日本人の数え歌 / 誰でも得点王

Title : 点豚に乗るイカ

 

 

という感じの中にはが4つ。4点。

そのやり方でいくと、

釣りにでも出かければ更にが4点加算で計8点。

釣りする本人がなら更に4つ加算で12点。

もし釣り座に、釣りする犬でも居ようものなら、更にが1点追加で13点。

結局、何も釣れずにボーズならは一気に4点加算で17点。

帰りは徒歩帰宅が無理も4点加算。

最終電車に乗ったので﹅は更に6点追加。

ボーズだと知り母親ガッカリながらも点は33点。

疲労熟睡で更には9点も加算、計42点。

 

私達は日々このように無意識ながらも得点し続けている。

めげることなどない。

胸を張るのだ。

ツメの垢の効用 / 個人情報

Title : 大爪大王

 

 

ダメな奴に言われるコトワザ、「お前にアイツの爪の垢(アカ)でも煎じて飲ませたいもんだよ」

全く意味不明のコトワザ。何故、ツメの垢なのか。何故、煎じなければならないのか。

だが、問題はコトワザの意味以前。そもそも、このコトワザ自体が使われなくなっている。

それが今の世の中、世相。

かつて、手相を見る人は路傍でよく見かけられた。千円ほどで気軽な人生相談、よく当たると評判にでもなれば長蛇の列。お客さんの大半は女性、自分の恋愛成就を見てもらう。今ではほとんど見かけない。

手相も個人情報開示で危険。または、自分の将来、怖いこと告げられたら立ち直れない、といった理由。

 

能ある鷹は爪を隠す

というコトワザもある。能力の高い人は、それをたやすく人に見破られないようガードしている。警戒されては動きにくい。

爪を研いで待つ

というコトワザもある。準備万端整えて。

 

つまりは、戦闘態勢に入っている鷹が隠し持つ爪の垢を煎じて飲ませてもらえると非常に有難い、と誰しも思う。

だが、残念ながら鷹には断られてしまう。爪の垢は個人情報そのものだからだ。

故に、誰もそんなもの煎じて飲んだりしなくなった。コトワザも不要。手相などの易者も消えた。

後に残るは、爪切りのみ。それはあたかも、情報満載の書類をシュレッダーするに似ている…。

 

美容院で自分の切られた髪を持ち帰りたいと言う人はあまりいない。髪のDNAには無頓着…。

骨折り損のくたびれもうけ / ホラーコトワザ

Title : 焦るガイコツ

 

 

骨折り損のくたびれ儲け

という空恐ろしいコトワザが在る。骨を折ってはみたが何の利益も見返りもなかったという意味だが、そもそも、骨をワザと折る人が居るのだろうか。

誰の骨を折るのか。家畜の骨でも自分の骨でも、このコトワザ自体が不気味である。

ホラーコトワザとかサイコパス・コトワザとかのジャンルがあれば間違いなく上位ランキングであろう。

肉(皮)を切らせて骨を断つ

という猟奇的コトワザもある。こちらはまだ刃物を使って骨を傷つけようとする行為なので、骨をバキボキ折るという恐ろしき行為よりはホラー度数は低い。

だが、疑惑は残った。

骨を断ち損のくたびれもうけ

になったのだろうか。骨をバキボキ折るのは相当至難な業、それを行っても利益にならなかった以上、絶つ程度では到底儲からなかったことだろう。

つまり、骨にまつわる仕事は金にならない、と言いたいのだろう。だが、整骨院や骨接ぎは儲かっている。つまり、これらのコトワザの有用性は限定的なのである。

いずれにせよ、複雑骨折と単純骨折とでは治療の度合いが違い過ぎる。かなりのテクニカル的な腕を持つ人でさえ儲けには結びつかないシロモノなのだろう、このコトワザの言わんとするところはー。

飾り包丁 / 飾り切り / 見栄えも味わいも良く

Title : ねじしいたけ

 

 

飾り包丁(かざりぼうちょう)というものがある。

煮付の魚だとかシイタケなんかに、包丁で の切れ込みが入っている。あれも飾り切りのひとつ。

料理を見栄えよく見せる、味が浸み込みやすくする、といった効果がある。

つまり、皆に残念がられる✖(ばってん、ばつ)も、良い意味で使われることがあるということなのだ。

 

別離という漢字の中にも、よくよく目を凝らしてみると、の飾り包丁が入っている。であるならば、別離に立ち会う人々に要求されるものは、お別れの演出が、見栄えと味を浸み込みやすくさせるという工夫だろう。

別れは必ず時が経てば美しき想い出に変容する。となれば離の✖が示すものは、胸打つ別れの言葉、握手やハグといったスキンシップと言うことになるのだろう。クロスし切り込むのだから記念写真では弱い気がする。

 

。きょう。空恐ろしいまでに大きな飾り切りが入っている。鍋のシイタケに入っているのもこんなヤツだったなと思われる人も多いはずだ。

凶という字に続きやすい漢字の代表格は。バッテンが本来持つマイナーなイメージ。その飾り、といえば、やはりイレズミとなるのだろうか。はたまた向こう傷というものか。味わいというのは恐怖心なのだろうか。

。これもよくよく凝視すると、間延びした飾り切りが見てとれる。サンマなどの細長い魚にバッテン切り込みを入れた時、このような間延びが見られる。目黒の殿様の敬を一心に集めた見事な味わい。

爽やか。さわやか、にまさかの飾り切り!。しかも四連発!。アアアア、やっぱりそうなんだ~。上段下段、左右に切れ込んでいるのは、やはり応援席観客の見栄えと味付け応援合戦。確かに試合に色どりをも添えている。

 

やはり、日本は包丁の国。漢字をチラリと見ただけでも、このようにアチコチ飾り包丁が…。怪傑ゾロなんてのも飾り切りを真似してる?。

酢の効能 / みなぎる血潮を酸性の反対に

Title : す酉

 

 

会社を、学校を、仕事を、生活習慣病を、

辞める(やめる) 止める(やめる) 病める(やめる)

舌が辛い、と書いて辞。

ヤメる側もヤメられる側も、確かにピリピリとツラい。誰かがヤメれば仕事は一瞬にして

止まる 留まる 停まる

確かに激辛食物を口に運ぶ時、人はハシやスプーンをたびたび止める。

 

健康志向の日本人は皆知っている。酢(す)が身体に良いことを。特に便秘解消には特効薬。つまりは滞る仕事をスムーズに活性化させる力を持っていると言う事だ。

それゆえ、次の方程式は確かに人々を救済する。

 

辞める(やめる)+す=やすめる ⇒ 休める

病める(やめる)+す=休める ⇒ 回復する

 

なるほど、確かに納得だ。という漢字に酉(とり)という字が内包されているのも頷ける。酉の市とは商売繁盛を指しているのだから。

 

料理のさしすせそと言えば、

さ 砂糖

し 塩

す 酢

せ 醤油(せうゆ)

そ 味噌 (今の時代ならソースかも)

 

我が身の人生料理、やはり最も必要欠くべからざる要素はのみ。

ドロドロ血液をサラサラに。血液を酸性の反対、アルカリ性にするのは酢。ゆえに、

酢にも酸性にも 酉の字が…

つまり、敵の敵は味方。それゆえなのだろう、酢の分子式は C2H4O2

すなわち、

2+4+2=8

末広がりなのである。

 

別れる切れる / 時代のシュレッダー

Title : サムライニッポンでホントにいいの?

 

 

別れる切れるは芸者相手に言う言葉。なんてのは今は昔。

今流なら、別れる切れるは組閣のたびに言う言葉。

という漢字、七つの刀で切ると言うのだから用意周到この上なし。なんせ、人がひとたび何かを切ろうと思った時のエネルギーたるや凄まじい。人と人が結ばれる時に必要とされるエネルギーの比ではない。

縁を切らないでね指切り。…はて。

 

切り捨てる

切る捨てる徹底廃棄

分かるけど早まるな、その前にトコトン御一考。だって、

捨てる という字の中にはという字が内蔵されているのだから。人によって解釈さまざま。

捨てるのが吉なんだろうと考える人、吉と知らずに捨てちゃいましたと思う人、あなたはどちらのタイプだろう。前者は後悔知らず、後者は後悔許せず完璧主義。

この切るという行為、なかなかどうして奥が深い。ヒトスジナワではいかない行為だ。

望みを切る と書いて 切望

親を切る と書いて親切

全く理不尽この上なし、と憤慨する人も続出しそうな…。

 

切腹は大出血、指切りはバンドエイド要らず、同じ貼るなら

切手

切らずに開けるのに缶切り 缶の中に詰め物で缶詰

なのに詰め腹切らされるのは開けずに切る、と。

何でもいいけどデタラメ日本語、キチンと理解して使わないと時代に躓いてしまいそうだ。近年とみに問題となっている日本各地各所の開かずの踏切

踏んで切る のが踏切。それってヤッパリ用意周到。もはや

踏んだり蹴ったりではなく踏んだり切ったりの地団駄(じだんだ)時代。

それって昔懐かしジンタ時代?。いやいや、やっぱり示談だ時代

親切さえ仇(あだ)な非情のライセンス返り討ち時代。

人が九と書いて仇(かたき)。もちろん十人目が切られた人

訴訟社会は切羽詰まって羽根を切る。

 

つまりは飛べない。

雑断力 / スムーズな会話力

Title : 身の丈、背丈

 

 

油 (アブラー)「私の身の上話、聞いてくれるかなー」

亜油 (アユ)身の上だよねー。ちゅうことはお肌の話?。英語でゆーとスキンケア・ト。いいよ、お薦めのローションとかアンでしょ?」

「してもいいんだけど、アそれもう古ッ、とか言われると傷ついて立ち直れなくなるからヘタに人とは話したくないよ、そんなお肌の話なんて思いッきり情報関係の話じゃないですかぁ」

亜油「ア、そーそー。どんだけ新しくすりゃ気が済むんだよって話。一新腐乱だよね。一つ新しくなったと思ったら既に腐乱」

「だよね、ダヨネー。今年はその傾向もっと強くなんだってよ。いぬどしだけに腐乱ダンスの戌っちゅー話なんだってサ。今年も茶番な一年になりそうだよ」

亜油「それが分かっててどーゆー心掛けしよーかなって考えたら何も浮かばん。ひざ掛けなら掛けるモン分かるけど、心に何掛けろって話だよ」

「シールドじゃない?。二重パスワード掛けんだよ」

亜油「煮汁パスワード?。良く分かんないけど、絶対本心悟られたらアウトだよね、それだけは言えてる。無理心中に務めてるね日々。アタシの心を覗くのは誰でも無理。自信あんね」

「心よりやっぱルックスで勝負。こないだセクシーな服着てカレシに会ったら思いっきし感服したって言われた。露出度高い服だけで男はマッハ感服、感全服従」

亜油「ソレやりすぎるとヤバイよ。欲情が先か情欲が先に来るかケースバイケースだけど、その気にさせたくない奴には絶対見せんなって話でしょ」

「こないだカレシんちで初めて夜明けのコーヒー飲んだけど、それってさわやかなはずジャン。外がシラジラしてきた頃ジャン。なんでシラジラシイなんて言う権利あんのよって話。バカにしてんの?。だよねー。思いっきし、だよねー」

亜油「人のこと攻撃し過ぎなんだよー。アタシなんか、こないだ友達に寝癖ついてるよって会ったらすぐ言われた。寝る癖がついたらサ、いけないわけ?。夜通し遊んでんのが若いと思ってんだ、タク…」

「そんなヤツまともに相手しなきゃいいんだって。ムキになって相手してる子もいるけど、何?、あくなき戦い?。嘘つけ、料理もしないヤツが何でゴボウのアク抜き出来んだよ。あれ大変なんだよ主婦的にはー」

亜油「うちは料理しない。ゴハンにフリカケが多い」

「うちと逆かー。うちは絶対毎日まかない料理。ゴハンには何も振りかけないし、まかない」

亜油「人それぞれでいいジャン。自分の身の丈にあった生活してりゃいいんだよ。他人とか関係ない」

背丈にあった生活?。天井低いの?」

亜油「あははは笑えるー。身の丈って身長って意味だよ。背丈は背中の長さ」

「アそっか。体重が先か重体が先か、いわゆるコロンブスの卵?。何だろ」

 

謹慎処分は妥当か / すたれるコトワザ

Title : どうして地の球が地球なの?。惑星が球なら、どうして星は円形絵文字じゃないの?。

 

 

ニッケル良く読む誌は本日3日、生徒への不適切発言により謹慎処分6か月を受けていた相模原熱紙(さがみはらあつし、34才、丸干第二高等学校国語教諭)が教壇に復帰したと報じた。

相模原は授業中、「雨降って地固まる」とコトワザを引用したところ、生徒の中島広大君が「先生、いまは雨降って土砂災害の時代です」と発言。

「さすがは中島、頭がキレるな」

この相模原の言葉が問題となった。中島君の毛髪は硬く、それを担任教師がペーパーナイフ代わりにも出来る、といった意味合いで頭が切れると発言したのは明らかだと、事情を聴いた両親が教育委員会に抗議を申し入れた、というのがコトのいきさつ。

 

「今日、こうして再び皆と勉学に励むことが出来て先生は嬉しい。そこで今日は正しいコトワザについて皆と勉強してみたいと思う。中島、お手柔らかにな(笑)」

「先生、ボクの手を柔らかくしろと言うんですか。髪が硬いと失言したので、今度は柔らかく、ですか」

「違う違う(笑)。……では誰か、チョット変だなと思うコトワザがあったら教えてくれ。…オッ、早いな上島」

「ミイラとりがミイラになる。これ絶対おかしい」

「どうしてだ」

「日本から遠く離れたエジプトですよ。ミイラといえば。ミイラが略奪されている事実を、ほとんどの日本人が知ってることが前提のコトワザですよね、これって。日本人なんだから、ミイラより、干物とりが干物になる、のほうが絶対分かり易いと思う」

「ああそうかぁ~。そうだなぁ~。…確かに。アブ、ハチ取らず、なんていうのもあるが、これだって、アブはハチを食べる、という知識がないと意味合いが通じないコトワザだしな。…特殊な知識を皆が知っている前提でコトワザを作っているのはおかしいと先生も思う。…オ!下島も何かあるのか」

「磯カバ回れって、何でカバが回るんですかね。意味不明なんですけど」

「磯カバじゃなくて、急がば、だ下島。急がば、だ。磯にカバなんていやしないんだ。カバは淡水にいるんだ」

「へぇ。…だとしても、何で回んですかね。猿、回れ、なら分かるけど。猿回しなら日本人は皆知ってますからねー」

「遠回り、の回るだ。回転のことを言ってるんじゃないんだ」

「回り道のことですか。これもおかしい。わざわざ距離伸ばしたルートだとしても、カーブとは限らないじゃないですかー。直線道路は選べないってこと?」

「違うんだそれも。その考え方も根本的に違うんだよ。塗れ手に泡は石鹸のことじゃないし、泣きベソは泣きボクロのあるデベソのことでもないんだ。どうして分かってくれない?。えッ?。」

「だって、英国ってイングランドのことじゃないですか。UKって英国のことですよねー。何ですかイギリスって。どっから出てきたんですかイギリスって言葉。TVのスポ番観てたってイングランドって表記出てるじゃないですかー」と島中敦子。

「ガイコツの頭が何でドクロなのか分かりません。シャレコウベはガイコツの頭?。何?、ドクロとシャレコウベの違いって?。シャレコウベ……神戸がオシャレだってこと?」

「島上、島上ッ!もういい、やめろ。お前達が言ってるのはコトワザじゃない。全く違う話だ」

 

確かに違う話。しかしこのように教育現場から日々上がる悲鳴は、今後も不適切発言のオンパレードを示唆していると言わざるをえない。

 

岩猿を得ない ⇒ 岩猿狙いの猟師が、仕留められず手ぶらで帰ること。猿は岩山に居るものだ、という例え。

セロトニン不足とストレス / 睡眠と日光浴を

 

 

 

「ひとつ聞いてもいいかな」

アンニュイな雰囲気漂わせ、右目にしなだれかかる前髪を掻き上げながらソファから立ち上がる蚊納(かな)。薄暗いリヴィングの窓際まで流れるように進み、ソッとカーテン越し、ビル群に目を落とす彼女。その蒼白い横顔に街の灯が反射して、その頬は深海の人魚さながら。

「何?」

そう呟いて、やっぱりオレはこの女が好きなんだなあと、自身の本音を感じ、少し戸惑った自分を愛おしく感じながら囁く金鳥(かなと)。

「ワタシの親友ね…ストレスで今かなり参ってて…。最近ドカ食いが止まらないんだって…。心配だわ…。最後に太るのが顔だって言うじゃない?。彼女、それが始まっちゃって……」

「ストレスの代償行為だね……。丈夫な胃をしてるんだろうけど、長引くと良くないね。生活習慣病になっちゃってるのかな。外あんまり出ないんじゃない?」

「うん。デスクワークでしょ。残業多いから帰りは深夜だし…」

「休みは寝てるのかな」

「そうみたい…。寝貯めしてるって…」

「うん。寝だめってね、ホントに有効なんだよ。一日徹夜したとするでしょ?。一週間は7だからね、一日6時間の睡眠を取ったことにしたければ、休みの日1日だけ12時間睡眠を取ればそうなるじゃない。睡眠は帳尻合わせが出来るんだよ。1週間おきに計算して分配すれば過労にならなくてすむんだ。つまり、精神的に追い込まれる可能性が低くなるってこと。だから彼女、正しいんじゃない?」

「ふ。流石はお医者様。…の卵…。でもね、私だってストレス溜まってるけどドカ食いしなくても大丈夫。どうしてかしら?」

「セロトニンが失われてないんじゃないかな」

「セロリとニンニクが失われてない?、何言ってるの金鳥(かねと)。私どっちも得意じゃないって知ってるはずよ。食べてなんかいない」

ふッ。聞き間違えてムキになって怒る顔も可愛い…。やっぱりオレはこの女に惚れてるんだな…、と自分の気持ちを改めて噛みしめる。

「セロトニンだ。脳内にあるセ・ロ・ト・ニ・ン。それが不足するとね、健康面に問題が出…

「私が聞き間違えたことがそんなに面白いッ?!。ニヤニヤしちゃって何様なのよッ!、不愉快だわ私帰るッ」

たった30分前まで彼女は隣に居た…。彼女は人間に追われて薄暗がりを横切る蚊のようにプゥ~ンと飛んでいってしまった。つまりオレの腕をすり抜けて行ってしまったんだ……。

 

アレ?、………オレ、大して彼女のこと好きじゃないかも

 

 

◆写真タイトル / 彼女の分まで食べてしまえ!

 

 

 

指紋認証/ 誰でもCSI/ 指紋の種類とは

 

 

 

「仮名子(かなこ)、成人式どうだった。皆と楽しんでこれたのか。お酒飲んできたんだって?。晴れて飲めると気分も楽だろ、はっはっは」

「まあ通過点のひとつにすぎないけど、ケジメっていうか、まあまあだね」

「お前の指紋は何型だっけ?」

「え?。指紋?。何それ。意味分かんない」

「分からない?。じゃ成人式出席は一体何だったのかな?。お土産目当て?」

「お父さん、気は確か?。シラフでそれだと娘やってられないから私」

「お前が気は確かかだ。自分の血液型知らない大人が居るか?。いざ献血って一刻を争う時に大変なことになっちゃうんだぞ。指紋だってソレと同じだろう。何故オレの娘がそんなこと分からないんだ。あ?」

「お父さんの娘だから分からないでしょッ!」と背後から妻(青菜)の罵声。

「オレ1人で作ったわけじゃないぞククク…。そんなことより仮名子、マジメな話、指紋は大きく分けて弓状紋と蹄状紋、渦状…

「だから何?。指紋で献血しないでしょ?。何?、スマホの指紋認証とかのこと言ってる?。指紋盗まれるから管理しろって言いたいの?。管理出来ないけど…、ああ、指紋認証の後、すぐに指紋拭き取れって言いたいのかな?。指紋知ってなきゃいけない意味って何?」と息巻く仮名子。

「指って大事だろ?。なのに指紋は関係なしか。自分の指紋と他人の指紋の区別がつきませんけど何か?、ってか。無責任な奴だなあ、ッたく」

「お父さんのDNAって何型だっけ。ちょっと教えてよ」

「DNA?」

「だってお父さん、人間としての自分て大事でしょ?。血液型よりよっぽど大事かもしんないよDNA。なのに自分のDNAと他人のDNAの区別がつきませんけど何か?、ってか?」

「それは調べたくても調べられないんだよ普通は。薬局にDNAの検査キットが売ってればオレだってすぐに調べるよ、そんなの常識だ。それと指紋は全然話が違うだろう。見えてんだからな指紋は。見りゃ形だって分かるだろ?。そしたら調べれば分かるじゃないか、自分の指紋が何型かって。おおまかだけどな」

「だから調べて何か意味があるのって話なんだってば。やアだア、このヒト!」

「アメリカのハリウッド通りにスターの手形が押してあるだろ。あれには指紋がないんだ。あったら指紋認証で悪用されてしまうからな。そのくらい重大なことなんだ指紋の話は」

「家じゅう皆の指紋だらけだよ。悪用し放題なんじゃない?」

「ちょっと、この粘土にお前の指、押し付けてみてくれ。オレは父親として娘の指紋の型を知っておきたいんだ。成人した記念にな」

「そうなの?」

「ああ。人差し指のだけでいいから」

 

黄色平(いえろへい)は自室に鍵をかけると、自分のゴルフクラブにクッキリ付着した正体不明の指紋と、粘土についた娘の指紋をあらゆる角度から検証し始めた。

「オレのゴルフクラブをこっそり使ってるのは娘じゃない。ニョ-ボの方か!」

 

◆写真タイトル / 疑心暗鬼