはアナゴ料理を台無しにしてしまう。匂いも味のうち、ではなく、匂いは味の半分かそれ以上の味、が正しい。松茸しかり、珈琲しかり。

穴子料理にまつわる問題点。柔らかくないッ。噛めば溶けるは積雪。そこまでとはいかずとも、やはり柔らかくあって欲しいはアナゴへの祈り。

穴子は夏の釣りもの、と言う人がかなりいます。遠投するんでしょ?と言う人も。アナゴって夜でないと釣れないモン、と言う人も少なからず。ボクも最初のうちはそう思って諦めておりました。

ところがある年のクリスマス、夕方5~6時。ボクは40~46センチのアナゴと7尾と20~30センチのカサゴ8尾を一度に釣り上げるという恩恵に浴してしまったのです。これは神の御業(みわざ)か!。

ペンシルアナゴと呼ばれる鉛筆大のアナゴを釣ったことはありましたが、こんな食べごろサイズは生まれて初めて。しかも問題は釣れた場所。それは沖合ではなく目の前の岸壁!。カサゴ釣りのつもりがアナゴ軍団鳴り物入り大乱入!。

仕掛けを落として5分以内に即アタリ(魚がハリに掛かったという合図)。大忙しの入れ食い状態。

カサゴとアナゴが仲良く手に手を取って暗い海から上がってくるサマは何と微笑ましいことか。直立不動、無反応で上がってくるカサゴの頬や腹に、半狂乱で暴れるアナゴの容赦ない全身ムチがピシャッ!、ピシッ!、と襲う。

口から鍼(ハリ)を外す時、カサゴさんは病院ベッドに寝そべった患者さんよろしくジッと医師の指示に従っているというのに、アナゴさんはとてつもない力で暴れ続け、ハリを外そうとするボクの指、手首に巻き付き、頭がどこに行ったやら全く分からず、手も腕もアナゴさんのヌルヌルでベータベタ。

それでも何とか口を見つけ鍼外しで外そうとすると「噛むぞ」と威嚇し、実際噛む。しかも痛い。

アナゴは全身のヌメリを落とさないことには包丁など使えません。熱湯に一瞬つけて即引き上げ。するとヌメリは青白くバター状に凝固しております。それをバターナイフでそぎ落とせばヌメリはゼロ。早速捌いて、あとはイソイソと天ぷら支度ッ ♪。新鮮だから無臭天ぷら。

いやいや、香ばしい匂いが立ち上りますぞ。ひとくち噛めば、あーコレコレ!。ふんわり柔らか、そしてジューシー!!。

 

●写真上、穴子62センチ、下の群れはアナゴ45センチ前後。スパイク天秤に仕掛け60センチ2本鍼、ハリス3号。ハリはチヌ4号。餌はサバの切り身短冊。

 

 

忍者シリヤケイカ / 墨を吐く変幻自在な宇宙人

 

 

 

甲イカの仲間、シリヤケイカの第2弾です。今回は記事というよりシリヤケイカの形態、形状の面白さを見てもらいたいなと思いまして、写真数点の紹介です。

上2点を見比べてみても面白いですねぇ。上は青みがかった墨色、下は温かみのある茶色。寒色系と暖色系、どちらも釣り上げた直後の体色です。

上は真横から見たところ。真上から見る印象とはまるで違います。上着を軽く羽織ってお出かけ、そんな風にも見えて笑えます。お腹が一番美味しいところ。因みに地面の水溜り、実は水ではなくイカの噴射した墨であります。イカスミには魚を惹きつける作用が有るそうです。パスタファンだけじゃなかったんですね。

 更にこちら、真っ白で清純な海よりのお使者。そんな可憐なイメージさえ感じられるのは薄紫の帯模様が高貴だからでしょうか。大抵はこの体色で上がってくることが多いでしょう。
 横、未知との遭遇。宇宙からの未確認生命体。いわゆる宇宙人。シリヤケイカを宇宙人と呼ぶ釣り人は結構多いです。目を持たない宇宙人ですねコレは。

 

★当ブログのエッセイ文、写真、イラストの無断掲載、転用を固く禁じます。

 

小さなお肌 / 寿司ネタのコハダ

 

 

 

地味ながらも江戸前の寿司ネタに欠かせないコハダ。コハダの処理の仕方を見れば職人の技量はすぐ分かる、と何かのグルメ本で読んだ記憶があります。ボクも思いがけずコノシロ(コハダの正式名称)をマグレで釣り上げ、喜びいさんで捌いてみたことがあります。小骨が多くて苦心惨憺(くしんさんたん)でしたよ。涙ぐましい作業でありました。

しかしまァ、ボクは寿司職人ではありませんから別に見栄えが酷くてもヘッチャラ。サッサと寿司酢に1日漬け込み、サッパと同じくサランラップ巻きして速攻押し寿司!。食してみると何とも言えない不思議な味。美味しいような、そうでもないような…。握り寿司は昔から大好きでしたがコハダはほとんどパスでした。1度食べて美味しく感じなかったからです。皆さん同じ感想なのでしょうか、回転寿司でもあまり見かけないネタになってしまいました。やはりコハダが旨いか否かは職人の腕ひとつにかかっているのでしょうねえ。

サッパと間違えられることがありますが、背ビレ最後部がヒョロヒョロ~っと紐状に伸びているので区別出来ます。戦国時代から食べられているそうで、日本人の底力のため是非とも必要不可欠な青物だと思われますが、いかんせん、何故か近年漁獲量が減っているそうです。堤防釣りをしていても「昔はいっぱい釣れたんだけどなあー!」と嘆く釣り人少なからず。皆があまり食べなくなったので「どうせ僕なんかジャマ者なんだろ!、ビエーイ!」とすねて何処か遠い彼方へ姿をくらましてしまったのかもしれません。

 

◆コノシロ29センチ。夜釣り、3号棒浮きにハリス2号吹き流し、中通し錘(オモリ)3号、セイゴ鍼(ハリ)にイソメ。ハリ上70センチにガン玉2B。

 

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シリは燃えているか / 東京湾にまで来襲したシリヤケイカ

 

 

 

日本人に最も食べられている魚介類は、以外にもマグロではなくイカやキス!。握り寿司ではトロサーモンだなんて話(マスコミ情報)もよく耳にします。日本人の味覚も年々変わってゆくのですねぇ…。

さて、堤防釣りでイカをターゲットにするというのは地域限定という通念が一般的。そこにイカが生息しているか、もしくは旬な季節に回遊接岸してくれなければ話になりません。ボクのホームグランドにはイカおらず(東京湾奥)。ヤリイカ、カミナリイカ、マルイカにヒイカ、どちら様も皆無。というわけで、ハナからイカ釣りなんて何処吹く風で来ましたが、数年ほど前から、甲羅イカ、すなわち甲イカ、であるところのシリヤケイカなるものが突如として釣れ始めました。

相模湾辺りで爆発大量発生した彼らがイナゴの大発生移動よろしく、此処東京湾隅々に至るまで流入したのではないか、との釣り人憶測乱れ飛び。理由はどうあれイカ祭り、同じ釣りなら釣らなきゃ損損!とばかりに空前絶後の釣りフィーバーが開幕したのであります。

とにかく釣れるわ釣れるわ、本来のイカ仕掛けはもとより、アジやイワシ狙いの仕掛けにもかかる、底者(海底を生息域とする種)仕掛けにも掛かるわで、噂聞きつけた人々までもがニワカ釣り師、釣り座は押すな押すなの大フィーバー!!。岸壁でジックリ黒鯛を狙うヘチ師の皆様、入り込む一寸余地さえ無し、無し、無し!。キス狙い遠投の皆様もシャットアウト。シリヤケイカは墨イカ。体内に海水取り込み墨とミックス、よって釣り座のあちらこちらは大量墨噴射、夢の跡!!。

当初、狂喜乱舞して釣り上げた際、勝手が分からず顔や衣服に墨を浴びる人が続出しましたが、1パイ、また1パイと釣果を重ねるうち、次第に回避のコツを覚えてゆきました。シリヤケイカは大体全長25センチほどですが、イカの場合は魚と違って全長ではなく体重で大きさを判断します。800グラムもあれば大物といったところでしょうか。釣り方は簡単。15センチほどの魚に見立てた擬似エサ(エギ、イカスッテ)を糸の先につけて海底をズルズル手前に引きずる。時々止めてアタリを待つ、の単純で単調な繰り返し。ただそれだけ、いともたやすく連れてしまいます。ただ1つの問題は、擬似エサが海底の障害物に引っかかってしまい取れなくなってしまうこと。写真Aは海藻に引っ掛かったものの、何とか回収出来たエギ。人によっては1度に3本も4本も失くして散財(単価が高い)なんてことも。それでも皆さんメゲずにセッセとエギを投げ込むのは、ひとえにイカの魔力でしょうか。Bは風変りな擬似エサ。何だか鳥みたいですよ。

Cは釣り上げられるイカ。この姿見たさの釣り人も多いはず!。シリヤケイカ名の由来は脚の真反対側が赤サビ色で焼けているようだから、とのこと。下は墨跡とイカの背面。

味覚はコリコリ、まったり、厚みの割りには噛み切り易い、と各種イカの良いところをミックスしたありがたさ。ボクはもっぱら、刺身を卵の黄身で和えて食べるスタイル。釣りたて新鮮な刺身は甘味があって最高です。

あまりの釣りフィーバーと乱獲で、釣果は年々減少の一途。2015年あたりから翳り(かげり)が見え始め、翌年からは滅多に釣れなくなってしまいました。長時間頑張って釣ったとしてもコロッケサイズ。親は消滅、新しい回遊も無し。卵から孵化した釣り座生まれの幼体のみを釣り尽くす風前の灯(ともしび)状況です。しかしながら、ほんの数年ではありましたが至福の夢を見せて頂きました。シリヤケさんに感謝感激雨アラレ、でありましょう。

 

◆写真上、シリヤケイカ820グラム。ポリカン浮き3号、餌巻きスッテにアジ切り身。

 

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天ぷら貴婦人キス / 川崎市の浮島釣り園、チョイ投げで美味しいキス釣り

 

日本人が愛してやまない魚、キス(正式名称はシロギス)。マグロを上回る不動の地位に君臨してます。ただ名前がちょっと…。喫茶店で前日キス釣り同伴した友人と待ち合わせ、遅れて入店の彼が座すや開口一番、「キスの味どうだった?」。隣のおば様2人にサッと緊張が走る。その波動が繊細なボクを射抜いた。しかし鈍感な彼は尚も屈託ない笑みで、「興奮した?。……アレ?……。何でシリアスな顔してんだよ。オレが上手くなかったから怒ってんの?」。おば様とボク3人に戦慄が走る。ボクは努めて平静を装い誤解を解く。

「いやァー、昨日釣った魚のキスは新鮮で旨かったよ。それに自分達が苦労して釣った魚のキスほど旨いものないよねー。確かにお前は竿を遠くへ投げるのが上手くなかったけどサー、全然気にしてない。沢山釣れると、いつもは興奮して眠れないんだけど昨日はよく眠れた」「マジか(笑)。想像以上に柔らかい感触なんだなキスって」「そーそー、テンプラは魚であるところのキスが一番旨いよ」。

ボクは自分がキスを釣るまで、キスの体色は光沢のない薄い黄土色だとばかり思っていた。それに小さな魚だとも。天ぷら定食で食べるキス天がそんな感じだったからだ。だから初めてキスを釣り上げた時はビックリ仰天!。鼻先にかざしたキスは全身ピンクがかった真珠色のキラメキ!。ピチピチ跳ねるたび、糸下でメリーゴーランドの様に右へ左へ回転する。回りながら、陽光スペクトルの中、その体色は青真珠、金真珠、緑真珠、ピンク真珠などなど、ゆるりゆるり七変化。イシモチの光沢がメタリックであるのに対し、キスはシルクの純白花嫁衣裳、といった風情。なるほど、海の貴婦人と呼ばれるにふさわしい気品と美を湛えている。

ある時、隣で遠投釣りをしている大学生に話しかけられた。

「オレ、キス狙いで来たんスよ。これ見て下さい、5万したんスよ」と新品の投げ竿を軽く掲げる。なるほど、確かに高そうだ。「すごく飛びそーだね」とボク。「かなり投げないと釣れないって店のヒトに聞いたんで。オレ、やりますよ」。そう言って彼はやり投げオリンピック選手のように歯を食いしばり、全身で竿を振りぬく。すごい!。相当飛んでいる。「飛距離100近く?」とボク。

「いってますね。確実に」。真剣な顔で頷く彼。その後、彼は投げて投げて投げまくり、海中に横たわる仕掛けをズルズルと引き、時々ピタリと止めて反応を待つ。手前5mほどまで仕掛けが戻るとサッと巻き上げ、再びトウッ!!。

延々1時間。彼は17センチほどのハゼを4尾上げた。「キス、いないっス」。彼は9回まで味方の得点なしのまま1人果敢に投げぬいたピッチャーの様にグッと唇を噛んだ。「オレ、もっと遠くまで投げてみます」。

その時、足元(岸から20センチ先)に落としていたボクの仕掛けに何かが食らいついた。「オット」。

小気味よくしなる竿を取りリールを巻く。「何スか?」と彼。「強く引いているけど重さはないね。何だろ?」。巻き上げると見事なサイズのレディーキス!。

一拍あって彼。「何スか。コレ…絶対おかしいッス!」と真顔で憮然。

灯台もと暮らし。釣りではよくある話です。

 

◆写真上、シロギス23センチ、下21センチ。キス天秤、ナス錘15号、仕掛け50センチ、ハリス2号、チヌ鍼(ハリ)2号。

 

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ビジュアル系のお魚 / 八月全盛の釣り物、イシモチ

イシモチなる魚がおります。正式名称はシログチですが、関東ではイシモチの方が通りは良いです。この魚は実にビジュアル系。現代的な未来志向をイメージさせてくれる誠にスタイリッシュなお魚であると思います。銀の光沢を放つ魚は多々あれど、イシモチのシルバーボディーは他のソレらと大違い!。まるでメッキを施した様な、非常にメタリックで人口的な銀色なのです。児童の頃、メタリックな戦闘機プラモデルにウットリ見惚れておりましたが、まさにソレ。お魚サイボーグ、みたいな。更に驚愕すべきは、太陽光の当たる角度によって純金に見えたり、虹色に見えたりすることです。これがビジュアル系だと指摘出来る由縁です。キスやアジなどでも 金色、銀色、桃色吐息(  楽曲/桃色吐息の歌詞一節 )に見えたりはしますが、イシモチほどの極端さではないように思います。

この方々は、大抵、堤防から遥か彼方の沖合でワイワイやっておられます。海底のサーフ(砂地)あたりを群れ集っておるのです。実に貪欲な皆様ですから、たっぷりとテンコ盛りにした釣り餌を発見するや「野郎ども! 食おうじゃねぇーか!!」と次々に襲いかかるのであります。ですから、仕掛けは2~3本の鍼(ハリ)がついているものを使用する方が効果的。1度に2尾も3尾も数珠繋ぎで上がってきて下さいます。陸に上げると「グゥーグゥー」と鳴き、釣り人を驚かせたりしますが、これは浮袋収縮の音だそうです。エドはるみというわけではありません。

投げ竿を使い、仕掛けを沖まで一直線!。30mあたりでも釣れますが、やはり数を出したいなら50~80mってところでしょうねえ。塩焼きは香ばしくてクセがなく、ボクは大好き。味覚の素晴らしさの割りにスーパーで見かけないのは、アシが速いこと、1尾売りよりカマボコにする方が何かと好都合だからではないでしょうか。捌くのは実に簡単、初めての人でも何とかなります。その点メジナと大違い。あのお方を捌くのは大層難儀します。捌くうち、メジナ様の裁きを感じずにはおれません。

 

◆写真のイシモチは31センチ、30センチ、29センチ。スパイク天秤25号に吹き流し3本鍼(ハリ)、ハリス3号、1m、鍼チヌ3号、サンマ短冊房掛け。

 

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黄色いヒレ / 強烈な引きが味わえるキビレ

“ エビでタイ(鯛)を釣る ” という諺(ことわざ)がありますが、この黄色い鯛はゴカイで釣り上げました。姿、体型は一見黒鯛そっくりですが、体色がまるで違います。黒鯛は銀か黒、黄鯛は銀。では、お互いが銀色の時は区別がつきにくいのでは?。ノ~プロブレム!。黄鯛の尾ビレ下部は真っ黄色、黒鯛にはソレがありません。黄色いヒレだから黄鯛はキビレと呼ばれています。キビレは汽水性(塩水と淡水が混じり合う環境)が高いので、海への河口域などで多く釣れます。それにしても、凄まじき鋭利な背ビレだと思いませんか。トゲみたい。実際、尋常でないほど硬いです。一般家庭で使われる包丁やハサミでは、歯を食いしばり全身全霊で切断しようとしても到底無理。切れてせいぜい1センチ。しかも背ビレ最後尾の一番柔らかいトコです。キビレをどんな天敵が襲うのかは知りませんが、丸呑みしたが最後、大変な災難を経験することになるでしょう。

ある気持ちの良い初夏。沖へ竿仕掛けを50mほど遠投し、置き竿。ボクは遅いブランチのコンビニおにぎり鮭。ふたくち目を口一杯に頬張って喉がむせ、ペットボトル麦茶をラッパ飲み。口の中が鮭茶漬けになった刹那、

「ミャヒャヒャ~ン」(何かちょーだい、ちょーだいよぅ)

美しきメスネコ、王道ミケネコであるところのポッティ嬢が繁みよりお出まし。ここはモッちゃんとは別の釣り場所。此処はポッティのホームグランド。ポッティのネーム由来は、ポッテリとしていてボッティチェリ作 “ ビーナスの誕生 ”の様に美しい、というイメージから。

「いやぁ、今日お会いできるんじゃないかと思って。100円ショップでネコ缶買ってきましたよぉ~。お待ち下さいね」

缶蓋開けかけるボクの指が止まる。今、竿先の鈴、鳴らなかった?。気のせい?風のイタズ…竿の鈴がジャリッ!、続いて竿が立てかけてあるコンクリートフェンス上をポルターガイスト現象の様にズズズズズーッっと右へ横滑り!。

「ミャハァァーン?!」(どうなさったの?、まだですの?!)

ネコ缶をポッティ眼前足元に置き、脱兎の如く竿尻掴むボク!。竿先で天を突き、ヒジを閉め、大きくアワセを入れる。乗った!。ハリ先が確実に魚の口をロック!した手応え!。つまり、竿全体に魚の全体重が乗ったという実感!。

向こうが潜ろうとすればコチラは逆らわずに糸出し、向こうがバテて動きを止めれば、コチラはゆっくり糸を巻く。それを繰り返すこと約5分。ギブアップした魚体が波間に浮上。ぐったりボッテリ横たわっている。目を輝かせ海面覗き込むボク。至福の瞬間。アナタはドナタ?。オオオーッ!、まさかのキビレさんでしたかァーッ!!。あとは慎重にタモ網ですくい上げる作業。ズッシリ重い網を足元に置いた瞬間、真隣でネコ缶と奮闘中のポッティと目が合う。わずかに開いた缶蓋の隙間は2センチ。そこに何とか舌先を入れて味見するだけの空しい食卓。

「ミ……」(コレなんですけど…)

こッ、これは大変な失礼を致しましたッ!!。

 

◆キビレ49センチ。スパイク天秤に自作1m仕掛け。ハリス3号。鍼チヌ5号。

 

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海面を見てワクワク / 釣りの楽しみ / 魚と知恵比べ

Title:エメラルドのうねり

 

 

 

堤防の足元見下ろせば、釣り人が胸躍らせずにはいられない美しきエメラルドのウネリ(写真上)!。さぞかし釣れるだろう!とは早計かも。潮が澄み、しかも日中となれば魚さん達にはよく見えてしまう。

何が?。釣り人の影が!。海中に投じられた仕掛けが!。とりわけ鍼(ハリ)が!。そんなことには全く無頓着な魚種もいますが、ただ単に明るいというだけで暗いスポットに身を潜めてしまい、なかなか出てきてはくれません。

そんなわけで、魚がよく釣れるのは濁り潮だとか小雨、曇天、夕方、夜、日の出前。必ず釣れるわけではありませんが、明らかにチャンスは多いです。下の写真は波止ブロック(テトラ)を撮影したもので、満潮干潮時を問わず、ほぼ海中に没しているブロックと水上に出っ放しのブロックとに分かれています。

この様にランダムに積み上げられたブロック群こそ魚マンション!。複雑な潮の動き、豊富に取り込まれる酸素、太陽光を適度に遮断した癒しの環境、と、まさに最優良物件です。

この写真で最も注目すべきは “ 海の色 ”。汚く淀んだ印象はなく、それでいて澄み渡った感じでもない。透明度はそこそこある様な、ない様な…。

それに加えての曇天模様、こんな感じに見える海水状態が釣れる好条件です。勿論、いつでも、必ずというわけではありません。人影が見えなくても、仕掛けが見えなくても、しょっちゅう仲間が釣られて姿を消していれば、魚の方も気づいて釣り餌を食べなくなってしまいます。

これはあくまでボクの経験推察、違っているかもしれません。ですが、ボクに関してのみ言えば、絶対そうである、と。

調子よく毎回数種の仕掛けで必ず釣れていた特定の魚種が、ある日を境にパタッっと釣れなくなる。その魚が釣れるシーズンたけなわだというのに、です。

ボクは、きっと魚が学習したのだと思っています。当然であるとも考えています。魚にしてみれば、子孫を残せるかどうかの瀬戸際に立たされたのですから。

たかが魚と語るなかれ、DNAは決して侮れません。

 

 

バイク2人乗り蟹

台湾渡り蟹なるものが時々釣れます。初めてその者が上がった時、酷く驚嘆しました。子供の頃から慣れ親しんでいたガザミというカニに体型が似ています。

ガザミはコケ色の暗い緑色でしたが、この者は目にも鮮やかなトルコブルーと紫の混合色。その美しさに声を失いました。

鍼(ハリ)を完全に飲んでいますが外すのが至難の業(ワザ)!。コチラが手を伸ばしますと、大バサミ全開の両腕を限界一杯にまで拡げ

「触ると承知しねぇぞぉーッ!!」とプンプン。ぽこぷこぷこ、ぽこぽこぷぷ、と怒りの泡を吹いております。カニの背後に回り込もうとすると、カニもまたボクに呼応して回転。キミとボクは息もぴったり。さあ、フォークダンスをしようじゃないか。ええ?。などという時間を数分過ごし、ようやく一瞬のスキを狙い背後から甲羅の真ん中抑え込みに成功!。

あとは鍼(ハリ)を外すだけですが、どうせハリ先は摩耗してしまったでしょうから、外さずにハリ根元の糸をプッツリ切ります。

 

検索してみますと、中国料理の高級食材として美味、と書かれていて万歳三唱!。一瞬にして茹で上がり、甲羅も見た目より柔らか、造作もなく割れました。旨味が凝縮された肉には洗練された甘味があり、カニ好きならずとも唸るは必須!。また食べたい、また釣りたい、一杯釣りたい、で早1年。

狙って釣れるカニではなかったのですネ。絶対量も少ないようで、近年一層釣れなくなっているのが現状。これは釣り人各位の意見ではありますが…。

 

●写真はワタリガニのオスとメスのペア。ド派手な体色のオスに比べ、何とまあメスの体色の地味なことか!。クジャクさながらであります。

釣れなくなってワタリガニを諦め2年、夜釣りで突如釣れました!。

しかもオスメスのペアで上がってきたではありませんか!。50000拍手!!。

まるでバイク2人乗り状態、釣り糸が2人の体を絆の如くに複雑絡み。おそらく産卵行為の真っ最中だったのでしょう。罪悪感覚えつつも美味しくご賞味させて頂きました。合唱。

 

●甲長7センチ(オス)、5センチ(メス)。キス天秤に錘(オモリ)20号、2メートル吹き流し仕掛け3本鍼(ハリ)、ハリス2号、餌はアジ切り身短冊。

 

 

ネバドロン現る!

ヒイラギさんはネバドロン。全身粘液まみれ。ウルトラマンがネバドロンとガップリ四つ(ヨツ)に組んだなら、その凄まじき粘液過多でたちまち全身ネバドロン!、呼吸困難で戦意喪失間違いなし!。

息も絶え絶えの宇宙警官にヒイラギのたまう。「私は何もしていない。お前が1人芝居に興じただけだ」と。

最大寸でも15センチほど。葉っぱのヒイラギに体型が似ることからヒイラギ。勿論、トゲかと見間違う背ビレも同じ。DNAの保身進化ってスゴイですよねえ。大きな魚がネバドロンくわえたが最後、口の中がハナタレ洪水。鋭いトゲが口内チクリ。こらえきれずにオエエエエーッ!。

非常に美味しい魚です。アジにもヒケはとりません。市場流通しないのは、小さすぎる、調理経費が莫大、トゲが危険、の3点でしょう。調理経費?。ネバドロンを捌こう(さばこう)とするなら、まず粘液を取り除かなければなりません。

それには食塩。塩で揉み込み粘りをコソぎ落とすのです。が、想像以上の量が要求されますよ。1尾あたりに塩が大サジ5~6杯!。信じられます?。

ヒイラギはベビベビ(ベイビー)でもあります。口を開いて海底の小さなエサをスポイト吸引捕食するのですが、開いた口が哺乳ビンそっくり。

薄皮の収納口が5ミリ前後も伸びるのです。これでホムホム吸引なのですね。

八月のある激烈猛暑日、午前11時過ぎ。鉄の手すりにでもウッカリ触れようものなら

「アジャァーッ!!」

マジで火傷(第1度)間違いなし。流石の釣り師達の姿も皆無。熱中症恐れぬフラチな男2名、赤の他人同士で者間距離およそ8メートル。

おのおの修行僧の様に釣糸垂らしてダルマ大師(座して微動だに動かぬ)。

突如海中に動きあり!。2人ほぼ同時にアタリ(魚がハリ掛かりした合図)続出!。鼻息荒く抜き上げりゃ、ヒヒェェェーッ!!、良型ネバドロン!!。

したたる汗にまみれた指で慌ただしくハリを外せば、たちまち指と手の平ネーバネバ。次々釣れるヒイラギに、うっかりトゲチク、指の各所に血がにじむ。

汗塩パッパ、まさに傷口に塩!。水面見ればナブラ(魚の群れの移動で水面が波立つ状態)が立つサザナミ!。産卵でヒイラギ軍団が浅瀬に入ってきたああああーッ!。

30分の激闘は突如打ち切り。群れは行ってしまった。両指ヒリヒリ、ネバネバ、両腕ダラリで矢吹丈(明日のジョー / 主人公)。ボクは “ 座り釣り ” の兄ちゃんにフラフラ近寄り声かける。

「凄かったですよねぇ~!。何ビキ釣りました?」

彼は笑いながらバケツ指差し「数えきれないよー」。

アレッ?。その横顔、まさか超有名な若手俳優さん?。やっぱりそうだ、そのヒトだ。彼の手を見りゃネーバネバ。やはりネバドロンは芸能人とて容赦なし!。

 

●ヒイラギ14~16センチ。(真ん中にサッパが1)。棒浮き2号にハリス1・5号。メバル鍼(ハリ)、タナは底切り。

 

 

釣り人来たる!

Title : 竿番ネコ

 

 

 

ボクの趣味は海釣りです。船には乗らず近郊の堤防で気軽に楽しみます。船釣りもしてみたいのですが船酔いが…。中学時、三半規管が敏感な人は乗り物酔いしやすいと聞きかじり、何かの拍子で担任教師に「ボクは三寒四温が敏感だからバス酔いするんです」と述べ大恥をかいたことがあります。

それはさておき、何はともあれ魚でしょう。釣り人も、釣るのは好きだけど自分では食べないから人にあげる派、可哀そうだから必ず毎回リリース派、釣って捌いて食べて派、水槽で飼育派、など千差万別。100人の釣り人がいれば、そこには200の釣り方がある、とベテラン釣師のオジイチャンが教えてくれました。

釣れると大人は子供の様にはしゃぎ、釣れると子供も大人の様にはしゃぐ。一体何が人々を惹きつけてやまないんでしょうねえ…。

ところで、ボクのブログに登場した後ろ姿のネコ、彼はボクの釣りマブダチのモッちゃんです。四六時中、全身に海風浴びているモッちゃんの体毛はゴワゴワ。

モッサリしてるのでモッちゃん。釣り座裏の繁みをネグラにする、ワイルドで勇敢、過酷な海風に立ち向かう誠にアッパレな自立ネコであります。

写真はモッちゃんがボクの代わりに竿番しているところ。近づくと気が散るといって怒るので、遠見からコッソリ撮影しました。この写真はヤラセではありません。合成写真でもSFXでもありません。

彼は、この竿に大好物のイワシだの小アジだのサッパだのがくっついて上がってくることを知っているのです。時々シビレを切らして仕掛けが海中に入っている海面を覗き込んだりしています。ボクが声を殺して笑うと、すかさず振り返り

「可笑しいか。可笑しいのか?ええ?」と睨みます。

帰り際は道路まで見送ってくれます。釣りしに行くと入口で待ってくれていて、釣り座まで仲良く一緒に歩いてゆきます。モッちゃんは、15センチの小アジやサッパなら1度に3尾、イワシなら5尾食べます。お腹が空いていない時でも、後々のことを考えて無理矢理詰め込んでいます。

どうして分かるかというと、満腹気味の時は魚の頭を残すからです。

 

◆写真上は、釣ったカタクチイワシ。モッちゃんのお腹に入る前に撮影。

 

 

雨 / 毬と子犬 / 行っちゃダメ!

Title : 雨あがりに消えた鳴き声

 

 

★ 毬咲。まりさ。このエピソードの主人公。

 

日曜昼下がり、都会の雑踏ただ中。憂鬱な雨の中、

傘と共に二の腕の肌寒さも畳もう ( たたもう ) と、

足早に百貨店を目指す毬咲、ふと目を落とした

信号待ちの断裂傘群の隙間、

ひょろけたムク犬の姿に胸を突かれる。

 

ココア色の体色に真っ黒な鼻回り、

びしょ濡れで露呈した貧相な肉付き。

近寄って屈み、子犬を抱き上げようとして

左耳の上を誰かの傘骨先でこすってしまう。

軽い痛みを黒髪で流し投げ、素早くしゃがみ

子犬をトレンチコートの下に覆い隠す。

 

意外なことに、きゃしゃな子犬は彼女の眼下、

コートシェルターから飛び出す様に

よろよろと真逆方向へ小走り。

数人の脚で軽く蹴られながらも、足を止めようとはしない。

 

蒼ざめた毬咲は、素早く数メートル人林を潜り抜け、

再び子犬を貝襲うタコの要領で手中に収め、唇を強く噛む。

 

さっきと真逆側の信号が変わり、

向こう岸とこちら岸の入れ替わりが始まる直前、

毬咲は立ち上がろうとした刹那、

彼女だけは決して見てはならない光景を目の当たりにする。

 

彼女が交際を始めるかもしれない予感を持ちえた男性が、

恋人らしき女性と毬咲の前を横切る。

幸せそうな2人。子犬が2人を見せたといってもいい。

 

犬持ち込み厳禁のマンション一室に戻った毬咲は

子犬にドライヤーを当てた後、暑いシャワーを浴びながら

先ほど目撃した光景をフラッシュバックさせてみる。

バスタオルを使いながら置時計を右斜め見。

親友の麻子が食事に来るまであと30分もない。

続いて左見。キッチンの隅、冷蔵庫の横、隠れているつもりか

上目遣いに毬咲をジッと見上げ続けているムクちゃん。

 

ヘッヘッヘッ…、

ちっちゃな濃いピンクのベロが愛らしい。

 

「何食べる?。ミルクもあるんだよ」

 

そう話しかけ、冷蔵庫の取っ手を掴んだ時チャイムが鳴った。

 

“ おお、来た来た!、ちょっと早いけど ”

 

スリッパ引きながらドアへ歩み寄る毬咲より早く、

ムクが彼女とドアの間に挟み入り、クルッと彼女に向き直ると、

左右前足で切なげに宙をかき始めた。

 

「なあに?」

 

ア・ケ・ナ・イ・デ

 

そう懇願しているように見えた。不思議なことに。

 

毬咲はドアの前で気配を消したまま、ジッとムクを見下ろし続けている。

その間チャイムは3度鳴り、やがて再びの静寂が訪れる。

ムクの動作が同時に止ん だ。

 

毬咲はスリッパを脱ぎ、足音を消して窓際へ。

カーテン越し、信号機ライトや窓灯りをにじみ映している

イルミネーション道路を見下ろす。

 

麻子の車がない。代わりに数メートル離れた所に止めてある

ジャガーに乗り込もうとする彼の姿が視界に。

何しに来たのかしら、さっきの彼女はどうしたのかしら。

 

バカな私ッ。

 

発作的にトレンチコート引っ掛け、

目にも止まらぬ速さで廊下に裸足で飛び出す毬咲。

背後でキャンキャン聞こえるその鳴き声は悲痛!、

 

イッチャダメ!

 

エレベーターが閉まり、鳴き声が遮断された。

 

降りしきる雨に濡れそぼる2人が、もつれる様に抱き合いながら

部屋へ戻ってきた。もう毬咲の頭の中は

親友をどう追い返すかで一杯。

ムクの姿がないことには気付きもしなかった。

 

数か月の交際。結婚のプロポーズを待つ彼女に、彼は別のことを囁いた。

彼はAV業界の人間だった。

 

その翌月、毬咲は母の墓参りに帰省。何となく故郷に戻りたかった。

実家隣のおばさん宅でお茶を飲んでいると、

 

「そうそう、お母さんの写真、1枚あるから持っていきなさいよ」

 

手に取り覗きこむと、母が見覚えのあるムク犬を抱いている。

 

「この犬は?」

 

「ああ、入院する少し前に、見かけた捨て犬がかわいそうって、

連れて帰ってきたのよ、ザンザ振りの中、

びしょ濡れで可哀そうだったって」

 

 

 

 

 

 

 

金太郎伝説 / もうひとつの隠れ秘話 / 改名への手順とは

Title : 勝利のおまじない

つい最近、つい最近、出がらし山のふもとに

金太郎という元気な男の子が

乳母と一緒に暮らしていました。

金太郎は山の仲間達、猿や猪、鹿、熊などと共に毎日全力で遊び回り、

同時に乳母の仕事の助けもしっかり努め、

畑仕事、土間のオオガメの水汲み、絹織のために育てているカイコ達の眼に、

時々懐中電灯の光を当ててまぶしがらせたりすること

も怠らなかったので、乳母には大層重宝され可愛いがられていた。

空澄み渡る五月のある日、仲良しの月の輪グマが

金太郎のところにやってきて、

「金太郎。お前もそろそろ十歳だな。随分立派になったもんだ。

そろそろ男らしい身体造りでも始めたらどうだ。

これから毎日オレ達と相撲を執って

鋼の身体に鍛え上げないか」

「それは良い考えだ月の輪。やろう、やろう、今すぐやろう!」

クマと金太郎が相撲を執る!。たちまち土に書いた土俵線周りには

山の仲間が押すな押すな。ガンバレ!、負けるなよ!、の大騒ぎ。

なんせ、金太郎は山里一の人気者。気はやさしくて力持ち!。

はっけよい、はっけよい!。

サア、ガップリ四つに組んだぞ!さてどうなるか!

と皆が興奮大声援、と同時に

金太郎はアッケなくゴロン。

「どんまいどんまい、金太郎!。まだ小手調べ、ほらほら、

もう1番いっちょ行こう!」と月の輪。

「あたぼうだい!」

ゴロン。ゴロゴロン!。ゴロゴロゴロッ!。

その繰り返しで、金太郎はアッと言う間に0勝37敗。

その日から山の仲間達は、金太郎のことを

銀太郎

と呼ぶようになった。

夜。乳母の差し出すヤマメの塩焼きに手を伸ばしながら銀太郎、

「バッチャン、心配には及ばないさ。いきなりクマとヤったのが無茶だった。

明日は子馬とやる。だから安心して!。また名前が金太郎に戻るから!」

「そうかい?……。ならいいけどねえ…」

翌日、銀太郎は子馬に完敗。0勝28敗。

その日から銀太郎は、山の仲間達から

銅太郎

と呼ばれるようになった。

「銅太郎、もう明日は決してお相撲なんか執っちゃいけないよ!。

明日も負けたらアトがないんだから。ここでやめておけば、

まだしも対面は保てるだろ、ね、もうおやめよ、後生だよ」

「はっはっはっは!、大丈夫なんだよバッチャン、明日はねえ、

猿の奴と執るんだ。アイツはボクより小柄だし、

間違っても負けるわけはないから安心してよ!」

銅太郎の屈託のない笑顔はブザマにも土にまみれた。猿を相手に0勝16敗。

「もうやめなよ銅太郎、オレなんか心苦しいよ。

いとも簡単に転がるお前の姿もう見たくないよ。ここで打ち止め!」

とおろおろ顔の猿。

「何を馬鹿な!、あと一番ッ!」

その日から銅太郎は、山の仲間達に

ニッケル太郎

と呼ばれるようになった。以降、懲りずにというか、躍起になってというか、

ムキになってというか…。

対小鹿戦 0勝21敗。翌日から

アルミニウム太郎。

対ウリンボ(猪の幼児) 0勝6敗。翌日から

プラスチック太郎。

対ムク犬戦 0勝4敗。翌日から

ダンボール太郎。

対リス線 0勝3敗1引き分け。翌日から

紙太郎。

対野鯉戦 0勝56敗。翌日から

太郎。

乳母の企て通り、誰に疑われることもなく金太郎は、

自然な形で改名に成功した。

あるカウンセラーのカルテ / 会話がない世界で / 人をすくい上げる話

Title : 待合室に置き忘れられていた仮面

 

 

 

「最近は、昔に比べて話をしてる人が少なくなりましたね先生。

街でも電車の中でも…。華やいだ声なんて滅多に聞きません。

コロナになる前から…。一体どうしてしまったのでしょう」

 

「それがアナタの、当面の悩みですか」

 

「そういう訳ではありません……。ありませんが、気になる事だけは確かですね。

“ 人のふり見て我がふり直せ ” という有名なコトワザから推察しますに、

皆さん、周りが全員喋れないふりをしているので

真似て喋らないのでしょうか。

それが次第に連鎖拡大しているという様にも感じられてしまうのですが…」

 

「アナタも職場などで、皆さんに倣って ( ならって ) いるのですか」

 

「いいえ。私は “ 無い袖はふれない ” タイプですから、

ふりは出来ません。従えない性分です。

振るのもふりをするのも私にとっては同じこと。

揺れていて自分が安定出来ないのですから。

ゆえに浮いてしまい行き詰ってしまうのです。

ですから、今ここで先生とお話をする状況になってしまったのです」

 

「人間がすくうのは、祭りの金魚すくいやドジョウすくいだけではありません。

人間を救うことも出来ます。私はそれを信じてカウンセリングを行っています。

一見違うように思えるかもしれませんが、

すくい上げるのと救うことは、大して変わらないのですよ。

火事現場から人を救出する消防隊員だって、人を抱き上げて戻ってきたりするでしょう。

すくい上げる形に似ています。

ハンモックでくつろいでいる人も、

抱きかかえられているような体形をしているでしょう。

救出というのは結局、すくい上げるということなのです。

極めてシンプルな行為なのですね」

 

「そうでしょうか。その状況次第でで変わるように思えますが。

常に人をすくい上げて救出するというのはチョット…。

無理があるような気がします」

 

「お母さんが赤ちゃんを抱っこするでしょう。

あの行為、実は赤ちゃんをすくい上げているんですよ。

赤ちゃんを救出している最中の行為なんですよ」

 

「初耳です。全く理解が出来ません」

 

「金魚すくいでは、乱暴に金魚をすくい上げることは、絶対に出来ません。

薄紙がいともたやすく破れてしまいます。

何匹も次々にすくい上げるチャンピオンは

金魚すくいアミの丸縁に金魚の体重を乗せて、

ほとんど紙を水で濡らさないのです」

 

「それが、一体何だというのでしょうか」

 

「水が周囲の人。薄く弱い紙がアナタ。

紙が張られた〇骨がアナタの愛です」

 

「私の愛?」

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刻々と変わるパスワード / 桃多郎伝説 / ハッキングされないように

Title : 「オレのためにおとぎ話読み聞かせサンケウ!」とオムツBABY

 

 

桃多郎は単独で鬼退治に向かった。

鬼達は、浜からでも全貌が見渡せる鬼が島に住んでいる。

若干16歳の彼は夜道を一切休むことなく歩き通し、

夜が明ける頃には三つの山をも越えていた。

最後の難関である四つ目の山中に入ったところで

比較的に男前の犬に呼び止められる。

 

「桃田郎さん、そんなに急いでどちらへ行かれるんですかい」

 

「何故、私の名を貴様は知っておるのだ。怪しい。

ひたすら怪しいが、マァ許そう。これから鬼退治に行くのだ。

貴様もプラプラしておるのなら、どうだ。

私と共に民を苦しめておる鬼をば退治しに行かんか」

 

「へへへ、そうですねえ…。桃他郎さん、その

御腰に付けている茶巾袋の中身は何でやんす。

もしやキビ団子じゃねぇんですかい」

 

「これか。これは鼻のテカリを取る吸い取り紙の束だ。お前も欲しいのか。

鼻が光っておるではないか。どうだ。これでテカリを取るか。

どうだ。ん?。一緒に来るか。

どうだ。幾枚か、くれてやるぞ」

 

「何だキビ団子じゃねぇのか…。

アッシはこれで暇 ( いとま ) させて頂きやす。

そいじゃ桃汰郎さん、随分とお達者で」

 

犬は並足で森の中へ消えて行った。その後ろ姿を見送りながら、

桃多郎は時の世の非情さを身をもって痛感せずにはおれなかった。

 

三里ばかり進んだところで、流石に左ワラジの紐がブツリと切れた。

様子を見ると右も追って沙汰ありの気配。仕方ない、少々早いが

此処で新しい物に履き替えるかと、路傍の手頃な岩に腰かけたのを

見計らったかのように、傍らの繁みからバタ臭い顔のキジが姿を現した。

 

「ヒョッ、として。…桃太郎さんとお見受けしやすが実際のとこ、

どうなんでげしょう。朝一番の月間『犬』に掲載されておりやしたのを

ツイ今しがた読んだばかりなんで。それで、もしや、

ここいらで待ってりゃァお会い出来るんじゃねえかと。

ヒヒ、案の定お会い出来やしたね。大層光栄でげす。

で、やはり鬼退治なんで?」

 

「ああそうだ。助太刀とは見上げた奴。では共するか。んん?。

こらしめてやるか鬼を。どうだ。参るか」

 

「その前に肝心なことをお聞きいたしやす。その腰にぶら下げてるやつァ~、

何がしかの食い物でもへえっておりやすんでげしょうか」

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亀の恩返し / 裏島太郎伝説 (前編)

Title : 鼻が魚になった男

 

 

裏島太郎は、白き泡やさしげに打ち寄せる砂浜を

軽快にスキップしながら邁進し続けていた。ここ最近の、

己が自堕落さを払拭したき心持ちで一杯になったからだ。紺碧の空、

鮮烈な印象残さずにはおかないクリア・ハイビジョンな水平線。

「春だ!。私の心持ちの春だ!」

裏島は激しく気分が高揚、スキップのバウンドを

2から3へ上げてしまう!。もんどりうって自身を餅つきさながら、

白砂に叩きつける様に転倒した。その時だ!。彼は

30メートルほど前方の波打ち際、

大きな亀が数人の童(わらべ)をこづき回しているのを目撃!。

鼻の孔に入った砂粒を激しくハタき落としながら立ち上がるや、

裏島は異常な速さでスキップ走行。たちまち問題の現場へ到着した。

 

「あいやしばらく!。亀ッ!、お前は何ぞしとるだがや!。

こがいな (このような) 童ら相手に何ちゅう大人気 (おとなげ) ない!」

 

「いかんのか…。童をイジメたら、いかんのか?。

何故だ。何故いかんのだろう」

 

「弱い者イジメだによぅー!。亀!、お前の方が身体がゴツい。

見てみぃ、皆お前の足元で泣いてんでねーのよ、可愛そうに!。

おうおう坊、泣かんでええよ、泣かんで、よしよし~、

お兄ちゃんが歌を歌っちゃるよ、歌を……

 

♪  亀の心にゃ壺がある フジツボまみれの中をば覗け

可愛いタコの童 (わらべ) 入り

シャコらが覗きに来ておじゃる ナマコも遠巻き 見ておじゃる

タコの童は満一歳 亀は知らずに大暴れ

吸盤童泣くのに大暴れ 恥知れドんぶら ちょこざいな

 

 

「何だ、その歌は。誰の作った歌だ?。妙に耳障りがいいな。

乙姫様にも聞かせたいものだ。あんた、名前は?」

 

「太郎だ。裏島太郎。ほして(そして) お前は?」

 

「ソシャクだ。海亀のソシャク。よく噛め。…なあ、お前。今から

海底深く人知れず佇む竜宮城 (たつのみやじょう) まで来てくれんか。

そこの御姫様に、今あんたが歌った歌を聴かせてやってはくれんか。

何がしかの礼はするつもりだが…どうだろう」

 

「海底に城が?。それはどえりゃぁ面白そうな!。行こう!、と

言いてえところだが、知っての通りオレは亀と違ぅぞよ。

人間は海底まで行けんのよ。後ろ髪は非常に引かれるんよ、

ほいでも行かれんわ」

 

「それなら問題ない。そこいらの蟹に頼んで酸素補給してもらえば問題ない。

カニが酸素を大量に含んだ泡を

アンタに口移しで肺に流し込むから大丈夫だ!」

 

「そんいう話なら呼ばれよ。んで、蟹はどこぞにおりやさる」

 

亀は向こうの磯、あっちの岩の間をと、あちこちを覗き込んでいたが

ほどなく80センチ程のカニと並んで戻って来た。

 

「この蟹が酸素ボンベ代わりをしてくれる。なあ?、カニ。頼んだよ」

 

「気安くカニの肩に触るんじゃねえッ!、この、いまいましいドンタレ亀が!。こいつの歌を乙姫様に聴かせるだぁ?。そんなにいい歌か、ちょっとお前、

オレにサワリを歌ってみ。早く!。

早ァー、やァー、くぅー!」

 

♫ ♬ ♪ カニのハサミにワカメの手ぬぐい 淡路島より美しかのよ

まことの蟹の 誉れなれ ああ、誉れなれ  ぶくぶく

 

「こいつぁ~驚いた!。いわゆる泣ける歌じゃねぇかよ、ホントに!。

よし分かった、オレがひと肌脱いでやろうじゃねぇか!、待ってろ!」

カニはその場で脱皮したが、30分を待たねばならなかった。開始5分で

野良犬の乱入などがあり、裏島と亀はカニのディフェンスに追われたのだ。

 

続く

 

 

亀の恩返し / 裏島太郎伝説 (後編)

Title : ビューチフル乙姫様

 

 

 

竜宮城は余りにも地味な海底城だった。

 

「いわゆる色がねえんだち。そりゃそうでよ。この城で

人間様の恰好してんのは乙姫(おつき)様だけって話よ。

高貴なお方はペンキなんぞ塗らんでよ」と、亀。

 

「そうなんかい。しかし…残念だ。あんなに良い歌なのに何故……なぜに

乙姫様は気に入らなかったのだろう…。解せない…」と、いぶかしげな太郎。

 

「ア、それオレ知ってる。さっき乙姫様の従者に聞いた。あんなァ、

歌を歌う途中途中でお前が息継ぎするだろ。……コラ、裏島、聞けッ!

お前の話をしてんだろうがよッ!」突如キレるカニ。

 

「聞いてるよぅ~。ちいっと向こうの昆布をチラ見しただけでや」

 

「チッ !! ……。聞け!。よぉく。……息継ぎの時にな、

お前の鼻の孔が膨らむ角度が気に入らねえってよ。なんか

ブラックホールみてえだって。分かるかァ?このシリアスな

……なんかこう………。分かったか !!」とさらにブチ切れるカニ。

 

「うん、分かった。自分の見聞きしたことをよぅー、臨場感一杯に表現して

歌で聞かせちゃあーのによぅ!。やっぱ、歌詞が高尚過ぎたのかねぇ!」

 

「そうなの?」と、急に安らいだ顔になるカニ。

 

カニの話を黙って聞いていた亀は、全身が総毛だった!。

( 注 : 海亀の甲羅に繁茂しているコケを漁師が毛と勘違いすることがある。

ウッキーペディア)。

 

「だとすれば裏、お前は一刻も早く此処を立ち去らねばならん!。

お前は此処の存在を知ってしまった。乙姫様は用無しの人間を

此処に置くほど愚かではない。すぐにも刺客がやって来るぞ!」と亀。

 

「じゃ帰るっち。カニよ、またブクブクッてしてやりんな。行こ行こ」

 

「まあ待て裏。無事オカに帰っても、刺客がお前の家までやって来る。

そうだ、良いものをやろう。待ってろ」

 

亀は土間の冷蔵庫へ向かう。慌ててカニがそれを追い

冷蔵庫を一緒に覗き込んでいたが、亀だけが玉手箱を手に戻ってきた。

 

「カニは冷蔵庫の前で何を食ってんじゃろか」と太郎。

 

「トコロテンだ。……コラッ!カニッ!、冷蔵庫のドアちゃんと閉めろ!

…いいか裏、浜に着いたらすぐに玉手箱を開けろ。煙が出るから

顔全体に煙を浴びるんだぞ。そうすればお前は即刻オジイチャンになる。

その時いいか、上手いもんが玉手箱の底にあるぞ、とカニに言うんだ。

アイツはすぐ覗き込むから、その時、カニの後頭部を叩いて

玉手箱の底にアイツの顔を打ち付けろ。どうだ、出来るか」

 

「どういう意味かサッパシだなし。そうすっと、ドんぎゃなるんね」

 

「蟹もオジイチャンになるんだ。アイツも刺客に狙われるだろうから

顔を変える方がいい」

 

「カニも年取ると顔変わるんけ!」

「変わらない。あくまでもアイツの気分の問題だろう」

 

亀の指示通り、裏島太郎はその通りに実行した。確かに

紅顔の美少年はたちまち老人と化したが、

家族を始め村人のことごとくが、即座に彼を裏島だと承知した。

カニの素性は誰にも分からなかったものの、

カニは太郎の家で泡盛の味を覚え、村一番の酒豪になった。

裏島は一気に年老いたが、とうとう刺客など全く現れもしなかった。

亀の作り話で、おとぎ話の上っ面だけをなぞった帳尻合わせだった。

何が何でも玉手箱から煙が出る、というエンディングに固執しただけ。

 

ところで、太郎が老人と化したのは顔だけ。他は青年のまま。すなわち、

老人が清らかなボーイ・ソプラノで歌いながら浜辺をスキップする。

その噂はたちまち全世界を駆け巡り、

太郎の村は一大観光村で栄えたという。

 

完。

 

 

金運上昇の秘訣 / ヘビの抜け殻 / 貯金箱はカラ

Title : 人生はヘビィ~ (花蛇風月)

 

 

敗者を指す言葉、

“ 手も足も出ないだろう!”。

 

たしなめるのに使われる言葉 、

” 鵜呑み丸飲みにしてはいけない “。

 

こうも言う、

“ 体に毒よ ”。

 

諦め口調で呟かれるのが、

“ 長い物には巻かれろ ”。

 

“ 冷え性はツライ。 ヘビみたく動けなくなっちゃう ”。

 

これら全てに該当するヘビ。マイナス要素を踏まえた上で

 

“ ヘビは金運を呼び込む ”。

 

絶体絶命のマイナスイメージなのに、プラスイメージへの反転は何ゆえ?。

打たれ強いと視るか。デマ、迷信とみるか。

私の場合、ヘビの抜け殻を財布に入れていた時、

気のせいではなく、確かに金運が上昇した経験がある。

アオダイショウの物だった。

 

やはり貯金箱はカラ、より蛇の抜け殻だろう。

セミの抜け殻、これはいらん。

初回限定、価格破壊、激安 / 安心3原則

Title : 燃えよ激安!!

 

 

 

「初回限定大好き!、

何何、それ早く言え、早くッ!」

 

と、大きな黒目を

ディズピカ ( ディズニープリンセス系アイキャッチ・ライト )

させる夏の恋人、その名も海家 ( みや。21歳、フリーター )。

 

「言うと思ったぜぇ~、ヘラヘラ。

幼児は、2歳くらいまでは固いモン絶対食わせちゃいけないってこと。

歯がイカレちゃうんだよ。

ベロで噛み砕くことが出来る、

くらいのモンしか食べさせちゃいけないってことサ。

これが、いわゆる初回限定。儲けた気分の情報だろ?」

などと、サーファー特有の

フッマイル ( フッ素加工を人々に促さずにはおかない歯並びの笑顔口元。別称、カコマイ )

を見せながら海家 ( みや ) の肩に手を回す

波流男 ( はるお。19才、アリゲーター )。

 

「価格破壊って言ったから、期待して聞いたんじゃんかよバカアー、

姉キの子供の話と何の関係があるっつうんだよぉー」

 

浜砂ついた足裏で、恋人半年目の

バミュパハー ( バミューダパンツの腿部を半分カットしてミニパンにしたもの。別称バミュミ )

のオシリを軽く蹴る、黒焦げ肌の夏美女。

 

「子供は、目につく場所に置いてある物を

考えも無しに口に入れる習性があるんだってよ。

そんなモンで喉詰まらせちゃったらシャレになんないだろ~?。

だから値札は、即刻ビリビリに破ってゴミ箱に捨てる

のが親の役目なのよ。コレが価格破壊、分かるっしょ?」

 

「じゃ、さっき激安って言ったじゃんかよ。ソレ何だよ、言ってみ」

 

「子供が喉に詰まらせるモンが

回りから無くなれば親は当然激安心。

アレ、オレそう言わなかったっけか。要するにサー、

初回限定、価格破壊、激安 = 幼児の為の安心環境整備スローガン

 

「これがキーワードってこと。今は少子化の時代だろ~?。

社会ぐるみで子供を守ろうって意識が高まってんじゃんか。

だから大人達はみんな目の色変えて

こーゆーキーワー追いかけ回してるってわけよ」

 

「え。そうなの。アタシ、みんな少ないお金でやりくり大変だから

目の色変えてるんだって思ってたんだけど。…違うの?。違う…」

 

「違わなくないよ。子供が喉に物を詰まらせたら大変だろ。

救急車呼んでヘタすりゃ命の危険さえあるぜ。

医療費考えろって。

固い値札、食品トレー、食品プラスチックケース、

何でもかんでも即ハサミ!。

小さく切っちゃえば、ゴミ袋だって3枚使ってたものが1枚で済むんだぜ、

ちゃあんとやりくりの役に立ってんだよ」

 

「じゃ、小さい子がいない家庭はどうなんだよおー。エ?。

大人が固い値札を喉に詰まらせるわけないじゃんかあー!」

 

「ま、そうだ。でもオレのダチなんかヨメに値札見せる時、

もとの本物捨てて、PCで巧妙に作った値札にすり変えたヤツ見せて

お金チョロまかしてんだよ。立派な倹約だろ?。

これを価格破壊と呼ばずしてなん…

 

「アンタと話してると、ウチラの関係が間違いだったって確信するよ。

もう付き合わない。今ここで恋人解消させてもらう!。

そうすりゃ未来も激安だよ、な、そーだろうが」

 

「キレイに別れられたな。初回限定ロマンスか。

海の恋人だったなオレら ( 満足笑 )」

 

 

 

 

 

 

 

2022年 最強お守り壁紙発表!/ わざわいを食うフクロウ

Title : 遂に満を持して宇宙落下した2022年お守り壁紙

禍食い・わざわいぐい

 

 

 

〇 映像は、南米産の納豆糸で編みこまれた

膨張フクロウ

として有名な

“ぼあ”

の正面飛行の図〈アマゾン多重人格民族ヘマデヘドモ族の長老、ヘドメドモヘが某宇宙人達の依頼で光速撮影したことが後に判明している〉。

“ ぼあ ” は、幻のフクロウとされ、パラソル蟻に長寿と繁栄をもたらす鳥としてジャングルの猿達からアリガタヤと、あがめられている。

カバは “ ぼあ ” が大嫌いだそうで、その話題が出ると貴重な水源から

湯上りノボセでクラッとなりながらも慌てて立ち去るほどだという。

〈アマゾン腰痛民族テレンテレコレテ酋長、アシギテロコイイウームアンの談話より抜粋 / 参考文献:オオアリクイは北極にはいなかった・轟五郎ノ助著〉

 

 

 

毎年、前年の暮れに未確認飛行物体から落とされる

全長3センチの地球適応型メモリーが、

12月5日未明、今年もアメリカはロズウェル南西部の牧場に落下し、MANAの手で無事回収された。宇宙語変換システマイザーで地球言語に変換されたコメントは、

 

SPACEのSを除去してPACEとし、Pの字のあとにEを入れよ

 

国連予備会議は、このメッセージを過半数には至らずとして却下した。

2021年自身反省会 / 覆水盆に返らず

Title : 今年、ダメだった自分のシーンにアヒルグチ・ハイキック・パーンチ!

 

 

さあ、皆さんもご一緒に!。

 

毎年、この時期になると

「あーすりゃ良かった、こーすりゃ、こうだったのに!

と毎度バカバカしい後悔しきり。

こらえきれず、人にゲロップしたくなるのだが

「だからいつも云ってんだろーが。それをお前がフニャララフニャラ……」

となるので、涙目で唇を噛むばかりなのであった。

 

世の中には、後悔し、悔やみに悔やんだあと、

何とかやり直そうと再びガンバレることと、

残念ながら、そうはいかないことが、在る。

 

細心の上にも細心の注意を払う。

それでもしくじってしまった時には

最後の手段で

覆水 ( ふくすい ) を盆に返して、

水は、最初っから、こぼれたりしてませんでした

にしてくれる

Time Pony

を待つしかない。

 

Ponyには夢の中で会える。

 

 

Title : 後悔を乗せて連れ帰る小馬