日本人に最も食べられている魚介類は、以外にもマグロではなくイカやキス!。握り寿司ではトロサーモンだなんて話(マスコミ情報)もよく耳にします。日本人の味覚も年々変わってゆくのですねぇ…。
さて、堤防釣りでイカをターゲットにするというのは地域限定という通念が一般的。そこにイカが生息しているか、もしくは旬な季節に回遊接岸してくれなければ話になりません。ボクのホームグランドにはイカおらず(東京湾奥)。ヤリイカ、カミナリイカ、マルイカにヒイカ、どちら様も皆無。というわけで、ハナからイカ釣りなんて何処吹く風で来ましたが、数年ほど前から、甲羅イカ、すなわち甲イカ、であるところのシリヤケイカなるものが突如として釣れ始めました。
相模湾辺りで爆発大量発生した彼らがイナゴの大発生移動よろしく、此処東京湾隅々に至るまで流入したのではないか、との釣り人憶測乱れ飛び。理由はどうあれイカ祭り、同じ釣りなら釣らなきゃ損損!とばかりに空前絶後の釣りフィーバーが開幕したのであります。
とにかく釣れるわ釣れるわ、本来のイカ仕掛けはもとより、アジやイワシ狙いの仕掛けにもかかる、底者(海底を生息域とする種)仕掛けにも掛かるわで、噂聞きつけた人々までもがニワカ釣り師、釣り座は押すな押すなの大フィーバー!!。岸壁でジックリ黒鯛を狙うヘチ師の皆様、入り込む一寸余地さえ無し、無し、無し!。キス狙い遠投の皆様もシャットアウト。シリヤケイカは墨イカ。体内に海水取り込み墨とミックス、よって釣り座のあちらこちらは大量墨噴射、夢の跡!!。
当初、狂喜乱舞して釣り上げた際、勝手が分からず顔や衣服に墨を浴びる人が続出しましたが、1パイ、また1パイと釣果を重ねるうち、次第に回避のコツを覚えてゆきました。シリヤケイカは大体全長25センチほどですが、イカの場合は魚と違って全長ではなく体重で大きさを判断します。800グラムもあれば大物といったところでしょうか。釣り方は簡単。15センチほどの魚に見立てた擬似エサ(エギ、イカスッテ)を糸の先につけて海底をズルズル手前に引きずる。時々止めてアタリを待つ、の単純で単調な繰り返し。ただそれだけ、いともたやすく連れてしまいます。ただ1つの問題は、擬似エサが海底の障害物に引っかかってしまい取れなくなってしまうこと。写真Aは海藻に引っ掛かったものの、何とか回収出来たエギ。人によっては1度に3本も4本も失くして散財(単価が高い)なんてことも。それでも皆さんメゲずにセッセとエギを投げ込むのは、ひとえにイカの魔力でしょうか。Bは風変りな擬似エサ。何だか鳥みたいですよ。
Cは釣り上げられるイカ。この姿見たさの釣り人も多いはず!。シリヤケイカ名の由来は脚の真反対側が赤サビ色で焼けているようだから、とのこと。下は墨跡とイカの背面。
味覚はコリコリ、まったり、厚みの割りには噛み切り易い、と各種イカの良いところをミックスしたありがたさ。ボクはもっぱら、刺身を卵の黄身で和えて食べるスタイル。釣りたて新鮮な刺身は甘味があって最高です。
あまりの釣りフィーバーと乱獲で、釣果は年々減少の一途。2015年あたりから翳り(かげり)が見え始め、翌年からは滅多に釣れなくなってしまいました。長時間頑張って釣ったとしてもコロッケサイズ。親は消滅、新しい回遊も無し。卵から孵化した釣り座生まれの幼体のみを釣り尽くす風前の灯(ともしび)状況です。しかしながら、ほんの数年ではありましたが至福の夢を見せて頂きました。シリヤケさんに感謝感激雨アラレ、でありましょう。
◆写真上、シリヤケイカ820グラム。ポリカン浮き3号、餌巻きスッテにアジ切り身。
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