ビー玉魚 / 川崎浮島釣り園で日没メバル

 

 

 

煮付や刺身が美味しいメバル。その名の由来、一説には “ 目が張る ” “ 見張る” から来ているのだとか。確かに。冗談ではないかと思える程の大目玉、まるで取って付けたようなビー玉アイ。さぞかし物が良く見えるだろうと推察すれば、やっぱり釣り人各位、「メバルは目がいいからねー!。仕掛けミエミエで明るいうちは釣れないよーん!」との声しきり、よーんよーんとコダマする。

ボクとすればやや異議アリ。薄曇りなら真夏の午後4時でも結構釣れました。夜行性が強く、昼より日没から夜の方が良く釣れる、との記述も多いです。それが間違っているとは全く思いません。記述した方々の釣り座メバルがそうなんだと思うのです。去年、初夏2週間に6回釣行、18センチ前後のメバルを8尾ゲット。うち7尾は夕方4時~4時半の収獲、日没後7時代は1尾のみ。やはり、各釣り座でメバルの習慣が違うのだと思います。メバルに限ったことではありませんが…。

ある日の黄昏時、ボクがブッコミ(仕掛けをオモリで海底に沈める釣法)で20センチ超えのウミタナゴをバンバン上げていると、高価なスーツをお召しの貫禄十分な初老男性が音もなくボクの背後に。ズイッとバケツの中を覗き込む。中には9尾のウミタナゴ。顔が合ったボクに「これはウミタナゴというんだよ」と諭す様におっしゃる。「そうですね」。

即座に10尾目のウミタナゴが上がる。鍼(ハリ)を魚の口から外していると、足元の仕掛けをシゲシゲとご覧になった紳士、「ウミタナゴは浮き仕掛け(ボクの仕掛けとは真逆、仕掛けを浮かせる釣法)でないと釣れないよ」とキッパリ。返答に困るボク。だとすれば、今ボクがしている釣りは超常現象なのだろうか?!。

そんなわけで、釣りに “ 絶対 ” はないです。メバルは視力が良いから太い糸だと見抜かれやすいと言われてますが、ボクが上げたメバルは全てハリス(釣り糸)2号。決して見えにくい細さではありません。でもメバルさん達には気にならなかったのでしょう。理由は分かりません。

彼らは海底よりチョット上、頭を上にして体を傾け、頭上を通過するエサを数尾グループで待っています。海底のストラクチャー(岩やテトラ、海藻などの障害物)の中や極く付近で見張っているのです。岩場に居つくことから、カサゴやメバルはロックフィッシュとあだ名されます。釣り上げた時の海底環境によって、ある時は銀色に茶色い縦縞、黄金色に茶色い縦縞、の体色と様々です。なかなか愛嬌のある受け口、可愛らしいですよ。

◆メバル23センチ。寸が詰まって見える程のメタボ君です。キス天秤、ナス錘6号、自家製90センチ胴突仕掛け、モトスとエダス共に2号。鍼(ハリ)はメバル8号。アップダウンの誘い掛け。

 

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穴子バンザイ!! / 似て良し、焼いて良し、最高の寿司ネタ

ふっくら柔らかい穴子。煮て良し、焼いて良し!。アナゴの押し寿司、アナゴの握り。

アナゴ散らし寿司にアナゴ天!。アア、そのさま思い描くだけでも卒倒しそうに熱狂するボクの胃袋!。近年、ウナギの枯渇からアナゴを代用する動きがワイワイ活発化。

しかし残念ながら似て非なる物、ウナギ大好物でもあるボクにしてみれば、やっはり気晴らしに食すの範囲を出ない。非常に柔らかく調理されたウナギでも、どこか引き締まった筋肉の名残を歯先に感じる。

それこそがウナギの旨味要素の大事なひとつではあるまいか。他方、アナゴにそれはない。あくまで柔らかさを内包する柔らかさ。それこそがアナゴのアナゴたる由縁、旨味要素のひとつではあるまいか。

釣り初心者だった頃、いかにも通が入る店といった風情の天ぷら屋を発見、ただちに入口横のお品書きに急接近す。“当店名物アナゴ天丼”。うわぁぁ~、即入店。菜箸の長さに匹敵するアナゴ天がシシトウとミョウガ天の上、丼またいで明日にかける橋。大喜びでひとくちパクッ。

穴子料理にまつわる問題点。ナマ臭いッ。これはアナゴ料理を台無しにしてしまう。匂いも味のうち、ではなく、匂いは味の半分かそれ以上の味、が正しい。松茸しかり、珈琲しかり。

穴子料理にまつわる問題点。柔らかくないッ。噛めば溶けるは積雪。そこまでとはいかずとも、やはり柔らかくあって欲しいはアナゴへの祈り。

穴子は夏の釣りもの、と言う人がかなりいます。遠投するんでしょ?と言う人も。アナゴって夜でないと釣れないモン、と言う人も少なからず。ボクも最初のうちはそう思って諦めておりました。

ところがある年のクリスマス、夕方5~6時。ボクは40~46センチのアナゴと7尾と20~30センチのカサゴ8尾を一度に釣り上げるという恩恵に浴してしまったのです。これは神の御業(みわざ)か!。

ペンシルアナゴと呼ばれる鉛筆大のアナゴを釣ったことはありましたが、こんな食べごろサイズは生まれて初めて。しかも問題は釣れた場所。それは沖合ではなく目の前の岸壁!。カサゴ釣りのつもりがアナゴ軍団鳴り物入り大乱入!。

仕掛けを落として5分以内に即アタリ(魚がハリに掛かったという合図)。大忙しの入れ食い状態。

カサゴとアナゴが仲良く手に手を取って暗い海から上がってくるサマは何と微笑ましいことか。直立不動、無反応で上がってくるカサゴの頬や腹に、半狂乱で暴れるアナゴの容赦ない全身ムチがピシャッ!、ピシッ!、と襲う。

口から鍼(ハリ)を外す時、カサゴさんは病院ベッドに寝そべった患者さんよろしくジッと医師の指示に従っているというのに、アナゴさんはとてつもない力で暴れ続け、ハリを外そうとするボクの指、手首に巻き付き、頭がどこに行ったやら全く分からず、手も腕もアナゴさんのヌルヌルでベータベタ。

それでも何とか口を見つけ鍼外しで外そうとすると「噛むぞ」と威嚇し、実際噛む。しかも痛い。

アナゴは全身のヌメリを落とさないことには包丁など使えません。熱湯に一瞬つけて即引き上げ。するとヌメリは青白くバター状に凝固しております。それをバターナイフでそぎ落とせばヌメリはゼロ。早速捌いて、あとはイソイソと天ぷら支度ッ ♪。新鮮だから無臭天ぷら。

いやいや、香ばしい匂いが立ち上りますぞ。ひとくち噛めば、あーコレコレ!。ふんわり柔らか、そしてジューシー!!。

 

●写真上、穴子62センチ、下の群れはアナゴ45センチ前後。スパイク天秤に仕掛け60センチ2本鍼、ハリス3号。ハリはチヌ4号。餌はサバの切り身短冊。

 

 

忍者シリヤケイカ / 墨を吐く変幻自在な宇宙人

 

 

 

甲イカの仲間、シリヤケイカの第2弾です。今回は記事というよりシリヤケイカの形態、形状の面白さを見てもらいたいなと思いまして、写真数点の紹介です。

上2点を見比べてみても面白いですねぇ。上は青みがかった墨色、下は温かみのある茶色。寒色系と暖色系、どちらも釣り上げた直後の体色です。

上は真横から見たところ。真上から見る印象とはまるで違います。上着を軽く羽織ってお出かけ、そんな風にも見えて笑えます。お腹が一番美味しいところ。因みに地面の水溜り、実は水ではなくイカの噴射した墨であります。イカスミには魚を惹きつける作用が有るそうです。パスタファンだけじゃなかったんですね。

 更にこちら、真っ白で清純な海よりのお使者。そんな可憐なイメージさえ感じられるのは薄紫の帯模様が高貴だからでしょうか。大抵はこの体色で上がってくることが多いでしょう。
 横、未知との遭遇。宇宙からの未確認生命体。いわゆる宇宙人。シリヤケイカを宇宙人と呼ぶ釣り人は結構多いです。目を持たない宇宙人ですねコレは。

 

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小さなお肌 / 寿司ネタのコハダ

 

 

 

地味ながらも江戸前の寿司ネタに欠かせないコハダ。コハダの処理の仕方を見れば職人の技量はすぐ分かる、と何かのグルメ本で読んだ記憶があります。ボクも思いがけずコノシロ(コハダの正式名称)をマグレで釣り上げ、喜びいさんで捌いてみたことがあります。小骨が多くて苦心惨憺(くしんさんたん)でしたよ。涙ぐましい作業でありました。

しかしまァ、ボクは寿司職人ではありませんから別に見栄えが酷くてもヘッチャラ。サッサと寿司酢に1日漬け込み、サッパと同じくサランラップ巻きして速攻押し寿司!。食してみると何とも言えない不思議な味。美味しいような、そうでもないような…。握り寿司は昔から大好きでしたがコハダはほとんどパスでした。1度食べて美味しく感じなかったからです。皆さん同じ感想なのでしょうか、回転寿司でもあまり見かけないネタになってしまいました。やはりコハダが旨いか否かは職人の腕ひとつにかかっているのでしょうねえ。

サッパと間違えられることがありますが、背ビレ最後部がヒョロヒョロ~っと紐状に伸びているので区別出来ます。戦国時代から食べられているそうで、日本人の底力のため是非とも必要不可欠な青物だと思われますが、いかんせん、何故か近年漁獲量が減っているそうです。堤防釣りをしていても「昔はいっぱい釣れたんだけどなあー!」と嘆く釣り人少なからず。皆があまり食べなくなったので「どうせ僕なんかジャマ者なんだろ!、ビエーイ!」とすねて何処か遠い彼方へ姿をくらましてしまったのかもしれません。

 

◆コノシロ29センチ。夜釣り、3号棒浮きにハリス2号吹き流し、中通し錘(オモリ)3号、セイゴ鍼(ハリ)にイソメ。ハリ上70センチにガン玉2B。

 

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シリは燃えているか / 東京湾にまで来襲したシリヤケイカ

 

 

 

日本人に最も食べられている魚介類は、以外にもマグロではなくイカやキス!。握り寿司ではトロサーモンだなんて話(マスコミ情報)もよく耳にします。日本人の味覚も年々変わってゆくのですねぇ…。

さて、堤防釣りでイカをターゲットにするというのは地域限定という通念が一般的。そこにイカが生息しているか、もしくは旬な季節に回遊接岸してくれなければ話になりません。ボクのホームグランドにはイカおらず(東京湾奥)。ヤリイカ、カミナリイカ、マルイカにヒイカ、どちら様も皆無。というわけで、ハナからイカ釣りなんて何処吹く風で来ましたが、数年ほど前から、甲羅イカ、すなわち甲イカ、であるところのシリヤケイカなるものが突如として釣れ始めました。

相模湾辺りで爆発大量発生した彼らがイナゴの大発生移動よろしく、此処東京湾隅々に至るまで流入したのではないか、との釣り人憶測乱れ飛び。理由はどうあれイカ祭り、同じ釣りなら釣らなきゃ損損!とばかりに空前絶後の釣りフィーバーが開幕したのであります。

とにかく釣れるわ釣れるわ、本来のイカ仕掛けはもとより、アジやイワシ狙いの仕掛けにもかかる、底者(海底を生息域とする種)仕掛けにも掛かるわで、噂聞きつけた人々までもがニワカ釣り師、釣り座は押すな押すなの大フィーバー!!。岸壁でジックリ黒鯛を狙うヘチ師の皆様、入り込む一寸余地さえ無し、無し、無し!。キス狙い遠投の皆様もシャットアウト。シリヤケイカは墨イカ。体内に海水取り込み墨とミックス、よって釣り座のあちらこちらは大量墨噴射、夢の跡!!。

当初、狂喜乱舞して釣り上げた際、勝手が分からず顔や衣服に墨を浴びる人が続出しましたが、1パイ、また1パイと釣果を重ねるうち、次第に回避のコツを覚えてゆきました。シリヤケイカは大体全長25センチほどですが、イカの場合は魚と違って全長ではなく体重で大きさを判断します。800グラムもあれば大物といったところでしょうか。釣り方は簡単。15センチほどの魚に見立てた擬似エサ(エギ、イカスッテ)を糸の先につけて海底をズルズル手前に引きずる。時々止めてアタリを待つ、の単純で単調な繰り返し。ただそれだけ、いともたやすく連れてしまいます。ただ1つの問題は、擬似エサが海底の障害物に引っかかってしまい取れなくなってしまうこと。写真Aは海藻に引っ掛かったものの、何とか回収出来たエギ。人によっては1度に3本も4本も失くして散財(単価が高い)なんてことも。それでも皆さんメゲずにセッセとエギを投げ込むのは、ひとえにイカの魔力でしょうか。Bは風変りな擬似エサ。何だか鳥みたいですよ。

Cは釣り上げられるイカ。この姿見たさの釣り人も多いはず!。シリヤケイカ名の由来は脚の真反対側が赤サビ色で焼けているようだから、とのこと。下は墨跡とイカの背面。

味覚はコリコリ、まったり、厚みの割りには噛み切り易い、と各種イカの良いところをミックスしたありがたさ。ボクはもっぱら、刺身を卵の黄身で和えて食べるスタイル。釣りたて新鮮な刺身は甘味があって最高です。

あまりの釣りフィーバーと乱獲で、釣果は年々減少の一途。2015年あたりから翳り(かげり)が見え始め、翌年からは滅多に釣れなくなってしまいました。長時間頑張って釣ったとしてもコロッケサイズ。親は消滅、新しい回遊も無し。卵から孵化した釣り座生まれの幼体のみを釣り尽くす風前の灯(ともしび)状況です。しかしながら、ほんの数年ではありましたが至福の夢を見せて頂きました。シリヤケさんに感謝感激雨アラレ、でありましょう。

 

◆写真上、シリヤケイカ820グラム。ポリカン浮き3号、餌巻きスッテにアジ切り身。

 

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