Nothing’s worrying me / My scribbling

 

 

crying’s not for me cause

I’m never gonna stop the rain by complaining

because I’m free

nothing’s worrying me

 

Raindrops keep falling on my head〈Song by – BJ.Thomas〉

 

 

さめざめと泣いたりするもんか

だってボクに 雨を止めることなんて 出来ないんだし

ボクは自由の身  何を心配するっていうのさ

 

雨に濡れても〈BJ.トーマス , 歌〉

What a fool I’ve been / Rhythm of the rain

 

 

Listen to the rhythm of the falling rain,

Telling me just what a fool  I’ve been

I wish that it would go and let me cry in vain,

and let me be alone again

 

Rhythm of the Rain〈song by , The Cascades〉

 

落ちてくる雨音の旋律を聴いてると

ホントにボクがバカだったんだと 分かるよ

虚しさを感じて泣けたらいいな

もう一度、一人ぽっちになるべきなんだよ ボクは

 

◆ 悲しき雨音〈カスケーズ、歌〉

出会いと別れの謎とは / ある校長の送る言葉

 

藍より青き海を、木造校舎二階窓から遠く臨む尋常中学校。日本晴れの今日は82名の卒業生を贈る門出、栄えある卒業式の日であった。

「では、茹で卵は固めが好きだという浜砂白夫(はまひんしらお、57歳)校長先生より送る言葉です」

「アー、テステス。…テス…(これマイク入ってる?、という仕草)。皆さん、テス。……ああそう?、イっちゃっていいのね?、はいはい。……ああ、皆さん。今日は本当におめでとう。先生一同、在校生一同、心からお祈りしていたところです。今日は、この島を出て本土の高校へと旅立って行かれる皆さんに、私から送る言葉を述べたい、そう思って来ました。

皆さん知っての通り、この島は素朴で美しい島です。本土とは陸でつながらない島です。しかし皆さん知っての通り、本土は島国です。私達の住むここは、島国中の島国ということになります。皆さん知っての通り、四国は大きな島国、本土の人達が四国に渡る時、それは海外旅行だと言われることをよく知ってますね。日本本土が島国なら、四国は島国中の島国、その最南端に位置するこの島は、島国中の島国中の島国に位置する計算になりますね?。そのことを噛みしめながら、わたしの送る言葉を聴いてください。タイトルは出会いと別れです。テス。

別れは幾つになっても寂しいものです。どんな時に人は寂しいと感じるでしょうか…。例えば、皆さんがお店で何かを買って、支払いの時に消費税は別途頂きますと言われたとしましょうか。これから就職面談会場へ出かける別れを味わう。会社先では個別に面談しますと言われる。個人個人が別々になる。面談では皆さんの分別についての質問があります。別れに何かける人なのか確認されるのですね、思い切りがいい人か、ウジウジするタイプなのかと。

素晴らしい受け答えが出来れば別格扱いされ、当然内定もらえますから、その時の気分たるや格別だと思います。との別れ、それは並外れた骨や各種資との別れを意味していますが、面談には合。おや?、これとは別れなくてもいいのかなと悩むこともあるでしょう。そのように別れというものは人を強くする機会を与えてくれるものなんです。

出会いもまたそうです。出て会う以上、室内での初対面者との接触は正式な出会いとは認められません。わざわざ室外まで出て行って改めて名乗り合う、これが本当の出会いです。見知らぬ不特定多数とのソーシャルリンクは出会いとは考えず、むしろ出くわすと受け止めて吉でしょう。

出会いが常に相手とのワリカンを指すのであれば、出くわすとは常にこちら側が相手に食べさせるというリスクを負うということでしょう。であれば、ある程度こちらも財布との打ち合わせとなります。出会い出くわすを混同してしまい、今月だけでも一体何人の見知らぬ人にメシをおごったか分からない、という生徒さんも大勢出ています。

別離離別の違いを皆さん答えられますか?。

個別別個の違いは何ですか?。

個別別々の違いは?。

出くわす出前の違いは?。

前に出ることと出前の違いは?。

前出(ぜんしゅつ)と出前の違いは?。

馬が出てくるのと出馬の違いは?。

離別離れずに別れられるやり方って何?。どーゆーこと?。テス。

更には死別離別の違いは?。

別離が別れなら幽体離脱はどんな別れ?。

離脱離別の違いは?。

死別別れてからの死の違いは?。

これは送別の会ですね皆さん。では聞きたい。

送別別送の違いは?。

どれもこれも、単語を構成する文字を、ただ安直に入れ替えただけだとは思いませんか?前後見境いなしとはこのことです。シャツをまえうしろ逆に着てしまうとかうしろまえ逆にして着るとか、皆さんどっちの言葉を使いますか?」

 

司会進行役の教頭が壇上に歩み寄り校長に時間が押していると小声で告げる。

 

「長くはなりましたが、とにかく私が言いたかったことは、別れとは特別なものだということです。卒業式のような別れるという意味です、特別とは。

今日は皆さんと別れる日ですね。苦しい時や辛い時には、今日私の投げかけた疑問を思い出して前後してみて下さい。これで私からの選別の言葉を終わります」

 

訳分からず拍手一切なし。

 

 

◆写真タイトル / 出会いと別れ事前解読特殊眼鏡 (通称:セメダレ4)

 

 

★ネコならエッセイ / 当ブログのエッセイ文、写真、イラストの無断掲載、転用を固く禁じます。

制服は遠きにありて思うもの / 迷子の日本人に目印ちょうだい

 

これは大真面目な話なのだが、日本人は大変な大間違いをやらかしてしまったのではないだろうか。最近ボクは、強く強くそう自問せざるを得ない。

先の記事で、日本人は変身願望が酷く強い傾向にあると書いた。歌手になりきり喝采を浴びるカラオケ、自分で実写化したヒーローやヒロインのコスプレ。

過酷な日常のさ中にあって、それらは傷ついた自尊心を立て直すことの出来る希少な特効薬だったのではないか。ステキな空想夢想代償行為だったのではないのか…。

いや、もっと言うならば、日本人はもともと、変身願望実現に不可欠なグッズであるところのコスチュームや小道具、そんな目印に社会全体が包まれていないと不安で不安で仕方がない民族なのではないかと。そんなわけで、今回は日本人と象徴ユニフォームに関して、大真面目な考察を試みたいと思う。

 

真面目で堅実なお嫁さん候補、そんなお嬢様を見初めたいならOLさんの制服、それが一目瞭然の目印。制服は七難隠す魔法の衣装、シンデレラのガラス靴より日本じゃ絶対OL制服。そんな一時代が比較的永きに渡って、在った。

それじゃ男性のためだけの制服?。NO。真面目で堅実なお嬢様で可愛いお嫁さんを夢見る女性達もまた、独身までの仮の宿としてOL制服に身の落ち着き処を感じていた。書類や判子、コピー機にフロッピー、そんな香りをまとったOL制服。その制服が一心に集めてくれる視線達の持ち主とは?。勿論、お嬢様方ご用達、白いワイシャツ腕まくり姿が頼もしい、ステキな未来の旦那様達であったはず、だ。

かつて “ ツッパリ ” なる言葉が大目立ちで各街角に在ったようだ。今で言えばヤンキーでヤンチャ、チョイ悪以上犯罪者未満なヤング達。ギラつくジェルで固めたリーゼント・ヘアを発展させ、ジェル抜き前髪ど真ん中を、あたかもコンドルの様に、或いは藤棚の垂れ下がり藤花のように、またはケイトウの花かニワトリのトサカかと見まごう様に、先端部をドリルの様な形状にして額に垂らす。ジベタリアンの様なポーズで座りガン決め。学生なら目印となる制服は改造学ラン。ツメエリをかつてのベルリンの壁の様に高く改造、自身のアゴ下に食い込む程に高く!。制服めくって裏を返せば唐獅子ボタンの刺繍入り。そんな兄ちゃん達の出で立ちに熱い視線を注ぐのは、やっぱり同族ツッパリ姉ちゃん。それだけかと思いきや、意外や意外、真面目で清楚な女子校生のアノコまでもが!。ということも珍しくはなかった。だって今でもそういうもの。男はチョイ悪くらいが魅力的って女子らのお言葉。

 

ツッパリでゾク。つまりはツッパリやって改造バイクまたがり特攻服でバリバリの暴走族ってやつ。つるんでマッポ(警察)とジグザグレース、それが土曜の夜のお楽しみ。勿論、目印は白いハチマキ、結びは長アく垂らして背中で袈裟懸け結び。特攻服のツナギ背中にゃ日の丸しょって、グラサン(サングラス)に編み上げブーツかセッタ。世の中の、はみだしモンだぜええーッ!。オオッと、木刀(ボクトウ)忘れちゃ決めポーズも拍子抜け!。

 

女子高生の制服王道はセーラー服。最近まではタータンチェックのミニスカだったが、それもモハヤ、風前の蛍の光、マドンナの勇気(窓の雪)。

デパガ(百貨店ガールの略)の制服は今なお健在!、凄いぞ美しきシーラカンス!スッチー(スチュワーデス)改めキャビンアテンダントの制服も健在ガラパゴスのミラクル、ナース制服もカモノハシ。ああああ、日本エアシステムの制服は今いずこ…。とはいえ警察消防、自衛隊にコックさん、ファミレスに各種工場の制服と、残っているものは全て職業制服。

職業外制服が消えたのだ。職業外ユニフォームが消えたのだ。見た目の一目瞭然マークが、目印ファッションが消えたのだ。視覚表現的な不良イズムが消えたのだ。今でもあるよストリート・ギャング系ファッション?。まあね、一部ね。とにかく消えた。車寅次郎的な目印ファッションが消えた。ルパンもコナンもヒーロー揃って一張羅(いっちょうら)だから、こっちは目印と勘違いしてしまい易いけど、よくよく見れば普通の服装、特に目印ってわけじゃない。

消えた消えた、何故何故消えた。目立つから、目立つと見られるから、見られると恐いから、落ち着かないから、陰口聞こえたら死にたくなるから、ストークされたら取返しつかないから。確かに確かに確かに!。間違いなし大賛成!。

 

今の時代がソレ。ソレって真理。真実。100人に聞けば99人がそう答えるハズだ。言葉で表現出来ないような、つかみどころのない、言い知れぬ、言い様のない、説明の出来ない、底の無い、漠然とした、何となくどことなく気味の悪い感覚、それが今。今という時代。今という空気。

このリアル感の不在。虚無のサランラップで素顔を覆われるようなナマぬる感覚、このフィーリング、この眺め、此の場所。その、あの、あそこの、あっちの、ずっと遠くに見えるあの、場所場所場所、わあああああああ何とかしてくれ、どうにかこうにかしてくれよおおおおおおおーッ!のこの感覚。暗黙の了解で、ある時から国内外を問わず人々は黒い服を着始めた。天空からその一群を見下ろせば、アレ?、これって制服?、大規模組織のユニフォーム?。

だからこそだった。だからこそ、学生達から制服を取り上げてはならなかった。目立った方が良いのだ学生は。私服は確かに世間に溶け込む。目立たない方が安全だ?。それは間違い。小学生は私服でも関係なく狙われる。とにかく、園児も小学生も、学生は全て制服で目立たせた方が良い。万引き、非行、やりにくくさせた方が良い。未成年じゃありませんと言い訳出来ないようにした方が良い。グローバルで自由な時代、制服なんてもう古い、の決断が間違っていたのでは?。

日本人は包装紙評価の文化。お中元やお歳暮、やっぱり包装紙が物を言う。だからこそお受験華やか。一流大や就職先の名前が欲しい。良い悪いは一旦置いといて、とにもかくにもそれが今。昔もそうで今も今。それが現実。だったらその線で統一しなければ不都合アリアリ、モハメドアリ。

有名中学それが目印、一流大学一流企業、それが錦の御旗。一部上場それが証拠で確実手形。世界で稀なランキング付け大好き民族、それがワタクシ達ゆえに。

名詞交換、名詞社会、つまりは肩書社会、要するに目印社会、どこそこ所属ね、あーあー分かりました、その目印好き、その目印見覚え有りで信頼アリアリ。名詞の価値の高さは名詞が通行手形だから。いやいや、それだけではない。初対面の人間に対し、話の糸口を見つけることが苦手な日本人の力強い味方の位置づけが名刺にはある。

日本人は昔ッから話ベタ。井戸端会議華やかなりし頃を一体どう説明するのかって?。相手がとっても顔見知りならピーチクパーチク大丈夫。あまり良く知らない顔見知りが1人参入しただけでお喋りパワー微妙にダウン。更に他人が参入した途端、会話はフェイドアウトで解散、ハイそれまでよ。

かつての目印ファッションは、会話レスの日本人にとっては非常に便利で都合のいい、かくも親切でありがたいインデックスだった。話のとっかかりの有無も判断しやすかった。ツッパリには話しかけない。だと向こうも助かる。お互い不可侵条約履行でノープロブレム!。だったのにねえ…。

茶道、華道、書道、剣道、柔道、合気道、とは心の作法なりと見つけたり。作法はその道の世界の必要不可欠なガイドさん。バス道がもし在るならバスガイドさんはやっぱり制服でいて欲しい。現地集合の際も一目瞭然の目印なり。ならばOL制服は女性のオフィス道、ツッパリ、ゾクはご意見無用道、警察消防医師自衛隊ならお天道様道。公的私的、制服全般ひっくるめれば、これこそまさに日本人の花道、道導(みちしるべ)。

外道もあれば邪道もある。獣道(けもみちの)から人様の道。道草の余裕も道知ればこそ。学道から車道、あぜ道から公道。名も有る道は皆の願い。道には目印、道標(みちしるべ)。話ベタでも迷わない、一人旅でも迷わない。道ゆき、なりゆき、みちしるべ。それが制服、それが日本人たる道しるべ。

それが消えた、それが失せた、それがそれがそれが、そもそもの間違い最初の試練。社会の制服半分以下に。それなら口ベタ返上、コミュニケーション活発に。力を合わせて話し合い。饒舌、活舌、盛り上がれば大繁盛、果ては挨拶かわし明るい笑顔、今では誰しも話好き。そうだよ、これこそグローバル、弁論大会あちこちに、理論武装の面白さ、リベート番組アア大人気ったら高視聴。率。とは。いかな。かっ。たァァァァ……。

先の考えもなく得意の流行りに踊らされ、一体誰がいともたやすく目印を奪うのだ。分かってますって、時代でしょ?。

 

制服?。そんな話は最初から一度もしていない。

 

会社の中、一番頼りになる人が突然消えた。職場の道しるべが。何故、どうして。何で。

 

 

その話しかしていない。

 

 

 

◆写真タイトル / 目印は揚げ玉 (カモノナカ調理、冷やしタヌキ蕎麦)

 

 

 

★ネコならエッセイ / 当ブログのエッセイ文、写真、イラストの無断掲載、転用を固く禁じます。

涙、泪 / 出し惜しみ反対!

TVの視聴率がガンガンに落ち込んでいる。特に20代以下若者のテレビ離れは猛烈雪崩で歯止めは効かず、これまでの条件反射か手持無沙汰か、高齢者はテレビをONにはするものの、番組内容自体には余り執着せず、従ってCMスポンサーへの貢献度も低い。

消費の鬼は今や若者女子だけ。よってTV局はそこだけ狙ったピン・ポイント攻撃に特化した女子ウケ番組作りに精を出し、男性は締め出された形となった。よって幼児性、享楽性が高く、社会問題とは甚だ遊離した番組が目白押しとなり、それが一層TV離れを加速させてゆく、というオチ。

若い女子は短絡的、今を生きるだけのお気軽思考、とは年配者の大方意見。確かにそうだが彼女達にも悩みは山積、ヤロー共の様に深刻に考え自分を追い込み、ドツボにハマッてドッピンシャン、とはいかないだけだ。

つまりは、男より女のほうが生きるのが上手い。人生の難局をヒラリヒラリかわすのが上手い。難題に対して何の対抗策も講じず、ただひたすらに必殺の逃走あるのみ!。ゆえに男よりはストレス・フリー、ゆえに男より寿命も長い。

ゆえにマネする男子も徐々に増えてきた。女性化しちゃって草食系。いいんじゃないの別に。真っ向勝負のガチばっかりやって、ストレス過多の前のめり崩落よりは。ただし、行きは良い良い帰りは恐い。その代償も覚悟せねば。

若さの最大の弱点は老いた自分を想像出来ないってこと。例え出来ても頭の想像と現実のギャップは天と地ほども違うのだ。自分で自分をを頼れない人間は脆い(もろい)。弱い、なんてナマやさしいもんじゃない。

コンニャクを全力で踏み潰す。コンニャクはダメージを受けるが形状はしっかり保たれている。これが “ 弱い ” 。

カリッカリのトーストを全力で踏み潰せば粉々。これが “ モロイ ”。つまりは再生不能。

人生訓が必殺の逃亡。女子は前向き敵前逃亡、男子は後ろ向き逃亡。ゆえに女子はストレス・フリーで購買意欲にダメージなし。ゆえに男子はストレス過多でストレス・ヘヴィー。持ち物ナーンもなしの身軽身分で超軽量。そりゃあそうだ、女を守るために作られたのが男。守られるために作られたのが女。そもそも精神構造がまるで違うんだから、マネなんかしたって結果は全くまるで完膚なきまでに、違うってもんでありんしょう。

昔の人は言いました。泣く子は育つ、と。サメザメ泣けば即時に発散ストレス・フリー、心はいつも健康に。さすが先人の知恵、違うねぇ~。そんなわけで男より泣く回数の多い女子の心は男より健康。ウツ病、自殺者の男女比率が明白に物語っている。

 

男と女のお話 (久仁京介 / 作詞、水島正和 / 作曲)

ベッドで泣いてると 涙が耳に入るよ

昔を忘れてしまうには 素敵な恋をすることさ

 

 

ひとり寝の子守唄 (加藤登紀子 / 作詞作曲)

ひとりで寝る時にはよ もみがら枕を 想い出がぬらすだろう 人恋しさに

 

 

酒と泪と男と女 (河島英五 / 作詞作曲)

おれは男 泣きとおすなんて出来ないよ 今夜も酒を煽って 眠ってしまうのさ

おれは男 泪を見せられないもの

 

泣けば官軍、泣かねば賊軍。泣かぬなら殺してしまえキリギリス、泣かぬなら泣かせてみようホトホトギスギス。泣かぬなら泣くまで待とうストレスでギスギスなんだねえ、これが!。女子の敵前逃亡を真似る進化形男子も、やはり泣きに泣くのはチョイト無理だろう。男だから、も多少はあるものの、泣けば傷つく自分を助長する、傷ついてしまった証も同然、怖くて泣けぬ、が理由ではなかろうか。或いは、心が石の巌となり、もはや情緒は蒸発したか。

 

 

さらば涙と言おう (阿久悠 / 作詞、鈴木邦彦 / 作曲)

頬をぬらす涙は 誰にもみせない こらえきれぬ時には 小雨に流そう

さみしさも悲しさも 幾たびか出会うだろう

だけどそんな時でも さらば涙と言おう

 

高度成長スーパー加速のさ中、社会が少年達に用意した模範教科書は、巨人の星や明日のジョー。そんなスポコン漫画全盛時代にあって、涙をこぼしちゃいけないは至極納得、公害問題、心の病などフッ飛ばす勢いの価値観だった。社会的な魂のスローガンは根性で、忌み嫌うべき言葉は性悪。今と真逆とは価値観は反転するものなのかなと…。ほどなくそんな現状に疑問を感じ、方向性を押し戻そうとする真逆の抵抗勢力も生まれ始める。そうだ、それこそが民主主義の天秤計りというものだ。河島英五いわく、

 

てんびんばかりは 重たい方に 傾くに決まっているじゃないかい

どちらも もう一方より重たいくせに どちらへも傾かないなんて おかしいよ

てんびんばかり (河島英五 / 作詞作曲)

 

 

 

◆帰らざる日々のために (山川啓介 / 作詞、いずみたく / 作曲)

愛する人がいるなら 求めるものがあるなら

何にも怖くはないさ そいつが青春

涙は心の汗だ たっぷり流してみようよ 二度と戻らない 今日のために

 

二度とらないのという字にサンズイを付けるとなんだねぇ、これが!。

 

 

今の20代以下の男子には静止のイメージがある。ボクの私見で恐縮だが、静止という漢字を分解すると、青い争いを止める、とまァ、こうなるわけなんだ!。青春のもつれ合い、もがき合い、学びが出来る健全なケンカ、そんな行為が今の若者には希薄だ。止まっている。止まってしまっている。何が。成長が。気持ちが外に出る前に、喉元か何処かで止まってしまっている。寸止めより遥か遠くで。すなわち静か

傷つくのを異様に恐れるイマドキの若者達。恐れて行動さえ出来ないのなら、せめて涙だけはガンガン流して欲しいと思う。何もかも忘れて水に流しましょう。と涙の意味は全く違う。涙は脳がストレスを体外に放出するための手段。つまりは膿を出すのと同じ。そう考えれば誰だって溜め込んでいるのはキモいハズ。

涙がこぼれないように上を向いて歩く。つまりは泣いている。しかしながら若者は皆、うつむいて歩いている。つまりは泣く気がないのか。独りの部屋ではうつむいていないのか。うつむき癖がついていなければいいが。

 

大きな玉ねぎの下で (サンプラザ中野 / 作詞、嶋田陽一 / 作曲)

アンコールの拍手の中 飛び出した 僕は一人 涙を浮かべて

千鳥ヶ淵 月の水面 振り向けば 澄んだ空に 光る玉ねぎ

 

 

だがだがしかし、近年は少し怪しくなってきてはいないか、女子の涙。泣くのがサガの女子さえも、涙を合図にともすれば自身が崩落するやもしれぬ感覚に、ついぞ涙を怖れて “ お笑い一辺倒病 ” にどっぷり浸っている昨今ではあるまいか。この推測が当たっているならば、もともと箸が転んでも可笑しい年頃ゆえのお笑い渇望、それゆえTV番組はソレ一色、と成りにけりではあるまいか。だとすればお笑いに乗らない男子のTV離れは自明の理。

 

 

若者は単独でお茶することが多い。

お茶は英語でTEAお茶する人TEAR(英語ではありませんので念の為)。TEARは英語で。ゆえにお茶する人なら涙の人。これこそが真の泣ける話。Xjapanのトシだって歌ってるじゃないの。

 

という字のは、大きな戸と書く。

これすなわち泣いて泣いて泣くだけ泣いて、やがて大きくなって帰って来いよ、の意味だと思うんだけど。

ダメ?。

 

 

 

◆写真タイトル / tears

 

 

 

★ネコならエッセイ / 当ブログのエッセイ文、写真、イラストの無断掲載、転用を固く禁じます。

財産相続裁判の行方 / 本妻VS愛人

 

夫である貼彦(はるひこ)突然の他界、それは空恐ろしく炎上する骨肉の争いを示唆していた。白日の下に晒される妻と愛人の修羅場、それが法廷内でたった今、幕が切って落とされた。まずは愛人側弁護士QBが答弁。

「愛人であった金本さんは張子さん宅を訪問し、その玄関口で “ 私は内縁の妻なんだから貰う物は貰うわよ! ” と言った、と私の依頼人が供述書しております。これは…」

「裁判長、異議あり!。内縁の妻とは内側を指しておりますが、金本さんは貼彦氏とは1度も同居した記録がなく、よって部外者扱いとなりますので外縁の妻が相当であると思われます」と本妻側弁護士GH。

「分かりました…。書記官、内縁の妻という文言を記録から削除するように…。QB側は答弁を続けて下さい」と裁判長。

「とにかく、金本さんは張子さんに “ 私は外縁の妻なんだから貰う物は…」

「裁判長、異議ありッ、金本さんは如何なる場でも自分が目立たなければ気が済まず、いつも故人との交際を周囲に見せつけていました。つまり金本さんは裏方で故人を支えたことは一度もなく、縁の下の力持ちたる証拠を何ら有しておりません。よって、外縁の妻という文言からという字を削除し外の妻と表記するよう強く求めます」とGH。

「QB側、何か反論はありますか」と裁判長。

「確かに縁の下の力持ちではなかったかもしれませんが、金本さんはよく故人と縁日に連れ添って出かけており、故人と出かけた出雲大社でも八百万の神に縁結びの願掛けを度々行っています。それも必ず本妻には内緒の外出でした。以上のことから金本さんは推定内縁の妻に該当するものと考えます。また金本宅の庭は吹き抜け庭園で住居の真ん中に位置しており、そこには小さな縁側も有ります。ここに吹き抜け庭園の縁側写真Aを証拠として提出致します」

「受理します。QB側は答弁を続けて下さい」

「本妻である張子さんは訪ねて来た金本さんに “ 私が貼彦の家内でございます ” と挨拶した、とありますが真実なら虚偽発言です。家内とは家の内側に居る者の意味ですから、共働きの張り子さんには全く当てはまりません。正社員である張子さんの家外活家内に該当せず、家外でございますと挨拶せねばならなかったが、しなかった。裁判長、私は張子さんへの口頭弁論を求めたいと思います」

 

「張子さん、アナタは職場同僚の者達に向かって “ 所詮愛人は愛人、奥様に勝とうなんて十年早いのよ ” と発言したとあります。発言に間違いはありませんか」と愛人側弁護士QB。

「ありません…」

「とすると矛盾しますねえ…。大きな奥座敷の通称が大奥。家の奥で常に控えている方だからこそ奥方。現代表記では奥様、または奥さん。ですがアナタは毎朝出勤し、朝早いことから住居内では玄関に一番近い部屋を自身の部屋にしています。つまり奥様ではなく手前様だったのではありませんか?」

「だとしても金本さんが愛人で私が配偶者であることには何ら変わりありませんけど」

「しかし実質的にはアナタは料理など作ったことは1度もなく、白米は連日ストア購入だったとレジ係が証言しています。だとすると、また食い違いが出てきますねえ。奥様という漢字の中にはという字が入っており、この漢字はどう見てもオヒツに入ったで…」

「異議あり裁判長、根拠のない推論で誘導尋問です!」とGH。

「認めます」

「では質問を変えましょう。あなたはさっき自分が配偶者であることには変わりがないと言った。しかし実際に出雲大社で仏像を多数購入し故人にプレゼントしたのは金本さんでアナタではない。アナタは過去一度も夫に仏像神像の類一切を贈ってはいない。配偶者とは偶像配る者のことで…」

「裁判長、事実誤認で明らかな誘導発言です、削除を求めます」

「認めます。QB側は弁論に配慮をするように」

「分かりました。裁判長、金本さんは月に1~2回ほど故人を自宅に宿泊させる習慣を9年にわたって続けてきました。つまりこの行為は同棲に当り、という字には明白にという字が見てとれます。ここに本年度最新版電子漢字辞書Bを証拠確認補佐資料として提出致します」

「受理します」

 

公判はもつれにもつれ、最終的には最高裁の判断を仰ぐこととなった。財産分与訴訟では類をみないこの裁判は、結局元妻と元愛人が個人財産総額248,500円を二等分することで和解が成立した。

 

 

◆写真タイトル / 炎上する焼肉

 

 

 

★ネコならエッセイ / 当ブログのエッセイ文、写真、イラストの無断掲載、転用を固く禁じます。

成功は失敗のママ

 

成せば成る、成さねば成らぬ何事も。

「成すって成功の成。成長の成。成熟の成。でしょ?ママ」

「そうよ。そうに決まってるじゃないの。決まりキントキよ」

「成金てググッたらねー、将棋の駒が敵の陣地に入って金将に変わることだってー。あと、貧乏だった人が急にお金持ちになることだって書いてあったー」

「そんな決まりキントキなことイチイチ大人に向かって言うんじゃない。ママは金時作ってて忙しいんだから」

「だって聞きたいんだよー。成功とか成長とかって時間かかるもんでしょー?。TV番組の『暴れん坊将軍』とやらがさー、成敗って言うじゃーん?。すぐ切っちゃうじゃーん。なんで成なのに時間かかんないんだよー」

「だから必ず時間がかかるってもんでもないのよ。株で一発当てたら突然成金になっちゃうでしょ。将棋だって相手がヘボならすぐ成金よ。そういうことよハイハイ、分かったら何処か行って」

「ママは即刻成るのと、時間がかかって成るのとじゃ、どっちがいいと思う?」

「へえええええ?。……う~ん、早い方がいいんじゃないの、善は急げってモンだから」

「アッそう!。アタシ15だけど妊娠しちゃった。どうしよッかなー」

「ええええええええええええええ?。今何て?。誰が妊娠したって?」

「アタシ。素早く成熟、妊娠に成功。子供マッハで変わって成金の値千金、どうするか判断よろしくチャン」

「じょ冗談でしょッ?」

「もちろん冗談だよ。バカだなあママは」

「バカはアンタでしょッ!。何下らない事言って大人をからかうのよ!、言っていい冗談と悪い冗談が在るんだからね!」

「大人なら適当な受け答えするんじゃない。アタシはそんなママに育てた覚えはないッ」

「何ですってェ!、コラッ、何処行くッ!、戻って来い!」

 

帰宅したパパに一部始終を話すママ。

「心臓止まるかと思ったんだから!」

「オマエがオレの反対押し切って成子って名前つけたんだろ。オレは聖子が良かったのに。オレの責任じゃない。そこんとこ宜しくチャン」

 

マンガ喫茶で一人苦悩続ける成子。

「何で暗いんだよー、セーコォーゥ」とチャラケ友。

「んー?。…成功の後ろ読みが、功を成す。成熟の後ろ読みが熟成…。成人の後ろ読みが人に成る…」

「何一人ブツブツ言ってんだよゥー!。セイコーゥ!、早くベーコン食べに行こうよォーゥ!」

「成子の後ろ読みは子供に成る…。ママはアタシを永遠に子供のままにして手元に置こうと計…画……」

「何一人でクラッとしてんだよォーゥ!。早くベーコン食いに行こーよォー!」

 

 

 

◆写真タイトル / ベーコンよりお子様にはコレだべ

 

 

 

★ネコならエッセイ / 当ブログのエッセイ文、写真、イラストの無断掲載、転用を固く禁じます。