音楽と力

Title : スズメバチ

 

 

最強の黒人グループを次々に輩出したモータウン・サウンド。甘くロマンティックな旋律ゆえ、かろうじて社会的存続を許された。ただの恋愛ソングだから。

我が身我が世の存続を賭けスパークする強烈な自己主張、ラップに辿り着くまで、彼らは長き道のりを耐えた。

ヒットするか否か、儲かるか否か。それはいついかなる時代もレコード会社の仕事。アーティストやミュージシャンは事あるごとにそれとぶつかるだけ。最初から迎合など有り得ない。音楽は我が身の化身、ツアーを営業などとは絶対に呼ばないし、ましてやコンサートを商売などと言ったりはしない。

不思議でならないのは、冗談交じりに何故自身の存在を愚弄するのだろうか。攻撃への保身なのだろうか。

歌手が売れることしか考えていない。そんなことは有り得ない。有り得るはずがない。自分が紡いだ言葉の主張が皆の物なら、浸透するだろうと確信するだけだ。一見前者と後者は似ている。そこがゴマカシの腕の振るいどころだろう。

Lose youeself EMINEM

Title : オレをエビフライにしてくれぇ!!

 

 

He opens his mouth,    but the words won’t come out

he’s choking how,   everybody’s joking now

The clock’s run out,   time’s up over, bloah!

Snap back to rearity,   Oh there goes gravity

 

You only get one shot,   do not miss your chance to blow

 

◆ Lose yourself     EMINEM

 

奴ァー口開けたが 言葉が出たくないってよ

何で自業自得やってんだ ? アイツ

何今の、これってジョークかよ

時計の二つの針が回ってんぜ

ハイお時間、バッカじゃねぇの!

 

ピシャッと我に返りゃ 流れるこの重てぇ空気

 

一撃でキメろよ オマエ

ガツンとキメる1度っきりのチャンスを 逃すんじゃねぇぞ

 

 

貧困から這い出そうとラップに全てをかける男。白人の自分以外は全て黒人の溜まり場でラップ勝負に出るがさんざん。言いたいことも何一つ言えず嘲笑の的。

チャンスなんてそう何度も貰えるわけではない。夢破れても何度でも立て直せる、そんな境遇なら御の字。立て直すチャンスさえ絶望的だという崖っぷちの人々がいる。膨大な数。そんな人々を激烈に突き動かし力を与えるエミネム。空恐ろしい才能の持ち主だ。

崖っぷちの黒人達が白人に絶大な支持を与え認める。そんな凄まじい奇跡が稀に起こる。エミネムの前、それはプレスリーだった。