Title : 何だか分かんないけど何とかしてちゃぶだいッ!
「オレは相当大変なことになってるんだと思うぞ」
「何がよ」
「外国人にとっての日本語だよ」
「アー、語学勉強?。まあそうかも…。日本語ってむずかしいから」
「そんなレベルじゃないんだぞ。難解だよ。暗号とすら言えちゃうんだぞ」
「大げさな男」
「いいか?。手先が器用って言うだろ?。指先が器用って言うだろ?」
「言いますね」
「悪の手先って言うだろ?。ということは、悪の手先の人間は器用な奴ってことになってしまうんだぞ。外国人はキットそう解釈してしまうんだぞ」
「アラ大変」
「何を呑気(のんき)にダイフクなんか食ってんだよ」
「これは、草餅なの」
「目は口ほどに物を言うっていうだろ?。眼には感情や気持ちが表れちゃうんだからな。トーゼンだよ。心の窓って言うだろ?。自分の気持ちを相手に開いたり閉ざしたりするんだからな。例えばオレがお前に対して心を閉ざしちゃったとする」
「こないだそうだったよね」
「まあ聞くんだ、いいな?。とにかく、これはどうする。オレは口も心も閉ざしたのに、オレの眼が代弁しちゃうってわけなんだぞ。じゃ、オレの口と心の立場はどうなるんだよ。メンツ丸つぶれにされたんだからな。そんなこと多分しょちゅう起こるはずだぞ。てことは、オレだけじゃなくって、お前も他のヤツも皆、皆、心と口と眼は相当な不仲になってしまうってことじゃないか。お前、それで平気なのか」
『特に不便ないなー」
「アア?」
「口と心にチャックしても目がバラしちゃうのはー、アナタの修行が足りないってだけだったりしないのかなー」
「そうきたか。一理ある。でも外国人にとっては果たしてどうだろう。キチンと整理出来ると思うか、これら一連の事柄をだ」
「それより聞きたいんだけど、どーして草餅食べないのよー」
「オレは今、激しく昂って(たかぶって)るんだぞ。餅が喉に詰まるからに決まってるじゃないか。それにだよ、餅は餅屋って言うだろ?。今はモチ屋ってあんまり見かけないぞ。餅専門店だろ?。専門的なことは専門家に任せろッて意味だろ?。米は米屋、の方がまだマシだな」
「近所に1軒あるね。そーだそーだ」
「話が戻って恐縮なんだが、口より手が早いって言うだろ?。すると、どうなってしまうんだろうか。目は口より物を言うし、手は口よりも早い…。すると、どうなるんだろうかね。口は目や手よりランクが低いってことなんだろうか、能力的に」
「もう行っていい?。アタシお買い物行かなきゃなんないんだけど」
「心を閉ざすのか」
「出かけたらアナタが閉ざすのよ。玄関カギかけてね、アタシ鍵持ってかないから」