釣りをしていると、嬉しいやら悲しいやらの釣果結果が連続、というホロ苦甘い経験を数多く積み重ねることになります。狙った魚は何故だかサッパリ釣れず、何でコレがやって来たのか甚だ理解に苦しむという魚が上がってきたりします。
どこかの有名な言葉でしたか “ 釣り人とは、さも見てきたように海の中を語る者 ” というのがあるそうです。ゲラゲラ!、全くその通り!。コレコレしてるんだからソレが釣れないのは全く変!とか皆様勝手に叫んでおりますが、魚にしてみれば「何トンチンカンなこと言ってんだ、愚か者がーッ!!」でありましょう。人間のトンでもない驕り(おごり)というものです。
今回ご紹介しますのは尾長メジナ(通称尾長グレ)。堤防釣りでいつも、しょっちゅう、アッチでもコッチでも釣れているのが口太グレ。滅多に釣れないのが尾長です。これは東京湾近辺の話で、他もそんな傾向なのかどうかは分かりませんが…。
夜7時頃に浮きが沈みました。引っ張る感じでアアこれはメジナさんがいらっしゃったのだなと。慎重にやり取りしてタモ網に入れようと海面を覗き込んでみましたら、闇に浮かび上がるは真っ白ケな魚体!。
何だコレ?。
頭の中でスライドショー開始。ハイ終わり。検索結果に該当者なし。何だべ何だべとすくい上げてみますと、ん?。コレもしかして尾長?
ガーン!!、ガーン!!、ガガーン!!、ガンガガーン!!。
という程の衝撃!!。ゆッ、夢にまで見たその御姿(おんすがた)!!。これは外道といっても、全く途方もなく素晴らしい外道!!。あり得ない!!、全くもってあり得ないーッ!! っと思わず叫んでしまいました。
「何があり得ないって?」と暗闇からオジイチャン登場。ボクの右横20メートル程離れた所で釣りしてたハズ。好奇心がこんな遠くまで運ばせてしまいましたかと。「尾長グレだと思うんですけど」。
日没に釣れるクチブトメジナは真っ黒ケ。コレは月光仮面の様に真っ白ケ。胸ビレが細い、尾ビレが妙に長くて切れ込みが深い。
「間違いないネッ、これオナガ。どしてと問われても、これオナガ」と驚きの声をば頂きました。いつものポイントでいつもの時間、いつもの仕掛けでいつもの餌。なのにコレ。なのにコンナノ。そうなんですよねぇ。これが釣りの面白くて仕方がないところなんですよねぇ。
捌いてムニエル。三枚おろしに小麦粉はたき、フライパンにオリーブオイルで弱中火、落としブタをして約5分。フタを開け切り身を裏返し、マドンナの白(ワイン銘柄)を振りかけ、バター少々、日高昆布醤油回しかけ、クレイジーソルトぱらぱら。再びフタをして約5分。深く飾り包丁を入れているので中まで火が通ります。最後に味を整えればオオ完成!。食してみますと食べ慣れたる通常グレより間違いなく美味ったら美味なんだからもゥーッ!。居つきの口太と違って移動しているせいでしょうか、磯臭さも全くなく大変ふっくら、すっかりフランス料理気分でありましたよ。
〇 上、尾長メジナ32センチ。ボクが釣ったオナガは現時点この1尾のみ。右、2尾共にクチブト。
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