ダイエット知らず / 輝く女性とは

Title : 女性にオススメ! セクハラ取り締まりポリス・ボット

 

 

 

「梅雨時ともなりますと、ワタクシ共は、エビや貝類を極力売り場(スーパー生鮮コーナー)にはお出ししないようにしておりますので…はい、申し訳ございません。

お客様に、もしものことがあっても何ですので…はい……ご理解ありがとうございます。……失礼致します」

 

事務所の電話を切り溜息つく店長モネに控えめ口調で衛生士のネモ、

「商品出さないのかって言われましたぁ?」

「転ばぬ先の杖だから仕方ないんだよねぇ~。君子危うきに近寄らずだよ~。キミは女性だから分かるだろ、この究極の選択。

前、ウチで働いてた事務の子、ええと、なんてったっけなぁー。ああ、そうだそうだ、ナモさんだ。あのヒト美人でスタイル良くってねー、そのせいで通勤電車。毎朝痴漢。

見ていて同情しちゃったよー、やつれちゃってさ~、どんどん痩せてくしさ~。路線変えても同じこと、それで結局さー、長い髪の毛バッサリでショート。ドカ食いしまくり、半年で体重25キロ増えちゃって、というか本人がそれを目指したんだなー。

おかげで痴漢ゼロ (注:このエピソードは実話です) 。彼女、見違えるように顔なんかイキイキしちゃってねー、光り輝いて美しいんだよ。すごかったなー、まるでディーバ。彼女に聞いたら、案外そういう女性、居るんだってねー。これはこれで転ばぬ先の杖でしょーねー!」

「……。顔とかお相撲さんみたいになりませんでした?」

「んッ?!。なってたよ。当然でしょ。そうなるまで彼女ガンバッたんだからねー。凄いヒトだったなー。感激した職場の、ホラ、なんだ配送部のイケメンの、ナイキの靴しか履かない…」

「マモさんですか」

「あーそうそう!。彼なんか痩せてるからナモさんの輝く存在感にマイッちゃったんだろうなー。電撃結婚!。羨ましいよホントー」

「それ本心で言ってますか?。男のヒト、スタイルいい女のヒト好きでしょうに。だから痴漢に狙われたんじゃないんですか?」

「ラッシュの電車に、スタイルいい女性が好みの痴漢が集まって来てるだけでしょーねー。それを男はみんなスタイルいい女性が好きなんてコジツケってもんだよー。だけど女のヒトは好きな服が着たいとかでダイエットするんでしょー?。気に入った服が着られれば満足なんだよね~?。自己満足の世界でしょー?」

「好きな男のヒトに見せたいっていうのも勿論ありますよ、何言ってんですか」

「だけどさー、その服、男の好みと違ったら全ては水泡に帰すねー。美しく飾ったネイルアートとかいうの?、アレ。何だか訳分かんないしねー。女性の自己満足だよー。男には何ら関係ないねー」

「店長ッ!。そんなこと他の女性の前で言ったら大変なことになりますよ。まさかメノさんとかマネに言ってないでしょうね!」

「あ。言ったかも」

「冷たくされてませんかッ」

「ああ…。気のせいじゃなかったのか…」

 

 

◆写真タイトル / 輝く明日のために食べなはれ (アップルパイ)

 

 

 

 

おわら風の盆 / 神が通る川

 

その日は八月の猛暑だった。富山の八尾だったし笹津だった。この日ボクは久しぶりに霊魂に遭遇した。それは何十年かぶりだったし、神通川にほど近い山道だった。カンカン照りの快晴だったし、ボクの全身には半端ない鳥肌が立った。辺りには人っ子ひとり居なかった。この体験は気のせいでもないし、幻聴でも幻覚でもなかった。おわら風の盆が始まる前だったし、気の早い里帰りのどなたかと遭遇したのかもしれなかった。

富山空港内レストラン喫茶でミックスサンドを何気に注文したボク。陽光ギンギラ照り付ける大きなガラス。ままま眩しい…。窓際に座ってしまったことを少々後悔するボクの目の前、突如置かれるミックスサンド。その具材の量に思わず目を疑う。破裂せんばかりの挟み様はどうだ!。しかもサンドイッチ自体の、この有り得ない量はどうだ!。

軽くつまむはずのサンドイッチ。ボクは半分残ったそれを注意深くビニール袋内に並べて配置し、移動中にサンドイッチが暴れ連獅子にならぬよう、そっとくるんでバッグに入れた。おもわぬ昼飯確保である。

空港タクシーに乗り込み「山と田んぼがあるところに行って下さい」

そこがどういうところなのか全く知らないし、特に目的があったわけでもない。富山は緑色のアマガエルより水色のアマガエルが多いという話を知人から聞いたので、ソレを見に富山へ行こうと。田んぼに半端ない数がいるというのであればすぐに見つかるわけだし、沢山見ることが出来る。写真撮影も出来るし、壁紙が青いアマガエルだというのも悪くない。

日帰りだから空港から遠い場所はダメだし、出来れば車で30~40分のところが良かった。タクシーの運転手さんはボクの注文に苦笑いしたし、ボクも苦笑いした。彼は笹津でいいかと聞いてきたし、ボクもそこへ行く流れなのだろうと頷いた。

笹津駅前で下車。ちょっとした商店街があり、確かに周りは山だった。ボクは適当に歩き始めたわけだし、さりとて地理に不案内なので迷わぬよう、大きな道路沿いを進むだけの方が良かった。目の前の大きな橋も同意した様子。

ちょっと歩き始めただけなのに、ドッと汗が吹き出しTシャツぐっしょり。これは空港へ戻る前に着替えなければならないと思う程だったし、実際にそうしたのだが…。

すぐに神通川が見えたし、それはビュンビュンひっきりなしに通過するマイカー道路より遥かに下を流れていた。まるで谷底。川幅は広く、スケールが大きい。何か引きずり込まれそうな怖さを感じたし、それはまんざら考え過ぎであるようにも思えなかった。15分程歩いたボクは眼下にダムを確認したし、地図を見ると神通第二ダムということであった。落下する水量はボクを一層怖がらせたし、同時にこのダムが帰りの目印になるとも思えた。ボクは早速山道を登り始めたし、駅前の自販機で買った缶コーラも、早速飲み始めなければならないほどの熱さ(暑さ)だった。

漠然と直線の登り道を考えていたのだが見当違い。ちょっと上ると先が全く見通せないほど極端なカーブ。その連続だったし、それはいつ果てるともなく延々続いた。途中誰とも一切遭遇しなかったし、車一台さえも通過しなかった。

次こそ頂上だろうと歯を食いしばりカーブを登りきると、チョビッと直線でまたカーブ。途中自販機の一つもなかったし、地図を広げると頂上はスキー場だということ。ボクはスキー場の大地に突っ伏して雪を口にかきこむことばかりを想像したし、1時間ほど歩いて休憩することにした。道路脇に出来ている日陰に座って靴を脱ぎ、しばしボンヤリしていると、カッコウ、カッコウと鳴き声がする。あれ何だっけあの鳴き声。キツツキだったろうかと考えたし、頭が熱さでやられて働かないことにも気づいた。喉が想像以上に渇き、飲み物も全くなかったし、適当に歩けばあるだろうと思っていた自販機もなかった。

15分ほど休み、それから気の進まないまま少し登り始め、幅1メートル程の下り道を見つけ、山を降りることにした。こんな山の上に田んぼはないし、アマガエルを見に来たのに何で自分が山を登っているのか理解出来ないし、登る途中に写真を撮りたくなるような景色も皆無だった。カンカン照りの強烈さだけは特筆に値する。もうダメだと思ったし、実際ダメだった。

下り道はコンクリートではなく土。周囲はこんもりと草木が生い茂っていてさっきの道路より遥かに楽な道行だった。コンクリートの照り返しがない。ふらふらしつつもグッショリ汗濡れした3枚目のタオルハンカチ握りしめ、汗拭くつもりが自分の汗を顔中に塗りたくっているだけのお粗末さだったし、絶望的な不快感だったし、なすすべなしだった。

次の日陰で休もうと、ふらつきながら下っていると平行な道へと至る。さっきまでの道幅2メートルから1メートルへ。それは身が細る思いのボクを象徴しているかのようだったし、ボクは何の小屋だか知らないが、4畳半ほどの敷地面積を誇っているであろう、古びたベニヤ板作りの小屋横日陰にヨロヨロと萎むように座り込む。火傷するほど、熱い…。

体育座りし、両腕を立てた膝上で組み、茹でダコのように真っ赤な顔をして、顔中吹き出す汗を拭く気力もなく、時計の針が3時を指しているのを確認したきり目を閉じてしまったボク。

バンバンバンバン!

突如、小屋のベニヤ板を叩く音に仰天、汗みどろのマブタをカッと開く。その音は確かに反対側面から聞こえた。慌てて自問自答する。何か気に障ることをしただろうか。小屋の横に座っているだけで中に侵入しているわけではない。ただ、座っているだけだ。ということは仮に文句をつけられても反論出来る。言いがかりだと。少し安心する。にしても驚いた。

全身を硬直させ誰かの次なるアクションを待つ。身構えているし、襲われた場合に備えて反撃する気構えも出来ている。1分。2分。3分…。

あまりの静寂さだし、人の気配もないし、もう耐えられないし、逃げずに立ち向かうしかないし、さっきの叩き方は明らかに敵対心露わな叩き方。下る先はそっち。音がした方。まさか上へ向かって引き返す気もないし。

意を決して立ち上がり、わざと相手に聞こえる様にGパンに付着した草を払う音を立てる。やおらバッグを肩に掛け、そちら側へと歩み出す。心臓がバクバクするので直射日光のむごさも感じない。横目で小屋側面をチラリと見やる。

 

誰も居ない。

 

?。

 

音を立てずに小屋の真裏に回ったな。

こうなりゃヤケだ。回り込んで顔を見てやる。草を雑にかき分け裏をソッと覗き込む。

 

居ない。

 

?。

 

結局ぐるりと小屋周りを見たし、おののきながらも小屋の中まで覗いてみた。中はカラッポ。小屋裏はビッシリ背の高い木々と雑草群、裏からは何処へも行けないはずだし、仮に無理矢理行くとすれば草をかき分ける大きな音を立てなければならない。無音での移動は50センチも無理な話。

そっちの先を音も立てずに引き返した?。そんな気配は全くなかったように思うが、結局そういうことだ。間違いなくアレは人が立てた音。ベニヤ板を拳で叩いた音だった。

まあいいや、と歩き出す。進む。四方八方を監視しながら進む。この道の両脇は林。傾斜して登りゆく斜面。雑草が生い茂ってはいるが、どれも低い。つまり小学1年生がしゃがんで隠れても発見されるは必須。

居ない。何処にも、居ない。少なくとも、こちらの視界、視野には入らない距離に隠れていることになる。

いずれにしても、もう行ってしまった。もういいや。早く降りてしまおう。

 

「おいッ!」

 

突如、ボクの背中に触れんばかりに接近した男が左耳真後ろで凄んだ!

仰天して荒々しく振り返る!!。

 

 

誰も    いない

 

 

いいや居る!、ハッキリ断言出来る。何処だ!。360度に目を凝らす。

 

居ない。何処にも居ない。ボクにくっつきそうなほど接近していたのだから林に入れるはずがない。声をかけられ振り返るに要した時間は1秒もないのだから。

 

 

幻聴、  と いうことに   なるが?

 

 

次の瞬間、大きく耐えがたい眩暈に襲われ、突如その場にトットットッと斜め倒れ。左腕を出して地べたにゴロンをかろうじて回避。

 

そのままその場で全身硬直化。身構える。起こるべき何かを息を殺して待つ。風がない。何の音もない。

5分もそうしていたが、急に何もかもイヤになり、白けきって立ち上がる。どうでもいいよ、バカバカしい。速足でスタスタ歩き始める。といっても疲労感で大した速度ではないのだが、

 

 

「おいッ!」

 

 

突如襲った再びの声に戦慄して立ち止まる!。今度は振り返れなかった。真後ろに誰かが居るのが見えたからだ。いや、実際には目視出来てはいない。だが、間違いなく見た。この目で、はなく、ボクの何かがそれを見た。という以外に説明のしようがない。

 

全身が総毛だっているのが分かる。もう完全に理解した。

今、ボクの真後ろに居るのは、人間ではない。動物でもない。

数分後、気配が消えたような気がして、ボクは素早く振り返った。

想像通り、誰も居ない。

 

ダムの見える道路に出る。もらった名刺に電話をかけタクシーを待つ。黄金の日差しが夕暮れを呼んでいる。吸い込まれそうな神通川の水面が鈍く光っている。

 

若い子の声だったように思う。

 

 

写真タイトル / 水

 

 

★ネコならエッセイ / 当ブログのエッセイ文、写真、イラストの無断掲載、転用を固く禁じます。

 

 

男子力ってこんな / 草食男子のツイート

 

 

泣かない。泣かなかった。今オレ部屋。部屋オレ1人だから泣いたっていいんだよな。布団に顔押し付ければ絶対外に鳴き声聞こえないし。でも泣かない。多分泣けない。泣き方、忘れちゃったくさいかも。

大人は泣かない。か…。分別あるから。人に見られたらみっともないから。メンツつぶれて生きてけないから。打たれ強くなって多少のことじゃ泣かないくらい強くなったから。よく言うよ。まあね。だけどそうなのかも。

涙、枯れちゃったから。大人になった時、もう手持ち残ってなかった。1滴も残ってない。

いいねソレ。カッコいいじゃん。オレも言ってみたいな、そんなセリフ。でもマジな話、子供でも滅多に泣かない奴も居るんだよね。大人でもすぐ泣く奴も居るしね。ア、これ男の話ね。

泣きの涙かあー。笑いの涙。これもいいね。笑いの涙。泣き笑い。

夜泣きソバ、なの?。夜鳴きソバ、なの?。チャルメラ吹く音が鳴くって意味とかじゃないの?。赤ちゃんのは夜泣きでしょ?。夜鳴きだったら赤ちゃん、ラーメン屋さんになっちゃうもんね。

最近、花粉症で涙ウルウルだったけど、アレ、カウントしちゃダメなんでしょ?、結局。

アーッ!!。失恋して泣いてみたいね思いっきり!!。胸が張り裂ける程の泣きって、どんなだろう。オレが胸が張り裂ける程、好きなヒトって、どんなヒト?。

居ないな、そんなヒト。アリャリャ、シャレになんない。泣いちゃったよオレ。

 

◆写真タイトル / 当たり前に流れ

婚活と就活の決め手 / 理解力で目的達成 / 要するに自活

Title : 煮込みカツ

 

 

 

「お前サー、ちょっと聞きたいんだけど、me Tubeで昨日から始まった青春物ドラマ “ 婚活とは何だ ” って観ちゃったりした?」

「アーアレか。観たけど、チョイ引っかかるよなオレ。だってサー、婚活って結婚活動の略語だろ?。何だよソレ。結婚って活動してするものだっけ。見合いって、合コンって、恋愛ってサー、活動なんだっけ?。

学校の部活は確かにオレ的には活動だと思う。人を恋するーとか愛するー、なんて重大極まりない人間の根源的な本能とか情緒だとかに関係ないからな、部活って。野外活動って。マグマの活動、これは有りだよ。マグマに感情とか情緒なんてないからな。

猛獣は夜に活動する、も同じくだ。情緒感じてたら狩りなんて出来たもんじゃないからな。なわけで、それと同等でいいのか、婚活って言葉。オレ、甘いのかな」

「てか、あのドラマが婚活って名付けたわけじゃないべ。そこんとこ宜しく」

「そりゃそーだ。じゃお前サー、死活問題だってよくいうだろ?。アレって活動が死ぬ、つまり活動出来なくなるって意味だろ?。じゃ、安心して生きていけるように頑張ってるオレ達のやってることってサー、死活?。死活なの?、ねえ」

「死活だよ。死活なんだよ」

「じゃあ生活って何だよ。死活の同義語なのか。え?」「そうだよ。同義語だ」

「分かった。つまりはこうだ。就活と婚活、どちらも目的達成のための活動。つまり、就活は恋愛感情抜きには出来ない活動、とまああこういうことなんだな」

「やっとわかったのかよーそんなこと!。全くお前にはマイルよ。しっかりしてくれよー25にもなってえー。いい加減に社会の常識ってやつを覚えてくれよー」

「人が生きるは人活。婚活や就活、部活などはその一部。死んだ後、天国や地獄に行ってからの人生が死活。何かオレ、コツ掴んできたような気がする」

「だろー?。シンプルに考えりゃ案外見えてくるもんだよ。そういうのってサ」

「活魚って何だ」「活動する魚だよ」「人間は活人か」「そーだよ!。そう!」

「この場合、何故逆になる?。普通に考えれば人活じゃないのか。何故だよ」

「人骨を連想させてしまうからだよ。だからあえて逆にしてんだよ。魚活だと魚拓と勘違いされやすい、だから逆にしたってわけ。素直に考えればすぐ分かることじゃないか。な?」

「よく解った。やっぱり人と話すことって大事だな。オレ、これからもっと話活やることにする。皆と色々なことワカツ合いたいもんな、とか言ったりして」

「オイオイ、しっかりしろ。話をするのを活動とは言わないぞ」

「じゃ布教活動って何だ。選挙活動って何だ。話が目的じゃないのかよ。ワカツ合うのが目的じゃないのか」

「あそうか。話活でいいんだ。ごめんごめん」

「社会人になったばかりの時を思い出してみろよ。オレもお前も自活始めただろ?。自分で活動始めたじゃないかよ。他活見て学んでいったもんな」「だよな。自分の活動と他人の活動。それが結婚すると合体するわけだから、結局は事前の活動としては、婚活。やっぱ、これで合ってんじゃないか?。婚活で」

「おお!!」

 

◆写真タイトル / 豚活

 

 

梅雨時のお手入れ / 心にも除湿器をね

 

 

 

 

毎年梅雨入り宣言を耳にするたび、条件反射のようにボクの頭に浮かぶこと。それは雨という言葉。五月病よりも先に浮かんでしまう。

流行り歌の詞中、日本人は雨という気象現象を “ 悲しい後ろ向き要素 ” として好んで取り入れる。そしてそれは人々の大いなる共感を呼ぶ。日本人独特の民族感覚なのだから、皆たちまち自然に理解が出来る。

例えば、三善英史の “ 雨 ” 。 雨に濡れながら、道行く人にこずかれても身動きひとつしない彼女は、恋しい男性を待ち続けている…。雨の慕情、雨の御堂筋、長崎は今日も雨だった、水色の雨、レイニーブルー、と雨をテーマに大ヒットした楽曲は数え上げればきりがない。悲恋の象徴としての 雨は梅雨時ならずとも引っ張りだこだ。

♪  雨  雨  降れ降れ  母さんが  ジャノメでお迎え  嬉しいな  と歌われる前向きな歌も稀に存在するものの、こちらは童謡。恋愛要素が皆無な子供向けゆえの、雨に対する好意的で無邪気な受け止め。

さだまさしの “ 雨宿り ” は、恋愛をテーマにおくユニークなハッピーエンド・ソングの典型だが、恋愛そのものというよりも日本特有の赤い糸伝説、不思議な縁 ( えにし ) が主題だとも言える。その点で童謡 “ 雨降り ” とは決定的な一線を引く。

同じ雨をモチーフとした楽曲でも、海外では日本のソレと解釈が多分に異なる。

CCRの “ 雨を見たかい ” では、~ キミは嵐の後に天気雨が降るのを見たことがあるかい?~ と視聴者に問いかける。また、アルバート・ハモンドの ” カリフォルニアの青い空 ” では、~ 滅多に雨が降らないカリフォルニアで雨が降る時、それは酷いドシャブリになることが多い ~ と歌われるが、双方共に何やら意味深。どちらの歌詞も恋愛を歌ってはおらず、奇妙な現象を見た時は要注意なんだよ、と警告とも取れるような教訓めいたものを感じずにはいられない。

これがビートルズの “ ペニーレイン ” ともなると更に難解。意味深どころか哲学的でさえある。歌詞の内容はこんな感じ。土砂降りの雨でも傘をささない主義の銀行員が床屋で順番待ちをしている。そこへ消防士がドシャブリの中、雨宿りしに床屋へ飛び込んでくる。仕事がら、大量の水の扱いに慣れている消防士のハズなのに、アタフタしている姿が滑稽だという。雨に濡れればヤッカイな紙幣を扱う銀行員の方が雨にたじろかず、自身がビショ濡れになる場面が度々あるはずの消防士が雨に濡れてうろたえる。これって “ 人生えてしてこんなもの? ” と視聴者に疑問を投げかけいるかのよう。

ボブ・ディランも歌った “ 君は大きな存在 ” では、成功した彼女を讃える主人公の男性、彼女の成功を喜んだあと、やがて独りドシャブリの雨の中へ戻ってゆく。一見、いや、一聴、悲恋がテーマの悲しい歌のような気がするが、決してそうではない。雨は2人の恋愛とは直接関係がなく、あくまで雨は男性の置かれている過酷な環境を象徴しているのだ。その点で日本人の感覚とは一線を引く。

日本と海外、雨にまつわる感覚の違いぶりは凄い。雨の降り方、降雨量の違いで受け止め方が違うような気はしなくもない。要するに、風土的な違いかなと。湿度が高くジメジメした日本の雨とカラッとした海外の雨とでは、そこに住む人々の気持ちに働きかける雨の作用が違うのは至極当然なのかもしれない。

梅雨時になるたび思うこと。普段は気にかけずに通り過ぎるアッレヤラコレヤラも、こんな風に細々と考え込んでしまう。雨には人の心を閉じ込める力も、あるのかな?、と。

 

◆写真タイトル / 雨が蓮葉を離れない

 

 

キーワードはどこへ / 会話術を磨け / 社員食堂にて

Title : ミッキィ

 

 

社員食堂片隅にて。

「何故、キミ達女性はカツ丼を避けるのか。ボクはちょっとソレが引っかかるんだ。だから教えて欲しい。ドンブリ持ちながら食べるのが重いからなの?。仲間で腱鞘炎になった者がいるけど、そんな不安も無きにしも有らず、って感じ?」

結構、社内の独身女性のお目当てにされていた独身次長A(ドイツに留学経験があるのでドイツ語発音で、エーではなくアー)は確実に1ポイント下げた。珍しく後輩女子らに話しかけたのがアダか。

「持ち上げないと食べられないですか?。私、テーブルに置いたまま食べられます普通に」

「アタシも」

「ちょっと斜めに傾けることは、あります。でもソレッって、おドンブリの中身がチョッとしか残ってない時ですけどね、エヘヘ」

「違うんだなボクの言ってる趣旨と。まるで。前からいぶかしく思ってたんだよね。いや、ていうか、焼肉屋で女子会って結構やってるでしょ?。お肉好きだよね女子も。トンカツは油で揚げてるから太るの気にしてるんでしょ。ネー?。焼肉は焼いてるとアブラ落ちちゃうもんね。そういうことでしょ」 “キーワードはどこへ / 会話術を磨け / 社員食堂にて” の続きを読む

果実酒のTV・CMに絶賛の嵐 / 梅種

Title : 梅種

 

 

最近放映されている果実酒のTV・CMに私は激しく感動した。

若い女性が若い男性とテーブルをはさんで差し向かい、彼女は片手のワイングラスに梅入りの酒を満たしている。そして彼に向かって、最高に幸せだと感じる時はいつか、などと尋ねる。彼が思案顔になったところでカメラが切り替わる。

おッ、驚いたことに彼女のワイングラスに沈んでいた梅はなくなっており、見れば彼女が梅を持ち彼の口元に差し出しているではないか。

テーブル上には何もない。とッ、ということは、つまり、

彼女は、好きな彼の前でワイングラスに指を突っ込んで梅を取り出した、ということだろうか。 “果実酒のTV・CMに絶賛の嵐 / 梅種” の続きを読む

日本人とサソリ / 知らぬがホトケ

Title : コードネームはサソリ

 

 

日本のドラマで、よく「オレの心はサソリ」だとか、気安くサソリうんぬんを連発してるのを聞くけど、

気安い。気安過ぎる。だって日本にサソリなんて居ないジャン。見たこともほとんどないだろうし、何かの展示物で観る機会があったとしても、習性すら知らないジャン。

知らないものを自分に重ねるなんてのは大人気ないジャン。チンプじゃん。ウソ臭い発言者だなって思われてしかるべきなのに、誰もそんなこと思いつきもしないのって、何その鈍感さ。

サソリが生息してるトコに行ったこともない人間が世界を救うために、なんて。

ドラマだからデタラメでいいってもんじゃないっしょ。最低でもスジの通ったフィクションじゃないと、いつまでたっても進歩しないっしょ。

オレは恐ろしい男だ、とか言って、自分はサソリ、なんて凄んで、

サソリってもの凄く臆病な生き物だッて知らぬがホトケじゃん。

「オレ、臆病者」って言ってるに等しいジャン。(爆)ジャン。

 

浮島釣り園 2019年 / 釣り / 汚染釣り座

Title : かろうじて2尾

 

 

先の記事で、川崎殿町浮島釣り園はコマセ汚染のない最後の聖域、と書いた手前、気になって昨日2019年6月14日、釣行。

結論は、最悪のコマセ汚染釣り座に変容してしまっていた、と報告せざるを得ず。

釣り座に設置された高さ約80センチのゴミ箱は全て満杯。ほとんどが残ったコマセ廃棄。よって悪臭が漂っていた。数年前まで、これらのゴミ箱は満杯状態になることは稀、GWなどに数個のゴミバコが満杯になるかならないか程度、コマセ廃棄はほとんどなく悪臭も無し、だったが。 “浮島釣り園 2019年 / 釣り / 汚染釣り座” の続きを読む

劣化するコトワザ / 古きを捨て新しきを使う

Title : お皿の真ん中で愛をうたう⇒皿に乗せたピザを食べ終えると歌いたい気分になる、という意のコトワザ

 

 

「最近、日本人はあまりコトワザを使わなくなりましたね。皆さんは何故だと思いますか?」と小学校教諭の干柿。「花見君。なぜ?」

「時代遅れだからです。今の時代にマッチしないのが多いからです」

「ほお?。例に出して言ってみて下さい。皆に分かるように」

「ええッとお。………。例えば、“ 果報は寝て待て ” 。待てる余裕がないとは言わないけど、待ってるよかググるかして自力で何とかする方が手っ取り早いです。号外より早く情報取ってたって、こないだジーチャン言ってました。“  急がば回れ ” も同じ様なもんです。回ってたら列の一番最後になってると思います。皆、情報ゲットがメチャクチャに早いと思います。」

「なるほど。大変良い意見でした。他のヒトはどう思いますか?。宵待(よいまち)さん。何か思いつきましたか?」

「はい。思いつきました。…、“ 千里の道も一歩から ” は分かるけどインターネットがあるので、いきなり1000歩到達があると思います。千里の道を逆戻り、ならかろうじてOKとは思います。“ 石の上にも3年 ” は意味不明です。同じ石に3年も乗ってたら浦島太郎になってしまいます。ワタシなんか1週間くらいで他の良さそうな石に飛び移ると思います」

「ううむむ…。宵待さんみたいに、すぐ他の石に飛び移るというヒトは居ますか?。同じだと思うヒト、手を上げてみて下さい」

25人、1人を除き生徒全員が挙手。 “劣化するコトワザ / 古きを捨て新しきを使う” の続きを読む