すなわちSNS、
世の中の必要不可欠なものでさえ全て省略し、すっ飛ばしてしまおう運動が現在大流行りなんだろ?。ぺ?。そんなわけでお前達は今日から、全ての会話を略語で語れ。それが出来ない者はわが校を即刻退学処分にする。分かったな!」
アジャブ高生徒ハナケ帰宅。「ただいまー」
「あ、お帰り。今日は早いね、何か夕飯前にオヤツ?食べる」と母親。
「いらねーし。今HSだし。俺の分はハノケ(弟)にやっていいっぺ。アイツこれからJBだから腹ごしらえした方が良かっぺ」
「何よ、HSとかJBって…」
「HSはハラはスいてない、JBはジュクでべンキョウの省略語だよ」
「そうなのネ?。でもHSだと、腹減ってる、腹減ってない、どっちにも受け取れちゃうじゃないの」
あ、ごめん。否定形の場合は喋る時、両目を3秒間閉じるんだっぷ。開けたまま喋ったら、腹は空いてる。眼をつぶりながら喋ったら、否定形だから、腹は空いてない。打消してるっぺ?」
現代の日本人は流行に対応するのが異常に早い。その順応力たるや筆舌尽くしがたい。ハナケ家の家族構成は5名。父、母、息子二人に祖母。その全員が翌朝には省略言葉での会話を完全にマスターしていたのである。
父「母さん、オレ今夜ZO(残業で遅い)だからYI(夕飯いらない)とキッチリ3秒間目を閉じて話す。
母「AS(あっそう)。DN(どこで飲むの)?。DI(大体でいいんだけど)、KN(帰りは何時頃)なの?」
祖母「おはようさん。あれま、ヘイゾウKMUI?(今朝はまだウチに居たのかい?)、MOMOTT!(珍しい事もあるもんだね、お前が息子らと同じに朝食食べるなんて!)」
父「SK?(そうかな?)。HA×3(ハハハ)、OKZISTMIATI(オレもここんとこズッと忙しくしてたから、たまには皆と一緒に朝飯食べるのもいいんじゃないかと)」
長男「KBDOI(母さん、弁当出来てる?オレ行くわ)」
次男「今日WHO(世界保健機構)とFBI(アメリカの連邦捜査局。司法省に属す)のドラマがTV(テレビ)であるけどIM(一緒に見る)?」
一教師門田見(もんだみ)の提唱したX+Y=Z、三か月後には日本全国を席巻。
「KY(気象予報)は市況です。今日のND(ナスダック)はアヒルがインフルエンザでとてもナスをしょって外出出来る状態ではないということで発表はありませんでした。…ところでFM(ふじむら)さん、KYTAFKD(今日は夕方から雨が降りましたね。傘、大丈夫でした)?」
「MKD(持ってたんです、大丈夫でした)」
「ではKS(これで失礼致します)。JM8N(時刻は間もなく8時になります)」
XYZ拡散により、省略言葉に素早く対応出来ない者達の為、XYZ通訳も新たな職業として若者達に人気を博し、来たる東京オリンピックには、外国人向けに約5000人のXYZ通訳ボランティアを大会運営サイドで確保出来ているという。
◆写真タイトル / OKB(おいしいコーンブレッド)