「ねえねえ。あのサ。………新しいダイエットネタ仕込んできた。聞く?。ねえ。………聞くなら言うけど。部分で聞く?。全部聞く?」とキングコブラに一定の距離を置きながらも相手のフトコロ入りを狙うかの様なネコ背体勢でドテラの袖に両手首を入れ、コタツからその寝姿で肘を使わずに一体どうやって立ち上がれるのか分からないが、スゥーッと貞子のように抜け立ち上がるドン(女子校生)。
「てか、前髪切れよ。オカッパでもいいし。目が前髪に隠れてんの意図的なのか?。そういう犬が居るのは知ってるけど、アレは視力が弱いから直射日光避けてそうしてんだよ。お前もそうなのか?」と春先になってもドテラを手放そうとしない妹に苛立ちの声上げるボーリング帰りのデン(女子大生)。
「鬼の鼻にも水」「え?。アッ!」
慌てて鼻水ぬぐう姉の姿を上目遣いに見つめてククク、と笑う妹。
「そういう笑い方がこの話題のキモだな。で、どんなダイエット?」
「聞きたい?。としたら部分的?。全部?」
「何なんだよ、その部分的ってのは。てか、何で電気つけないんだよオマエは~。スマホの明かりだけで画面見てると目が悪くなっちゃうだろ~?」
「目は悪くならない。視力が低下するんだ。頭痛が痛いと同じ発言だ今の。ツイートしてもいい?、今の」
「部分的にしなよ。全部ではなく。ソレ、お前にお似合い」
「ダイエット。サボテン・ダイエット」
「は?。……サボテン食べんの?。アレ食べれんの?」
「インディアンは昔から食べてた。苦くないよ。味も全然ないよ」
「カロリーは?」
「高くない」
「どれくらいか、知らないのか」
「サボテン食べると便秘が治んだよ」
「マジ!。それ重要だ、マジか!」
「全部聞く?。部分的だと今ので終わるよ」
「全部聞くから。何、それで何ッ」
「ジュース飲みながら食べると胃袋の中でサボテンが膨れるから満腹になるんだよ。沢山食べなくても腹パンパン。お姉ちゃんはコビトカバフグになれるんだよ」
「コビトカバフグ?。どういう意味なんだ」
「トラフグじゃないから、お姉ちゃん。コビトカバだから」
「お前、コビトカバって見た事あるのか」
「見なくても察しはつく。カバのコビトだよ」
「そうかそうか、うんうん、分かった分かった。それで?」
「サボテンは顔のムクミを取るんだよ。肌もツルツルになるんだよ」
「マジ?!。それやるよ、やる!。どうやって食べるんだ」
「口に入れて噛むんだよ、バカだなあ」
「そうかそうか、うんうん。どう料理するって?」
「ステーキか酢に漬けてピクルスにするんだよ。体重が凄く減らなくても便秘しなくなって、顔むくみが取れて、美肌になる方が、体重減るより女は綺麗になるんだよ」
「言えてる!!、やる!!、それやる!!。サボテンどこで買えばいいの?!」
「ウチワサボテン売ってるとこ。ググりなよ。ネットで買えるよ」
◆写真タイトル / ささやかな願い顔