Title : 漆器にナムル飯〈大根、わらび、ほうれん草、もやし〉
再び、畠中昭一による栗の木漆塗りの一品。前記事の飯汁椀と同じもので色違いの朱色。
漆黒の黒に比べ栗の肌あい、木目が非常に鮮明。使い込むほどに栗の木肌の凹凸が五指にありありと伝わるようになるという優れもの。
写真の椀底、洗い残しがないように座の円形は非常になめらかに滑り込む工夫がなされている。つまり、溝を作らない。
現在、栗の木を用いた漆器職人はほとんど居ない(畠中昭一本人の弁)というのは残念至極。
いにしえより日本はこの朱色(古代朱と呼ばれる)を野山に配して目印とした。鳥居の木肌を守り武将の兜を浮き立たせる。
葛飾北斎の富岳三十六景、『赤富士』を思い出された方も多いはず。
スタンダールの名作『赤と黒』、赤は軍人を指し黒は僧侶を指した。対照的な赤と黒だが漆塗の黒と赤はそうではない。
漆黒の闇に昇る太陽が朱なのだ。
朱とは八百万の神であり、日の本、日本を指す。
迷いが吹っ切れ朝の陽ざしが訪れる時、朱は真っ新な白地に座している。
これが日本の国旗だ。
あくまで私見だが。