Title : 名月メロンパン(メロンパン上はシローの先輩、オセロ乃介)
Title : パチンコ丸シロー
「人間の身体で、響くと言われるのはどこだろうか」とキッチン食器棚の上からキッチンテーブルで栗の皮をむくマミー、すなわち野武子に声がけする飼い猫パチンコ丸シロー。
「ええ~?。そ~ね~………。心に響く、耳に響く……そんくらいかな~。口に響くの歯医者さんの器具だしな~。あ、違うか、歯に響くのか…。こないだ抜いた親知らず痛かったなァ~。…でも、何でそんなこと聞くの?」
「大家さん知らないって、こないだ挨拶してコビ売ってたじゃないんか嘘つくな嘘。…ッたく、救いようのない牛丼汁多めが……。ところで続きだが、鼻とかには響かんのだろうか」
「響くんだろ~けどね~。鼻の穴もカテゴリ的には洞窟と言えない?。洞窟の中って音は響くでしょ?」
「何だとキサマッ。鼻の穴の中にコウモリがいるとでもいうのかッ。……それはそうと、人間の身体で打つのはどこなんだろうか」
「そね。やっぱ、心を打つ、…う~ん…ギリで耳を打つもアリかな~……何でそんなこと聞くの」
「目とか鼻は打たんのか」
「まぁねぇ~。打つと痛いから(笑)…何で?」
「ほしたら、染みる(しみる)のはどの部分か」
「何ヨこの質問。……心に染みるだし~、目に染みるだしぃ~、これもギリで鼻に染みる……かなぁ~。あ、こないだ鼻血染みた」
「刺さるんはどこか」
「心に刺さる、……。う~ん、そんくらいじゃないの?。何で?」
「何でだとキサマ。そんぐらい察してみちゃどうだろうかね、とぼけ切ったシブカワぼけの犬専用裏切りトリマー主婦がッ!。どのツラ下げて何で?なんて聞けんだよアホくさいッ!。いい加減にしろよ!!」
「何言ってるの?。どうしたの?。便秘?。ねぇ。便秘?」
「はッ、恥ずかしい事を何度も言うんじゃないッ、このどうしようもない連呼野郎が、何考えてんだよクソッ!。分からんのか、
響く、打つ、染みる、刺さる、全部に当てはまっとるのは人間の心だけゆうこったろうがね?。鼻は無視か?、口はどげぇなっとるか、アア?。だとしたらば、飼い猫は心ばかりか、鼻、口にさえも徹底的に響き、染み、刺さり、ほんでもって打つのはプレミアム猫缶だけだと違うのか。ア?それを何だキサマ…」
野武子は栗の皮を包丁でむく手を止め、かつてシローが見たこともない慈愛に満ちた眼差しで棚の上のネコを見上げると、
「うううん、違わない。並の缶詰を食べるのよアンタ。これを聞いて耳に響いた?。耳を打った?。耳に染みた?。ふっふふふ、もう解答は見えたようね。耳が痛い。これでしょ~?。また、何だとキサマって言うのかな?」
「何だとキサマとは何だキサマ…この…このどうしようもな…」
「アジ食べる?」
「アジ ?!。アジと言うたのか今ッ!!」
「さっき神田岡さんちの御主人が釣ったの、おすそ分けでもらったのよ。冷蔵庫に入ってるけど、暴言の反省しないと冷蔵庫開けてあげないよ~。どう?、反省した?」
「はい」
「ホントかなぁ~。激しく反省した?」
「はい」
「自分がどうしようもないイカレポンチのパカチンネコだって前々から気づいてた?」
「はい」
「反省する?」
「はい」
「アタシって美人かなー」
「はい」
「すごいのねぇぇぇ…アジの力って」