Title : 暗闇の手探り!コウモリだけが知っている!
絶食初日、いともたやすく矢尽き刀折れたことが
逆にボクをムキにさせてしまった。ちょっとしたキッカケで
ティーンエイジャーは対象にのめりこんでしまうことが多い。
熱狂や興奮に最も純粋に反応する生き物とも言える。
プリンで言えばスが入っていない状態、ホットケーキで言えば
小麦粉のダマが一切検出されないということなのだ。
未熟な未成年が唯一大人に勝る武器、それが情熱という名の固執だ。
であれば、ボクの具体的な武器は何だ?。
自問の結果、こだわりの分析癖であろうかな、と…。
早速ボクは分析瞑想(めいそう)に入る。
何故、あれほどの固い決意がいともたやすく挫折したのか。
即答!、空腹に耐えられなかったから。
たとえ散歩に出かけなかったとしても、
自宅にこもったとしても同じことだっただろうと確信する。
空腹という名の生存本能。
ヒヨコのボクが生存本能に抗えるハズもなし。
ただちにコンビニに走ったは必然!。
ならば敵は生存本能に有り。そのお方はボクの体の何処にいらっしゃる?。
全身に伏兵が散らばっているのかもしれないが
恐らく総大将は脳に違いないのではなかろうかいッ。
昨日ボクにアンドーナツを買わせたのは脳の命令に違いない。
ならば脳を説得出来れば、納得させられれば、
ボクは絶食1週間を見事達成出来るということになる。
なにしろ生存本能の免罪符、通行手形を手に入れたのだから、
どんな関所もフリーパス!。
ああ、これだこれだ、この路線で行こう!。
アンポンタン浪人生の決意は固まった。
1週間だけ期間限定、リングに上がらぬボクサーになるのだ。
目的達成翌週から再び受験生に戻ればよい。
脳をどう説得するか。
“ 人の心を動かしたければ眼を見て話せ ”
という先人の教えがあるではないか。よぉぉぉ~し、分かった。
人間の眼は脳の一部。つまりボクの両目は、脳の両目でもあるのだ。