カカア天下 / 夫婦の絆 / 漢字が教えるものとは

Title : 記号

 

 

「あの言い方ないでしょー?。あの子泣いてたわよー?。知らないわよー?、アタシ。アナタって情がないのよー。いつもー!」

「情けという字は小さく青いと書くんだね。つまり情が深い男はウツワが小さく青臭いということになる。キミは夫がそんなんでいいんですか」

「アナタ国語の先生じゃないんだからデタラメ言ってばかりいるのは良くないと思うわー!。あの子の口の利き方が悪いっていうんだったらアナタがちゃんと教えてあげればいいじゃないのー。」

「小僧という字は小さな僧侶と書くんだね。つまり自分で悩み、苦しみ、考え、やがて自分なりの真理に行き着くということなんだ。父とはいえ、それを阻害してはならないんだよ」

「アナタ学生の時の国語の成績、さぞかし凄かったんでしょーねー。ご立派だわよー」

「お前は過保護過ぎやしないかね。親という字は立つ木を見ると書くんだよ。分かるかい?。突き放してるように見せかけて、実は見守っているという姿勢が望まれるんじゃないかな?」

「へえー。ホントに望まれるのかしらー?。望という字は月が亡い王様って書くのよねー。つまり闇夜の王様よー。お先真っ暗ねー。だから逆に希望持つのよー。違うー?。違わないわねー?。こーゆーデタラメは言ったモン勝ちなんだからー!」

「お前も私の物言いをするまでになったのかね。いやあ、感慨深いものがあるね。これは1本取られましたね(笑)」

「アタシだってアナタに対抗するために毎日お昼1時間、漢字眺めて知恵しぼってんだからー!。負けてたまるもんですかよー!」

「初耳だね、それは……」

「アナタ、さっき見守る姿勢って言ったわねー。姿勢という字は、次は女が勢いづくって書くんだからー!。つまりカカ天下よ!。早くあの子に謝ってきなさいよー!、早くぅー!」。

 

近くて遠い / 近視と遠視 / 遠近両用の勧め

Title : シロー

 

 

「韓国って、急に近くて遠い国になっちゃったって、皆言ってるね」と、マミー。

「それを言うなら、オレにとって会社のアノヒトもそーだ。近くて遠い人だ」とパピー。

「だったらサー、アタシが年取ったんで、小さくて軽い人になっちゃったネーって思ってることは、ドー結び付けりゃいいって?。ん?。何か言った?」

「言ってませんよ、おばあちゃん。今、庭で鳴いてるコオロギね、アレ、近くで鳴いてるよーな気がすっでショ?。でも、実は案外遠いとこで鳴いてんですよ」

「分かるブ。オシッコもれそうな時、おトイレ、急に近くて遠いとこにあるよーな気がする」とパピーとマミーのひとり息子ピミー9才。

「あのさ、フルサトは遠きにありて思うものって人間言うじゃん。でも、アンタらの実家って隣の県じゃんかー。だからフルサトを思わんのか。遠近両用にせんでいいのか」と、飼い猫オスのパチンコ丸シロー。

「シロー。それは地下鉄で帰省するからだよ。お前はバスケットに入れられてるから見えないだろーが、地下鉄は乗る時間が短いけど、地上からプラットホームまでが遠いんだよ。だからねー、地下鉄は近くて遠いんだよ」とパピー。

「何ぬかしゃーがる!!、ネコだと思って甘い言葉かけやがって!!。チクショー!!、誰が騙されるかってんだ!!」とパチンコ丸シロー。

「ああら、お背中の毛が全部逆立ってるわよ、ほらピミー、見てごらん。面白いねぇ~、短い毛だと思ってたのに、案外長いのねぇ~(爆)」

「何だと?、今何て言ったキサマ!!。トリマーの免許持ってるからって、いい加減なこと言うと承知しねーぞ!!」と激怒しながらも、ラジオの囲碁放送時間になったのでイヤホンを耳穴に押し込むパチンコ丸シロー。

シローはハッとした。ラジオはマミーの背後、タンスの上にあった。激怒した手前、スイッチを入れてくれとは到底言えない雰囲気。

今、ラジオは本当に近くて遠かったのだ!。

 

真夜中のギターを聴いてシミジミ / 若者達の楽器離れ

Title : イカヒゲG

 

 

若者にアコースティックギターは必須アイテム。それが昭和。女の子にモテたくてギターを始める。彼女と屋根の上に並んで座り、夜空を見上げながら弦をつまびき二人で歌う。彼女がうっとりと自分の肩にもたれかかり至福の時に酔う。

或いは首にハーモニカ・ホルダーをつけ社会的メッセージ色濃い自作の歌を歌いながらハーモニカも吹き奏でる。ボブ・ディランの姿を見て吉田拓郎が真似、瞬く間に若者達が追従した。

アメリカが荒れに荒れている時代だった。戦争は人間の人権を踏みにじる。大義に真実はあるのか。若者達はディスカッションを続け、連帯し民族 (フォーク) の歌を歌い継ぎながら国の将来、自身の将来を真剣に考えた。

反戦運動は効果なく、若者達の音楽レジスタンスは激烈な感情のうねりを見せ、より大きな叫びを求めアコースティックギターはエレキギターに変わった。

アメリカがそうしたので日本もすぐ真似した。そこで歌謡界はフォークというジャンルではなくなったと判断し、困り果てた末に、新しい音楽なんだよなァー、ちゅうことはニューなんだよなーと、ニューミュージックという適当なジャンルをこさえて呼ぶことにした。

エレキギターはアコースティックの様にどこででもお気軽に弾けるものではない。女の子達はオシャレなニューミュージックに夢中になったわけだから、アコギを弾いてもモテない。そこで日本の若者達はアコギを捨てた。

やがて世界の戦争はハイテク化し、以前のような人間玉砕は減少した。ディランもニール・ヤングもエレキギターで音量や音色を機械調節した。

日本で尺八や琴、三味線を演奏しまくる若者はほとんどいない。アメリカではカントリー・ミュージックが今なおアコギ片手に娘達を魅了する。

現在、日本の若者達にハッキリとした共通文化はなく、それでは困るとばかりに一部の企業が流行を作り上げ煽り立てている現状。ノル人もいればノラナイ人もいる。

 

街の何処かに 淋しがり屋がひとり

今にも泣きそうに ギターを奏いている

愛を失くして 何かを求めてさまよう

似た者同士なのね

ここへおいでよ 夜は冷たく永い

黙って夜明けまで ギターを奏こうよ

 

 

◆真夜中のギター

〈吉岡治作詞 / 河村利夫作曲、千賀かほる歌〉昭和44年

適材適所 / 敗者復活 / ガラパゴスの軌跡

Title : 「ニノミヤじゃないもん」うるっとカラパゴス

 

 

◆ ネコセイペディア

二宮金次郎(尊徳)

昭和の時代、日本全国の小学校の校庭に飾られていた銅像その人。幼少の頃より仕事と勉強を両立させた姿を児童らの模範とし多くの学校に飾られたが、近年はすっかり撤去されてしまった。

 

「こんばんは。『おそうざいステキでしょ』の時間ですぅぅ~。暑さ寒さも悲願まで、という言葉がありますけど、今日もそんな感じでしたねぇ~真腹さん(笑)」

「いやいや、全くです。甲子園大会優勝悲願、全米テニス、何もかもが悲願まででしたから。夢散った選手達、涙で鼻も真っ赤、悲願鼻は、すがすがしく美しいものです(一瞬、目が潤みくちびるを噛む)」

「さて!、ですねぇ。今日のテーマは “ 適材適所 ” !ということなんですけーれーどもッ、…真腹さん、どういう理由でこのテーマを…」

「おそうざいステキでしょ、と発音的に類似点が多いからです。腹田さん気づきました?」

「いやいやいや、まさかとは思いましたけどもー、やはりですかー(怒)」

 

「例えば、ガラパゴス諸島に生息しているゾウガメを日本の小学校に連れてきたとしますよね。小学校校庭の片隅によくある池にですよ」

「えーえーえー、よく金魚だとか亀とかいましたよねー(笑)」

「そこに池より大きなゾウガメを放つんですよ。コレ、適材適所といえますかね」

「言えませんよー。そんなことしてる小学校なんてあるんですか?」

「あるんです。番組スタッフが小学生達に取材してきました。ご覧ください」

 

「あそこでホウレンソウゆがいたのクチクチやってる亀、何だか知ってる人」

ハーイ!! と群がった小学生数十名が元気よく挙手。

「何ていう亀かな?」

「ニノミヤキンジロー !!」 全員声を揃える。ゴスペラーズを上回る息の合い様。

「ニノミヤキンジロー?。どうして?」

「教室から窓越しに校庭見ると、銅像みたいに動かないからー !! (爆)」

 

「なるほどぅ…銅像なだけに像亀ですか…。しかし真腹さん…。あのカメが校門横のニノミヤキンジローだとしたら……これ…は…適材適所といえませんか?」

「私も驚きました。本来なら完全に不適材不適所となるケースなんですが、小学生達がそれを適材適所にしてしまった。まさに敗者復活、つまり子供には大人に真似できない可能性があると言わざるを得ませんねぇ」

「真腹さん。私、今ふと思ったんですけど、アナタがこの番組のゲストコメンテーターというのは、適材…適所と言えるのでしょうか」

「このスタジオに子供はいませんか。誰かッ!」

日本のお敬語 / 言葉使いの罠

Title : おモンキー

 

 

日本語には敬語というものがある。相手を敬う(うやまう)素晴らしい物言いだ。当の日本人でさえ、敬語を正しく使いこなすは非常にむずかしい。

手っ取り早く “ お ”を名刺の前に付ける。これは敬語なのかどうなのかボクは存じ上げない。

握り、に “ お ” を付けておにぎり。

二番煎じになるから寿司の握りに最早 “お ” をつけられない現実がある。

おバカというのが流行にもなった。可愛い感じがして好ましく響くからだ。

“ お ” と同じく、御(おん)というのがある。御歳暮、御手洗い、御馳走(ごちそう)、御無沙汰(ごぶさた)、ETC、ETC(エトセトラ)…。

おバカでなく、御バカ(おんバカ)だとどうだろう。妙に、そういった偉い地位でもあるような印象になる。

おトウフではなく御豆腐にすると、たちまち宮家御用達な豆腐に違いないと確信してしまう。反対に、「おぶさたしてます」「おちそう(お馳走)ですね」だと間抜け極まりなくなってしまう。

イントネーションで “ お ” と “ 御 ” を使い分けるのであろうか。それともハナから両者は同じもの、同一語なのであろうか。

「おミカンど~ぞ」はある。「おバナナど~ぞ」はない。おトマト、もない。

お野菜、お肉、お菓子、OK。お食パン、おカステラ、おソーセージはない。つまり外来語に “ お ” は付けない。お寝間着、はあっても、おパジャマはないのだから。

しかし、“ 腹 ” は日本語。でも、お腹(おなか)はアリ。

お手を拝借、お目目、お鼻、もアリだが、お心臓、お胃腸、はナシ。おトボケ、おフザケはあるが、お冗談はなくてゴ冗談と発する。

おウドンもおソバも許すものの、おキシメンは許されない過酷な世界。

お洗顔は見逃すが、お歯磨きはご法度。

お決まり、お約束は讃えられるが、お契り(おちぎり)は聞き捨てならない。お役所、お上(おかみ)は当然だが、お先生、お学校と言えば笑われる。

何という国民!。ただ者では、なああああああーい!!。

 

 

 

 

 

行列のできる講演会(2) / 本音と建て前 / 自己主張とは

Title : 「ややこしい話だとワタクシは脳内爆発があるとです」

 

 

 

定年を目前に控えた亜万田健人(あまんだけんと)部長の講演は凄まじくも迫真の演説だった。あれは講演などと呼べる代物ではない。明らかに演説だった、と若干24歳の城次来仁(じょうじくるに)は、後年不幸な婚約破棄で幕引きとなった礼杏菜(れいあんな)との当時の交換日記に記している。以下は城次が隠密(おんみつ)録音した会場演説ハイライトシーンの一部。

「私は私のことを “ 自分 ” と呼びます。皆さんもそうでしょう。でも本当は “ 自 ” と呼ぶだけで良いのです。それなのに “ 自 ” を

“ 自分 ” と呼ぶのは、私を第三者に分け与える時なのです。人に自分を “ 分 ” ける時なのです。

礼儀をもって分け与え、受け取っていただくのです。

学校で、職場で、社会で、世間で、私を不特定多数の人々に受け取っていただくのです。

受け取っていただき、どうでしょうか?、と尋ねることなのです。

色々なご意見を頂くことになるでしょう。そうやって年をとっていくのです。結婚相手だけではないのです、分かつ(わかつ)のは。

私は私のことを “ 自己 ” とも呼びます。

この時の私は “ 自分 ” という立場にありません。

公私で言えば “ 自分 ” でいる時が “ 公 ” 、“ 自己 ” でいる時 “ 私 ” 。

周囲の人々に私を分け与えなくて良い時の私、それが自己なのです。

断固として守り抜きたい私の生き方、私自身そのものだと言い切れるポリシー。それは立場を超えたところにある絶対不可欠なものなのです。

命に代えても守らなければならない時すらあるかもしれません。そんな時、人は自分ではなく自己になるのです。

ですから、私にとって自己中心、すなわち “ 自己チュー ” という言葉は存在しません。それを言うなら自分中心、“ 自分チュー ” です。

自分中心があり得ない、許されないのは先に述べた通りです。

自己防衛は “ 自己 ” に許され、社会も言い分に耳を傾けてくれます。自分保身の “ 自分 ” は組織が、社会が許さない。

“ 自己責任 ” は “ 自己 ” を主張する時に伴い、“ 自分主張 ” をする時、人は私を無責任な者と呼ぶでしょう。その証拠に “ 自分責任 ” という言葉は有りません。社会が認めていない行為だからです。

“ 自分自身 ” という言葉は、物体としての私を指してはいません。私の体を指しているのなら “ 自分自体 ” と呼ばねばなりません。

自分全身。自分全体。私が “ 身 ” である時、それは私が “ 自己 ” である時。私が “ 体 ” である時、それは私が “ 自分 ” である時、なのです。

“ 全身 ” は皆の中で孤高の私。“ 全体 ” は皆の中で協調する私。

孤高でも、ひとりぽっちでも “ 自己 ” は強い。納得の私だからです。

協調する “ 自分 ” は不安定。納得出来ないことも多いからです。我慢しなければならないことも多いからです。

“ 自分 ” として生きる、“ 自己 ” として生きる。どちらかに偏る時、人は道を失うのです。どちらに偏ってもならないのです。両者のスイッチングが上手に出来るか否か、それが私達の大人度数と言えるでしょう」

 

講演終了後、控室に亜万田(あまんだ)部長の妻が来室。

「ワタクシ、亜万田の家内でございます。いつも主人が大変お世話になっております。…あの、主人はいつ講演するのでしょうか」

「え?。今、講演したばかりですが。お聞き逃しになりましたか。すぐこちらにお戻りになるかと思いますが」

「は?。今の方の講演は聞いておりましたが…あの方は…」

「え?。亜万田部長でしたけど…?」

「嘘だァ~!(全力冗談笑)」

 

 

 

男と女の溝 / 失われた意思疎通 / 絶望のチームワーク

Title : 泣きボクロのあるオッサン

 

 

「古き良き時代、昭和アゲインてダメか。

“ お茶の間 ” アゲインてダメなのか」

 

と、ゆらゆら錯覚でボールペンがフニャフニャに見える小学校時代の

慣れワザを何気に行いながら不機嫌そうに入社3年目のカトー。

 

相対するは、PC画面から目を離さないばかりか、

マウスパッドさえも瞬間接着剤で机に張り付け、

ソレを未だ上司に気づかれていない

妙に幸運な中途入社1年目のスドー。息巻いて言うのは、

 

「 “ おチャットの間 ” で何が悪いんだ。

それに昭和を古き良き時代って言うけどなー、それを言うなら、

昭和の古き良き部分だけアゲイン、て言わなきゃ片手落ちだぞ。

令和だってだなー、新しき良い部分が目いっぱい有るんだから。

昭和だけが素晴らしくて令和の方が落ちる、

なんてのは歪んだ懐古趣味なんだよ」

 

「またヤッテるわ、あの2人。くッだらないことで熱くなんのよね。

こないだ横通る時に聞こえたんだけど、カツ丼が縁起担ぎなら

負けた時に食べるマケ丼は何なのかって、

凄いリベートだったんだからー」

 

と、机に立てかけた鏡に写るサイドヘアの枝毛を

ミニ携帯バサミでカットしている入社3年目のイトー。

 

「ホント、生産性ない事この上無しよね。アタシ達みたいに

暮らしの実用性向上に向けて日々家庭の利便性図る

なんてこと考えられないのか」

 

とキーボードの溝に転がり落ちた

昼食のパンに散りばめられていたナッツのかけらを

綿棒ですくい上げ

何とか食べられないかと試みている

入社3年で寿退社後、離婚して出戻ったばかりのサトー。

ヘラヘラしながら言うには、

 

「利便性っていえばサー、昨日会社帰りに

シンパシーのお店で遂に見つけちゃったァー、二重タオルで透けないのに

通気性バツグンのバスタオル~!」

 

そこへ、嫌われるのも承知でザルソバ出前のウツワを足元に下ろしながら

拍子に落ちたツマヨウジを片足で机奥へ蹴り隠し

女子会話に割って入る

勤続何年目か未だ不明の課長ムトー。重厚な口調で、

 

「通気性バツグンってTバックのことか。

フンドシだってTバックなんだって、オレ言わなかったか?。ハン?。

通気性で言えば木綿のフン…。

 

OL2人は侮蔑退席。

 

入れ替わる様にムトーの前、音によるパニック障害に悩まされ続け

僅かな打開策として片耳だけにイヤーウイスパー ( 耳栓メーカー名 ) を

ネジ込んで危機に備えている入社4年目のクドー。ぶっきらぼうに、

 

「課長。こないだ連れていって頂いた店、引き分け丼ていうのが

メニューにあるって本当ですかね」

 

「引き分け丼?。誰が言った」

 

「スドーが聞いてみてくれと」

 

「引いて分けてあるということならウ丼だろう」

 

「ウドン?。…それは、あの麺類のウドンですか」

 

「違うのか。他に代案あるのか。え?」

 

「いえ。了解です」

 

ワーワーやっているカトーとスドーの席に課長の見解を伝えにゆくクドー。

途端にもの静かになる社内。

タイミングよく就業開始ベルが鳴った。

各々が着席。

 

 

 

 

 

話しが違う / 似て非なるもの/ モテる人とモテ遊ばれる人

Title : 実態解明ならスキャンしてみなはれ

 

 

「おねーちゃん、明日行くんだから20000円貸してって~、足りないって言ってんでしょうがぁぁぁ~」

「だから美容整形なんて意味ないって。ヤメなヤメな。第一だよ、一体何のメリットがあるって?。ハ?。言ってみ」

「モテるじゃん。言うまでもなくモテんだよ。したらばアタシの青春はキラメクんだ。昨日までの、恋愛どこまでも遠浅の海って男女関係に終止符打つんだよ」

「パカパカ。アンタ個人が持ってる女性的魅力でモテるのと、ミーハー的モテ遊ばれとは全然違うんだって、分かんないかなコノヒト」

「そんな違い、考え過ぎだね。おねーちゃんだって人気者になりたいでしょうがね」

「あのねぇぇぇ…。いいねボタンたくさん押されて自分は人気者だって喜ぶのはイーけどもサー、上から目線で呆れられアザ笑われつつバカっぽい内容でボタン押されるのと、感心されたり共感されたりしてボタン押されるのとは違うんだって。ゴッチャ感覚するコンニチの傾向やめてくんないかな。まずオマエだよオマエ」

「細かいんだよおねえちゃんは。痩せない反動で細かくなるのは分からなくもないが」

「酸性雨のニュースやんないからって酸性雨じゃなくなったわけじゃないし、東京オリンピックで都民が自宅に閉じ篭って選手応援したからってメダルに手が届くわけでもないしねー」

「グダグダ言っても20000円貸さないわけでもないしねー。おねえちゃんが心ひかれてるアンミツ屋の中西ハルキはアタシのクラスの子の兄だってよ」

「え?。あの人、中西ハルキって名前なのッ」

「話が違うんだよって言うかね。え?。どうなんだよ」

2019 / ふれ~ゆ裏 / タコ爆釣

Title : 10月は英語でオクトーパー?

 

 

どんなに正当な価格で販売しようともタタキ売りになってしまうカツオ。ナマカツオは違うんじゃないかって、下らないことに真顔で反応なんかするから熱湯オナベに人差し指付けちゃって第1度のヤケド負っちゃったじゃないの。

やあね。

鶴見のフレーユ裏でタコが爆釣ですってね。

東京の河口域、生活排水の垂れ流しと酷暑で大腸菌の猛威。回遊してくる魚以外、居ついていた魚はみんな逃げ出しちゃったのね。

釣人達がアジ狙いでコマセまき散らすから小ガニ異常繁殖、それをエサにするタコ異常繁殖。ライバルのカニ喰い黒鯛なんてゼロ。

ヨーロッパでタコが悪魔と呼ばれたのは、溺死体の中からタコが一杯出てくるからっしょ。溺死体の中って有毒ガス満杯だけどタコは気にせずモグモグモグ。

釣り座で急にタコが釣れる様になったら、それって警告点灯なのよ。釣り人なんて、釣れてりゃいいの結果オーライ。

やあね。

大型台風上陸 / 阻止した気象台秘話

 

 

 

「昨夜未明、甘味大島海底付近で発生した台風1374号は、その後、安泰低気圧を巻き込みながら東へ北上を続け、今日未明には鹿乃子島最南端を通過して四国より本州に上陸する構えをみせています。

今後の台風進路について鹿乃子島放臨羅部気象台より旋毛本(つむじもと)さんと電話がつながっておりますので今後の状況についてお話を伺ってみたいと思います。

…旋毛本さん。………旋毛本さん……………。電話が…つながっていないようで…すね…。

ここで一旦音楽を入れ、38秒後に再び放臨羅部気象台と電話を結びたいと思います。時間は2時30分を回ったところです」

 

♪~ ♪~  ♬ ♪ ♫ ♪ ~ ♬  (゜゜)~ ♬~ ♪~ (゜゜)~ ♪~

 

「はい、それでは再びスタジオから台風情報をお知らせします。

…昨夜未明、甘味処で発生した台風1373号は、その後、安泰低気圧を巻き込みながら東へ北上を続け、今日未明には鹿乃子島最南端を通過し、四国より本州に上陸する構えをみせています。

今後の台風進路について、鹿乃子島放臨羅部気象台から金剛岩さんと電話がつながっておりますので伺ってみたいと思います。…金剛岩さん」

 

「はい、金剛石です」

「早速ですが、台風1372号は今後どのような進路をとって日本列島に上陸しそうですか?」

「そうですねぇ、一応こちらでは昨夜、台風緊急進路変更会議を招集致しましてですね、適宜必要な措置を幾つか実行に移したところです」

「台風緊急進路変更会議…。とおっしゃいますと。それはどういう…」

 

(゜゜)~ (゜゜)~ (゜゜)~ (゜゜)~

 

「今、画面が台風の影響で乱れてしまいまして大変失礼を致しました。金剛石さん、たいふ…」

「金剛岩です。あの、私、金剛岩ですね。石ではなくて、岩ですね、岩」

「大変失礼致しました。話を戻しますが、進路を変更するといいますのは?」

「ええ。今回初の試みなんですがァ。…台風進路に先回りしまして、列島上陸の入口となる可能性の高い高知の足摺岬最先端に雨男さん雨女さん57名に、この方達は鹿乃子島市内在住のボランティアの方々なんですがァ、急きょ集まってもらいましてね、現在、足摺岬の先端部に集合してもらってます。ええ」

雨男雨女さん…。と申しますとォ~ッ?」

「ええ。雨男雨女さん達はご存知の様に雨を呼んでしまいますからですね、今回の様な大型台風の場合は特に降雨量が多いですからァ、雨男さん達が足摺の最先端に陣取ることによって台風が嫌うと思うんですよゥ、台風にしてみればよそ者に見えるわけですからァ。それで何とか進路を変えて列島上陸を未然に防げないかと皆さん頑張っておるところでございます」

「はあああああああああああ~ッ!。私、初めて伺いましたが、過去にそのような進路変更を実施されたことがあったんでしょうか、鹿乃子島放臨羅部気象台では」

「いえ基本的にはありません。平成2年8月、台風549882号接近時に一度だけ、鹿乃子島指宿沿岸に水先案内人ボランティア、学生さんですね皆、この方々を集めたことはあったんですよ。非公式で実験的要素が強かったので公表はしませんでしたが」

水先案内人…。それはどのような方々なん…」

水先案内ですから台風を誘導する形になります。その方々に台風を太平洋へ誘導してもらおうとしたわけですね。ところが会場自衛隊とうまく連絡が取れませんで、結局実現はしなかったんですよ」

「会場自衛隊?。……………もう少し詳しくお話いただけますかァ~ッ!! 」

「ええ。会場自衛隊の用意したヘリに水先案内人の学生さん達98名に乗り込んでもらいましてね、太平洋へ台風を誘導する計画だったんですよ当初。誘導の天気図まで用意してたんですが、強風の影響でヘリが離陸出来なかったんですね」

「しかし…万が一事故が起きた場合、それは…」

「……。これは何の電話なんですかね。私は今回の台風情報についての…」

「失礼いたしました。今回の台風1370号の情報についてお話下さい」

「ええ。…雨男雨女さんを足摺に配してですね、正面にあたる桂浜沿岸部、1キロ置きに晴れ男晴れ女さんを男女交互に49名。現在この時間、立っていただいております。これで進路変更は万全であると考えております」

「それは…。今現在晴れ男晴れ女さん達が桂浜沿岸部に既に立っておられるということなんでしょうか」

「えッ。ええ、そうですそうです。皆さんボラですね、これも」

「さきほどの桂浜沿岸の映像を見ますとね金剛岩さん、あ、今画面に映っておりますが…。お分かり…、になるでしょうか。激しい高波で道路は全く見えない状況です…ここにボランティアの方々が本当に現在立っておられるんでしょうか」

「えッ、立っておりますよ。先ほどもトランシーバーで安否確認を行いました」

「トランシーバーで…。大丈夫なんでしょうか、もの凄い高波が道路にまで…」

「アッ、それは全く問題ありませんッ。トランシーバーは2台を除いて全て防水ですから壊れることはまず考えられません」

「………。これまでのお話をまとめますと…。足摺岬最先端に雨男雨女さんが53名、高知県桂浜沿岸部に晴れ男晴れ女さん49名、併せて102名の方が現在深夜2時57分、立っておられるということですね?」

「はいそうです」

「…………。お話、お続け下さい」

「ええと。補佐する形で足摺岬周辺海域にですね、現在3隻の会場自衛隊燃料補給船が巡回中です。各々、親子水入らずのご家族23組に乗り込んで頂きまして万全の体制を敷いているところです」

親子水入らず…の、ご家族の方々。…と申しますと他人などは含まれていないご家族だけの方々が降雨量を下げる目的で乗船なさっているんですね?」

「そういうことになります」

「しかし…もし不測の事態が発生した場合、金剛岩さん達に責任が及ぶということにはなりませんでしょうか」

「ア、それは心配には及びません。実は私事で恐縮ですが、私のカラオケ18番は教会ゴスペルの ♪ ハレルヤ ♪ なんですよ。というわけで本来ならこの時間に、私も足摺先端でマイク片手にハレルヤを歌っていたところなんですが、生憎許可がおりませんで諦めざるを得なかったわけです。

一応、参加の意志は気象庁に書類という形で記録されていますから責任云々は全く大丈夫だと思いますよ」

 

台風1369号は鹿乃子気象台の万全策により日本列島上陸を断念、未明に温帯低血圧へ変わった。

 

 

◆写真タイトル / 花台風