堤防釣りをする人達に根強い人気を誇るスズキ。手応えガッツリでエキサイティング!、だけではありません。堤防で結構な数が釣れる大物魚(70センチだ、80センチだなどと!)といえばスズキだけ。ホシザメやアカエイなんてのは1メートル近くありますが、こちらは無脊椎で魚さんじゃありませんもんねえ。
スズキという魚は、日本だけではなく世界的にも大人気。フレンチ、イタリアン、最高峰の魚料理として欠かせない存在です。赤身魚の味でも白身魚の味でもない、スズキはスズキといったオリジナルティスト。クセが有るよで無いよな味覚、引き締まってるよで、ないよな食感。つまり、スズキは自分の可能性を限定しない魚なのだと思います。シェフの調理で変幻自在、一皿一皿いかようにも。新たなる魅力を繰り出してくる引出しの多さには思わず脱帽せずにはおれません。
日本人の姓で鈴木名は多いですよねえ。スズキは海だけではなく海続きの河川でも釣れますから、アングラー(釣り人)達には狙えるポイントてんこ盛り。大抵の人は自分なりのマル秘ポイント持っているものです。さすが日本の鈴木さん。
スズキをシーバスと呼ぶアングラーのほとんどはルアー釣りをやる人達。ルアーとは、魚が好む虫や魚ソックリに作られた擬似エサ。それを絶妙な竿さばきで操り、あたかもソレが生きているかの様に演出し魚を陥れるのです。ルアーマン達はそれらの行為を “ 釣り ” とは呼ばず “ ゲーム ” と呼んだりします。つまり魚と遊ぶのです。故に、釣れてもやさしくリリースする場合がほとんど。ルアー専用の竿は竿先が最高級ムチのようにしなりますから、仕掛けを海に投げ込むたびにシュッ!!、っと鋭い空気を裂く音がします。ああ、ルアーマンが来たんだなと黄昏(たそがれ。誰ぞ彼→からタソガレに変化)でもすぐに分かります。
初心者の頃、自分もスズキが釣りたくて気も狂わんばかり。ググッて浮き釣り仕かけを検索、これなら絶対と思える仕掛けを完全コピー、鼻息荒く夜釣りに臨んだことがあります。海面に浮かぶ浮きは待てど暮らせど無反応。シビレを切らし30分後に引き上げると、アレ?ゴミが付いてるぞと顔に針先引き寄せれば、ええええ?
スズキ!。約5センチ(体長40センチ以下はセイゴ、60センチ以下はフッコ、それ以上がスズキ / 関東圏では)。ボクが釣ったのはセイゴ。しかも、生後何日?の方の生後。でも生まれて初めてのスズキ!、の赤ちゃん。リリースせずに後生大事に水汲みバケツへ。こんなミクロチビさんなら1号という軽い浮きにアタリ(魚がハリ掛かりした合図)が出ないのも当たり前。その後1時間で同サイズを3尾追釣。
夜9時。最近知り合いになった身長約180センチ、夜でも何故か常にサングラス着用、赤銅色の肌、やさしい物腰、おだやかな口調、人当たりの良い、しかし控えめな印象の、オジサンが声をかけてきました。
「おっ、居たんだー。何か来た~?」「セイゴが4ヒキ」「へえ~。どれ?」
バケツ覗きこんだ彼の後ろ姿が一瞬静止。顔を上げかけ再び確認するかのように覗き込むと、「すくったの?」。「いえ。釣りました」
「だって……。ハリにかかるかなあ……」。
●スズキ74センチ(写真上)。70センチ、55センチ(写真下)。ボクがフッコを釣るまでに3年、スズキを釣るまでに4年を要しました。今はコンスタントに釣れています。ラジオ講座(受験勉強番組)の講師の皆様、“ 継続は力なり ” 、まさしくでした。ありがとうございます!。
●仕掛け / 棒浮き1号、チヌ3号鍼(ハリ)。ガンダマ2B、ハリス2号、イソメ(ゴカイ)1本掛け。
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