Title : つらいDAY泣いと不安だじぇい
心おもむくまま、暇に任せ、自在にユーチューブ(音楽)サーフィンを楽しみつつ、知らなかった名曲発掘の戦利品に視聴泥酔いする。
昔のものは全て古臭い、昔のものは全て昔の人のもの、今の時代の人は今の時代の物しか関心を持たない。
という考え方にはまってしまう不運な人、
ではない人達は、
自由に伸び伸びと、少しでも見知らぬ良いものに触れようと選択肢を狭めず人生を豊かに自分を飾ろうとする。
♪ FRYDAY NIGHT FANTASY〈フライデー・ナイト・ファンタジー〉は
1972年にTV放映開始、金曜ロードショー(日本テレビ、水野春郎解説)のオープニング・テーマ。リアルタイムでTV視聴することは出来なかったが、この曲を数年前に知り激しい衝撃を覚えた。
何と言う名曲。名曲とは、作った人、歌う人、演奏する人が誰なのか、それを全く考慮に入れず、どんな人でも心が打たれるもの、をいう。
ユーチューブに寄せられたリスナーのメッセージのほとんどは、
涙が止まらない、あの頃(昭和)がこんなに素晴らしかったなんて、あの頃は幸せだった、みんなありがとう、といったもの。
そんな感覚は平成だろうが令和だろうが同じだ、と言われるかもしれない。それはそうだが、
金曜ロードショーは、オープニング楽曲をピエール・ポルト(フランスの指揮者、作曲編曲家)に依頼した。フライデー・ナイト・ファンタジーは、既に発表済みの名曲で金曜ロードショーがそれを使った、と思い込んでいる人が大半であった。それほど唸る名曲だったのだ。
番組サイドは、安直で付け焼刃な気持ちで番組への取り組みをしていなかったことになる。流行りの人に右へ習えで作曲を依頼したわけでもなく、人生の重みを紡ぐ旋律、それを誰に依頼すれば実現出来るのか、結論へは遠かったはずだ。恐らく会議は難航しただろう。
高い依頼料が支払えるのは、高い視聴率によるスポンサーの満足度。
映画作品が今以上にステイタスだった時代、名作のイメージを会社のイメージに重ね合わせたいスポンサーは、依頼にGOサインを送り、賭けに勝った。素晴らしい名曲を新たに手に入れたのである。
いつからか、真逆の時代が開幕した。
いい加減な番組を安直に作り、結果、騙されない視聴者によって視聴率は地を這い続ける。遂には番組自体も消滅する。
ブラック企業はブラックを売りにし、消費者は不買運動すらしない。
CDも売れなくなればクリエイターの名曲を生み出す意欲は極めて説得力を失くす。
作曲家編曲家は、アドリブ一発で量産出来る、使い古されたコード進行メロディーを新曲と称して歌い手とファンに提示する。
それが問題なく受け入れられ、挙句、名曲だと騒がれる。
作曲家は、制作意欲も湧かず、面白おかしくもないものに溜息しつつも、楽して依頼をこなせる旨味には笑いをこらえきれない。
安直さの連鎖は、社会全体の底抜けを生む。
もう、誰にも止められない。