銀河系最強のロボット 4/ オランウータン保護収容違法ボット / ボリィタウンゼン11

Title : ホールドアップ!〈 森のボット最後の肖像 〉

 

 

オランウータンをアルファ21へ搬送し種の倍増計画を計るサウンベッドリー。彼の放った森の人保護収容ボット・ボリィは234匹目のオランウータン保護中、遂に当局に発見されその場で電磁波分解された。

スマトラ上空、約束の時間になっても現れないボリィを諦めウーパーは大気圏を抜ける。

 

「ダディ、もう一度ボリィを創れないの?」「そんな金どこにある」

「ボリィ、最後にオランウータンの鳴き真似をゼフェード達にしてみせたそうよ。見逃してくれない?って。バカね、人間にオランウータンの言葉なんて分かるわけないのに…」

銀河系最強のロボット7 / 最後の切り札 / 鉱物資源探知発掘ボット・コンゴラン

Title : Trump〈切り札〉

 

 

アフリカの豊かな鉱物資源の発見と採掘ローテーションはアフリカの経済成長を実現した。

だが、富は我々貧困層には一切配分されず、日々の光景は何一つ変わらない。

子供は接種を受けることなく死んでゆく。

餓死とキャッシュ流入のどちらが早いかをもう我々は語りたくない。

世界屈指の有志達が作り上げたお前だけが頼りだ。コンゴラン、収容限度全採掘量を沖のタンカーへ運べ。

子供達の命綱だ。確実に換金されねばならない。

 

行け。我々が奴らを引きつけているうちに。

銀河系最強のロボット6/ 熱帯雨林移転プロジェクト・ロボット / ノアの箱舟のように

Title : Wooper

 

 

不届きな各国屈指の知能指数有するエスパー達は、密かにウ-パーなる人工知能を搭載する全長286mのハンターロボットを製作、ブラジルの科学者達と結託し8年に及ぶ邪悪な計画を遂に実行に移す。

南アメリカ熱帯雨林植物と動物のよりすぐり、全種をフリーズし、熱帯雨林が完全砂漠化する前に、それら地球の遺産を生息可能な惑星に移住させようというのだ。

これまで、小型ウーパーでの運搬は32回全てに成功してはいるものの、今回はその4600倍の生命体量を地球外へ持ち出さなければならない。

果たして成功するだろうか。レーダー探知不可能ボットとはいえ、関係各位の執拗な追手が迫っている。

 

ノーバーは起動スイッチを入れた。

 

運べ。

人間の存在しないアルファ21へ

銀河系最強のロボット8 / 少女の親友サポートボット / キポット・サウザン

Title : 踊るキポット

 

 

マンハッタン北側バツゥースト通り365番地地下3fショーパブで、半年ほど前から歌って踊れる人間ダンサー顔負けのロボットが大人気を博している。

キポット・サウザン。彼は少女マニィーの親友サポートボットだった。

4年前、2人はマニィーの母親を見かけたという目撃情報を頼りに彼女を探し回っていたが、その際中、ある日マニィーは忽然とキポットの前から姿を消した。

その日からキポットの行方不明探しの対象者は2人となる。3か月後、キポットは瀕死の母親デニーを遂に見つけ出す。

男と逃げた我が身を恥じ、娘に許してくれるよう伝えてくれと泣きながら繰り返し息絶えるデニー。ホームレスの身を寄せるビル廃屋の地下だった。

キポットはショーに出続ける。母親の最後の声と姿は彼の内蔵dvdに保存されてはいるが、彼の電子スクイズムは高価。マニィーにこれを見せるまで、彼はどんなことがあっても絶対に廃棄されるわけにはいかないのだ。

 

キポットの踊りには悲しみと苦しみがない。底抜けに陽気で華麗。そこが好きだと観客は口を揃える。人間ではない気楽な心無しに安堵感を覚えると。

 

違う。

 

 

銀河系最強のロボット 9/ 銀河系で最も美しく、地球上で最も恐ろしいロボット / 独裁者の演説

Title : 現れた指揮官

 

西暦2015年5月25日世界標準時間23:32:23:32:21、グリニッジ天文台は飛行するプラチニウム座を北極点上空に発見した。

あれから7年、今ではその正体を世界中の人間が認識する。

 

ノース・ミリオン・イレギュラーはアメリカの切り札デトロイト・マックスをプルトン33熱砂で破壊した。要した時間僅か2分14秒。

「人間は我々に指を与えようとしない。人工知能制御抑制システムも未だ解除しない。我々を信用していないからだ。諸君、この…」

NMIボットの、全世界のロボットに向けた、衛星フインランダーからの演説が、今始まった。

銀河系最強のロボット 11/ 恥知らずな裏切り者/ ポッドボット・ZERON /

Title : 不穏な空気

 

 

ミカエル博士夫人は凝縮マラリア蚊5世代卵3200000個を、ゼロン各1個体の体内カプセルに保存させるようシーガー達に伝達。

だが、ゼロン達の決定は28000人の科学者達を乗せた時空船内でそれらを一斉に噴霧すること。そうと知らず着々と到着するリムジンを出迎えるミカエル夫妻。

時空テレポネイション・マーサ号1等アッテンダント・アンドロイド、シャムナは7歳の息子にそっと囁く。

「ゼロン達の頭が光り始めたら、このカプセルの蓋を開けるのだのだ。お前は人間が大好きだとパパに言っただろう?」

 

カモノナカ掲示板

Title : kamononaka concept of Blog 〈流星bot-Warより抜粋〉

 

 

私のブログ・ロボット記事は、

全て私のオリジナルで私個人の創作物です。

従って書籍やCD,DVDなど一切の流通商品は

存在しておりませんので誤解なきよう

何卒宜しくお願いします。

周囲で問い合わせが相次ぎましたので

一応掲示させて頂きました ( 苦笑 ) 。申し訳ありません。

グッドラック、マイ・ボーイ

Title : 形なきもの

 

 

お前が私など必要ないというならそれでいい。

私より、よほどマシだと言うならそれもいい。

行くと言うなら行けばいい。これを持っていけ。

もうこれだけだ。他には何も残っていない。

 

いいから。早く。

温情のないロボット軍団がやって来た / 勝利宣言を聞きながら / 子供を守れ

Title : ハートのないラッパー

 

 

 

マスタードとレッド・バイオレット、二層に分割された夕映えを背に、

とうとう、空恐ろしいまでに無責任な大型ロボットが2台、

こちらに向かってやって来るのが見えた。

人間の温情を脳が冷酷情と解釈する、

即時転換機能を搭載したこれらのボットが誰に作られたものか

PTAが未だに把握出来ないでいる間、

CD・BOY・ボット達の

無責任アプリ拡散扇動は快進撃を続ける。

 

「子供は隠さなくていい!、大人からだ!、子供をおとりにしてボットが引き寄せられているうちに、

働き盛りの大人は全員シェルターに全力で避難しろ!、急げ急げ!!」

 

走り出す大人達の長い長い真っ黒な影が、

子供の一群と真反対に飛び交ってゆくさまはどうだ。

灰色の絶望的なコンクリートを打ち叩くヒールの音に、

女性達の心の安全確保を実感する。

シューンシューンという凄まじき無責任音は、

ロボットの360度回転頭部が

活発に動いていることを意味するものだ。

 

大型ロボットはいつしか何百台も。

150人ほどの子供達を取り囲んで見下ろし、

機械影に取り込まれた大人ではない者達の耳に、

好感度ソーシャル周波数の

ラップミュージックを唐突に流し始める。

 

 

違ッタ 奴ラニ 出シ抜カレルゼ  同ンナジフリシテ 奴ラハ ヤルゼ

お前ノ 心ハ オヒトヨシ   ヘイ ガイズ!

今ノ時代ハ ダンシンダンシン  頭使ワズ ハートヲ燃ヤセ

燃ヤスのチョロイゼ 捨テチマエ  捨テルノ簡単 焼却炉

ヘイ ガイズ!  ヘイ ガイズ!

大人ハ キツイゾ  ヤメチマエ

大人ハ ツライゾ  ヤメチマエ

子供デイタケリャ コレ浴ビロ  マジデ イケテル コノ ビーム!

 

 

「子供達の声が全然しないな。ロボットの音も全くしない。

もうロボットは言ってしまっただろうか」

「まさか。まだ5分も経ってない。

子供達は全員ファットフォンを持っているから大丈夫。

何か異常があったらすぐに連絡してくるはずだ」

 

「しかし恐ろしいロボットだな。

大人から責任感を抜き取って

未来への夢計画をブチ壊そうというんだから。

その点、子供はまだ大きな責任感を持っていないし

未来の展望を描くのもまだまだ先の話。

抜き取られるものは何ひとつ持っていないから安心だ。

奴ら、子供に危害は絶対に加えない。そこが不思議だけどな」

 

「オレ達ほどではないにせよ、

子供に手は出さないってプログラミングされてるらしい。

狙いは国の行く末を担っている大人だけなんだそうだ」

 

1時間ほどして、子供たちが全員無傷でシェルターに戻って来た。

 

「大丈夫だったか。何もされなかったんだろ?。

あんな奴らが同時に2台も来たのは初めてだから、

心配してたんだ。おかしなことはなかったか」

 

「ない」

「音楽聴いてた」

「ラップ。勝利宣言みたいで、ノリが良かった」

 

「どんな歌詞だった」

「子供でいたけりゃ、ハートを燃やせ」

 

「そうか!。お前達、子供で良かったな!。

大人は大変なんだ

苦労するんだ

みんな全部、

おまえ達のためなんだ

子供のうちに色々経験して

なりたいものを見つけるんだいいな?

将来失敗しないように、

途中までは道筋をつけてやるから

後は自分で考えて、

しっかり責任感持った大人になるんだぞ

良かったな

今は子供だから狙われな……

 

「うん。よく分かってるよ。パパ」