日本人は歴史ものが好き

Title : 「こッ、これも日の…丸……」

 

 

憲法改正のための機は熟した、と安倍首相と自民党。改正是非はここでは語らぬとして、発言したいことは他にある。

真珠湾攻撃。その全様の説明をキチンと出来ない国民が大多数の現況下、第9条改正の機は熟した、とは中国や北朝鮮に対する国民の危機感、転じて世論を見ての事かと疑わざるを得ない。

『下関フグ』といえば日本人なら誰もが知るブランド。故に、トラフグの商品価値を高めるために、下関で捕獲されてはいないトラフグも下関までわざわざ水揚げに向かわねばならない。これはトラフグに限ったことではないが。

つまり、日本人には名刺に相当するブランド名が全てで、信用基準は名前だけに頼られる。

遊んで卒業証書を手に入れただけの者も、一流大卒なら偉い人。海外諸国もそうした傾向を持つが、社会全体がそれを大真面目に容認し異議申し立てに聞く耳持たない異常性が他国と一線を画す。

真珠湾攻撃を説明出来ない自分に、日本人としてのアイデンティティーを持ちえない恥を感じず平気でいられる要因は、

昔の日本人がしたことは、自分とは全く関係がない

という考え方による。

自分勝手。かつて、カラスの勝手でしょ、というギャグが大ヒットしたように、

他人は関係ない。自由な自分に御意見一切無用。この考え容認が社会ぐるみで行われた結果、歳月を重ねるたび、負の遺産は純度の濃いものとなって今完成した。

英語堪能で意気揚々と海外に打って出る。話題が真珠湾に及んでも、

「私が生まれる前の昔の話なので、ちょっとそういう話は…」

と苦笑いしてアメリカ人と別れ、上司に商談は成功しそうです、と朗らかに笑う人の話を聞くにつけ、背筋が凍る。

仮に商談が成立しても、これでオレも国際人と胸を張る虚しさは国宝級だ。