Title : 踊るキポット
マンハッタン北側バツゥースト通り365番地地下3fショーパブで、半年ほど前から歌って踊れる人間ダンサー顔負けのロボットが大人気を博している。
キポット・サウザン。彼は少女マニィーの親友サポートボットだった。
4年前、2人はマニィーの母親を見かけたという目撃情報を頼りに彼女を探し回っていたが、その際中、ある日マニィーは忽然とキポットの前から姿を消した。
その日からキポットの行方不明探しの対象者は2人となる。3か月後、キポットは瀕死の母親デニーを遂に見つけ出す。
男と逃げた我が身を恥じ、娘に許してくれるよう伝えてくれと泣きながら繰り返し息絶えるデニー。ホームレスの身を寄せるビル廃屋の地下だった。
キポットはショーに出続ける。母親の最後の声と姿は彼の内蔵dvdに保存されてはいるが、彼の電子スクイズムは高価。マニィーにこれを見せるまで、彼はどんなことがあっても絶対に廃棄されるわけにはいかないのだ。
キポットの踊りには悲しみと苦しみがない。底抜けに陽気で華麗。そこが好きだと観客は口を揃える。人間ではない気楽な心無しに安堵感を覚えると。
違う。