幸福認証 /人に触れ変わる人

 

その路をどこまでも 真っすぐに歩いてゆけば 答が分かる

幸福認証にそう言われ 他に代案もなかったから 歩き始めた

誰の姿もない 行き交わないのは好都合 挨拶の緊張がない

左右に 高い高い灰色の壁 見上げれば空も曇天

壁と空の境界が 分からない でも大丈夫

空を見上げるのは 1日に 1度きりだから

 

この路は裏路地のようで 袋小路のようで 引き返したくなる

幸福認証に言われたので 引き返さないだけ

歩き始めて小一時間 自分の着衣の色柄が 薄くなって 色抜け

そんな気がしたけど 大丈夫 そんなはずは ないから

 

進む 進む 進む 歩く 歩く 歩く 音楽聴きながらが 良かった

バッグがないから 仕方ないけど

おや どうしてバッグがないのだろう いつもの肩掛けは

 

歩き疲れ始めた頃 良かった ここで行き止まり

うすうす袋小路の気がしていたよ とにかく飽きてしまった

答がないと確認出来たから 無駄とは言えず とりあえず納得

そうと分かれば 引き返そう 長居は無用 さっさとね

戻る 戻る 戻る 帰る 帰る 帰る

いくら速度を速めても ペースダウン ペースダウン 疲れてるから?

もどかしいな 思うようにならないのは いつものことだけど

 

始発点が見えてきた ああ 幸福認証が現れた 近づいて来る 来る 来る

ごくろうさま

ご苦労様 どうだった? 随分といいようだね すっきりしないでしょう?

答えようと 返事をしようと思ったけど 急にシラけて言うのをやめた

なかなか いいぞ 答えるのを踏みとどまるだなんて 確かに随分といい

 

今度はこちらの番だ 思うところへ行ける 選んで行ける

幸福認証は別れ際

認証されました と言った

何が? 何を?

まさか幸福? 行きどまっただけなのに? もしやして儀式だった?

おまじない? さっきの 進む がダウンロード? だったらいいな

 

 

夕暮れ 誰ひとり居ない 車も自転車もない おや いま気がついた

音がしないよ 音がない 色もないよ どうした?

すごくついてる 人が来た 人が来た どうしてなのか聞いてみよ

あの、

「行きどまった へ行ったでしょ」

え 行きました 今も戻ってきたばかり どうして分かりました?

「だって うつむきっぱなしで 歩いてるじゃないか アンタ」

言っちゃったよオイ 何だ失礼なやつ 話がまるで見えないよ

誰かまた来る 男か女か不思議と分からない だけど聞かなくちゃ

あのう、

「行き止まりは アナタでしょ」

あ 袋小路でした 確かに どうして分かりました?

「だって誰とも目を合わせないで 進んでるじゃないの アナタ」

 

いなくなっちゃったよエエエ? 何てやつだ おかしくないか

目を合わせないのはエチケット 暗黙の了解なんだ  知らないのか

 

向こうからまた来る 今度は顔上げて 目を見て 聞いてやる

3度目の正直だ 同じ手に乗って たまるか

 

あの、

「幸福認証されたんでしょう(笑)。ボクもこないだ、されたんですよ」

「え。どういうことですか」

「え?。…だってキミ、目を見て、顔上げて、ボクと話してるじゃないですか」

 

 

◆写真タイトル / 歌を聴いている

 

 

 

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鉄腕アトムに見る子供教育 / 地上最強のロボット

 

この記事は専門的な子供教育の話ではありません。

記事のテーマは子供の愛教育です。

愛教育?、それならウチはたっぷり愛情注いで育ててるから大丈夫。それは涙ぐむ程ステキなママ。ステキなパパ。だけどそれは親が子を愛し慈しむ(いつくしむ)本能愛教育。母性本能教育。父性本能教育。それが子育てに最も重要で重大なものなのは周知の事実。

ここで言う愛教育とは、お母さんとお父さんが我が子に与えた(る)愛情を、その子の全身に注入した純度の高い愛情を、どうすれば子供の体内でより一層増殖させ、全神経の末端にまで行き渡らせることが出来るのか、の教育のことです。教育と聞くと、凄く仰々しくって大層なものに聞こえてしますが、全然そんなもんじゃ~ありません。

漬物ヌカ床の維持管理って大変じゃないでしょ?。毎日ヌカ床サンにちょっとした手助けをしてあげるだけ。チョチョイとかき混ぜる、チョコッとヌカを足してみる、とかね。でも、そのチョコチョコがヌカ床の存続を左右してしまいますよね。ヌカ床のお大根、キュウリはヌカ床の子供です。そしてヌカ床はアナタの子供。しょっぱい子供で完成するのか、サッパリ味で完成するのか、それは食べ手にとってはイの一番に重大なこと。食べ手は社会、アナタの子供が愛する異性。

子供を漬物と一緒にするな~?。例えと同一は全然違います。

さて本題。今回は愛教育のほんのほんのヒントだけを紹介します。ヒントだけで十分です。ヒッジョ-ッに上から目線に聞こえてますか?。誰かが誰かに真剣に何かを伝えようとする時、それを上から目線と呼ぶのは、それを聞きたくない、が本当の理由。相手は立っているのにアナタだけが座っているから上から目線になってしまっているだけのこと。相手とマジメに話したいなら、アナタはきっと立ち上がるはず。立ち上がれば

ほら、もう上から目線はなくなった。同一の水平線目線。気持ちいぃ~。

日本が生んだ最大の漫画家手塚治虫氏作品、御存じ “ 鉄腕アトム ” のエピソードの中に “ 地上最大のロボット ” があります。近年、浦沢直樹氏がリメイクし絶賛の嵐を呼びましたが大人向けにクリエイトしたものですので、子供が理解しやすい手塚作品の方がストレート。見た事のないママ、パパはユーチューブで是非見て下さいね。

自身の偉大さを全世界に知らしめるべく世界最強のロボットを完成させた大富豪(元某国国王)。彼の目的は、いずれ劣らぬ世界最強と名高き7台のロボットの破壊。自身所有の殺人ロボットであるプルートウが圧倒的勝利を収めればそれは証明される。

ボクが最も注目するのはエプシロンという女性ロボット。彼女は孤児達の世話をしながら暮らしている。殺戮マシーンではなく心優しきロボットのエプシロンを何故、大富豪は最強のロボットと見なしたのか、ということなのです。

結局、彼女はプルートウに破壊され海底に沈んでゆきます。戦いはアッケないものでした。権力の権化でもなければ強さを誇示するわけでもない一台のロボットの死。残された子供達は?。最強でない真逆な者など語るなかれ。

何故、エプシロンは狙われたの?。どうしてエプシロンは強いって勘違いされちゃったの?。

自らの疑問に子供が答えられるようになった時、それが愛教育のひとつの成果。何度も何度も読み聞かせする本の中に、ぜひぜひ “ 地上最強のロボット ” を。

 

◆写真タイトル / 私は世界

 

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本質なんかよりイメージの方が好きッ!

日本語でネズミ、英語でマウス。ネズミって呼び名、あんまり耳障りがいいとはいえないよねぇ~。カジる、カジられるを連想しちゃって、あんまり気持ちがいい感じはしないよねぇ~。それが証拠に日本じゃ親しみやすいネズミのキャラなんて昔っからないもんねぇ~。それどころか、ドブネズミなんて侮蔑の言葉にもなってるし、実験用のハツカネズミの功績たるや凄いけど、それでもやっぱり日本じゃペットとしての人気はかなり低いってもんだよねぇ~。

アメリカが世界に誇る2大マウスの大スターといえば、ディズニーのミッキーマウス(関連マウスを含む)とワーナー・ブロスのジエリー(関連マウスを含む)。

面白い点は、ネズミ嫌いのここ日本でさえもミッキーマウスとジェリーの人気が不動であること。本当はここにイタリア生まれのトッポ・ジージョが名前を連ねるべきなんだけど、残念ながら知名度がかなり低いんだよねぇ~。アニメーションだとか映画だとかの媒体に乗せなかったのが敗因なんだろうねぇ~。すっとぼけててボクは大好きなんだけどねぇ~。シャイでモジモジしてるとこもなかなかでしょ。

日本で両者が大人気なのは、ブッチャケ、皆さんミッキーやジェリーをネズミだと思ってないんだよねぇ~。思ってるけど思ってない。まさに本質忘れイメージに生きる、の典型。それを可能にしたのがディズニーやワーナーの魔法。もはやマジックだと断言しちゃっていいでしょ、ここまで来るとねぇ~。

そこまでとはいかないけど、テディベアにもコレ、ある程度当てはまる。熊だって可愛い顔してるけど、恐ろしい生き物だったりするわけだしねぇ~、犬や猫とは明らかに違う獣。だけどやっぱり、テディベアは子供と大の仲良し、お友達。

現代はイメージが本質を打ち負かす時代。これまでもそうだったけど、今に比べたら可愛いもの。なにせ昔は全世界に噂話が駆け巡る、なんてツテがなかったもんねぇ~。それこそマウスが無かったでしょ。

本質は見えにくくて、イメージは見えやすい。本質は掴みにくくて、イメージは掴みやすい。本質はゴチャゴチャしてて、イメージはサクッと単純明快。本質は人々をケムに巻くことが出来るけど、イメージはもともと人に見える様に人が作るものだから、一旦ダーティーなレッテル張られちゃったらハイそれまでよ。逆にクリーンなイメージがインデックスされたなら世界だって席巻出来ちゃうトルネード!。この違いって驚愕もので脅威もの。

テクニカル的にはイメージ先行商法が大変賢く効果絶大。当たればナイスな高感度イメージが増幅を重ねて1人歩きの大成功。

イメージより本質で勝負出来るのは実用性が求められる物。便利で実用的でなければお話にならないもの。例えば車。イメージより本質。アメリカの大西部真っただ中、ロシアの大雪原の真っただ中、車がエンストしちゃったらアウト。命の危険すらあるからねぇ~。イメージなんて言ってらんない。

イメージと人間。これが一番やっかいで恐ろしい。ひとたび人間に付いたイメージを払拭するのは至難の業。ブラッド・ピットやジョニー・デップは善玉悪玉何でもござれの名優だけど、子供を残忍に殺す役、出来ると思います?。絶対ムリムリ、だって世間が絶対それを許さない。例え、役者として迫真の演技に挑戦したいから、と本人が崇高な理由を掲げたとしてもダメ。まず映画会社がOKしない。だって興行成績低迷は火を見るより明らかだから。良きパパ、家庭を大事にするキャラクターイメージの権化シュワルツネッガー、カリフォルニア知事選にこのイメージが関係しなかったとは到底思えないし、彼が知事退職後、映画復帰第1作目が麻薬のディーラーだなんて絶対世間が許さない。

映画 “ プリティー・ウーマン ” (1990年、ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ)は何故当たったか。答えは明々白々。リアルな娼婦イメージを持つ女優を使わず、真逆のジュリア・ロバーツをヒロインに起用したから。だってジュリア・ロバーツといえばインテリ、かしこく健全、ホワイトカラーのイメージ有り有り。観客は誰もモト娼婦などとは思っておらず、彼女を現代版シンデレラに重ね合わせているのみ。イメージを逆手にとったワザありの1本、凄いッ。

 

 

◆写真タイトル / トッポジージョ

 

 

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癒される間接照明 / 私の心を育む魔法の灯 / 色彩の持つ意味

 

 

 

間接灯がもたらす多大なる人生の恩恵を、

もっともっとボク達は享受してもいいのではないだろうか。

温かくて柔らかみのあるマーマレード色の癒しを、今よりずっとずっとボク達は身近に引き寄せてもいいのではないだろうか。

日本人は刀を捨て銃も遠ざけてきた。

それらと対局にある心の灯(ともしび)を、きっときっとボク達は取り戻し引き寄せるべきではないだろうか。

時として大人のボクらも度を失うことがある。

傷ついて打ちのめされてしまえば、

ボクらはもう成すすべなく泣きじゃくる子供と同じ。

やさしく幼心(おさなごころ)に寄り添う小さな灯の女神は、

心の死角に隠れて震えている傷跡に光をかざしたりはしない。

ただ心と瞳にささやきかけるだけ。魔法の呪文の息遣いで、

私ヲ 見ツメテ 下サイ

絵描きは老けない、という言葉がある。

多くの色彩に包まれて暮らす画家の肌を若々しく保たせているのは色彩。

色とりどりの色彩が人間の組織を活性化させる事実は海外でよく知られている。

色彩の中でも特に人の心を癒す色というものが在る。それはブルー。淡いブルー。

「緑かと思ったぜぇ…。ハズレかよぉぉぉ…」という人、たくさん居るかも。

確かに樹木の緑は人々を和ませる。癒す。

しかし、同時に不安を与える要素も兼ね備えている。

ハリウッド映画の宇宙人系は緑色が多い。超人ハルクも。ジム・キャリー主演のマスク、なんてのもそう。

たまたまではなく、色彩心理学では緑を未知なる謎、不可解なものへの憧れ、極端に飛躍した個性の意思表示、

と位置づけている。

奇抜なアイデアや考えにとらわれているいる時、

緑に惹かれる。

クリスマス・プレゼントの定番包装紙といえば、赤プラス緑。

これは人に胸騒ぎを起こさせる効果を持つ組合せと言われている。

そうなのかあ~、胸騒ぎなんてクリスマスにピッタリじゃないですかあ!。

胸騒ぎって、いいこともあるし悪いことも。その不安パーツを受け持っているのが緑ってわけ。

 

赤は競争や闘争。嫉妬ムラムラ、

ワインレッドまでトーンが落ちれば嫉妬度数は最高潮。

闘牛士のムレータ(手に持つ赤布)見れば分かるよね。つまり癒しの要素はかなり低い。

 

黄色、特にレモンイエローではなくて真っ黄色。

これは突拍子もない気分の時に大ウケの色。

羽目外しまくり、ドンチャン騒ぎ、こんな時に黄色を見ちゃうと拍車かかりまくりのフルスロットル!。

 

茶色は思慮深い落ち着いた色。

先生がコレ来てると生徒は安心、落ち着きやすいと言われる。

人はじっくり考えたい時、アイデアを模索する時、この色に惹きつけられる。

 

紫は精神状態を操る(あやつる)クセ物。

位の高いお坊様の紫ケサは崇高な気高さを意味するし、

赤の目立ちたがり屋さんと青の夢見がち屋さんが混ざって出来た色だけに、

心の複雑な葛藤を内包している。

 

青は夢見る夢子さん。さわやか、清純、不完全、希望。

だから青空見上げりゃ心も晴れる。明日を感じる。

青春も青い春。つまりはそんな意味。

青が淡ければ淡い程、その意味合いは強くなり、濃くなればなる程、それは遠のく。

だって黒に近づいていくから。

暗い群青色は油絵具ではインジゴと言って、とっても繊細で邪悪な色。

この絵具を使いこなせる中世の画家は、さほど多くはなかったという。

 

黒。現在、世界中の都会人に好まれている色。

特に衣服で多用。全てを隠す、開示しない、暗黒の意味。

 

白。まっさらで白紙。

偏見なしかと思いきや、不純なものを許せない気分に。

厳格さを重んじる気分の時に強く惹かれる。

正義の忍者ガッチャマン見れば分かるよね。

聖歌隊の子供達の服だとか、

ルールが全てのスポーツマンのイメージ。

 

灰色。子供が最も関心を失う色と言われている。

何となく分かる気がしちゃう。遊び気分を除外する色だからこそ、

サラリーマンの背広だとか作業服に多用される。

マジメなイメージはあるけど人をションボリさせる面もあるよね。

 

これらの色彩心理学データをもとに、少しずつ間接灯のコレクションをしてみては如何だろうか。

「茶色の部屋灯?。見た事ないぞ!」

確かに。

パラフインでもセルロイドでも、布でも紙でも、

色々な色を白色灯に巻いたり、覆ったり、

色々工夫すれば宜しいのでは。(ソレらが熱い電球に直接触れないようご注意)。部屋がムーディーになるだけではなく、気持ちが落ち着く、癒されるだけではなく、本当の目的は自分の心を豊かに育む(はぐくむ)こと。

豊かに?。具体的に!。

人の気持ち、思惑、が前よりも鮮明に見えてくる程に

心が成長を始めるということ。

相手のことだけではなくって、ア、あの時、私ってこういう気持ちだったから◇◇だったのか、

なんて自分の心の姿勢まで見えてくるようになる。

 

花には水を。緑には太陽を。これに加えて人には愛を。

愛には間接灯を。

 

◆写真タイトル / おめかし (写真下は薄生地スカーフをかぶせる前のスタンド)。カモノナカ自宅にて。2点共。

 

 

 

チャールズ・チャップリン / 微笑と笑顔の違い

幸福を勝ち取ることに、全身全霊で生涯挑戦し続けた “不屈王 ” チャールズ・チャップリン。ボクには “ 喜劇王 ”というイメージは皆無。

人間と見なされず、扱われず、家畜の様に鞭打たれたアメリカ黒人奴隷制度時代のアフリカ人達が生み出したゴスペルが、神に捧げる “ 陽気な歌 ” だというのであればチャップリンも喜劇王になってしまう。

人生の苦しみや悲しみ、絶望、つらいからこそ微笑む。“ 微笑 ” (ほほえみ)という手段で、武器で、自分を飲み込もうとする破滅と絶望に立ち向かう。

微笑は喜びという意味ではない。喜びは自然とにじみ出てくる笑顔のことだ。

微笑は、自分を打ち負かそうとする人生の苦難に立ち向かうための旗印。

微笑はスマイル仮面症候群とは全く立場を異にする。気に入られたい一心で作り笑顔を続けるあまり、やがて本人の顔が作り笑いの顔立ちになってしまった、というものとは全然違う。

微笑は自分を愛おしくいたわり、自分の失われゆく自信やプライド、尊厳を私の名誉に賭けて取り戻そうとする、人間のあるべき姿なのだ。

チャップリン作曲のスタンダード名作 ♪ スマイル ♪ (ジョン・ターナー、ジェフリー・パーソンズ作詞) 歌詞中にこんな一節がある。

 

心が痛んでいるのなら 微笑を

心が砕けてしまっても 微笑を

心が沈んでいても( 直訳:雲が空にある時でも )

何とか やり過ごせるよ

 

恐怖と悲嘆にくれても

アナタが微笑むのなら その微笑みが明日になるかもしれないよ

輝く太陽が アナタに降り注ぐのが 分かるはず

 

この普及の名作は、1936年、チャップリンの映画 “ モダン・タイムズ ” にインストゥールメンタルとして挿入され1954年に歌詞が付け加えられた。あまりに多くの著名な歌手達(ジュディ・ガーランド、バーブラ・ストライザンド、トニー・ベネット、ダイアナ・ロス、ロッド・スチュワート、マイケル・ジャクソン等) によって歌い継がれ、その価値は全く色褪せることなく今日に至っているが、ボクが最も注目したのはスティービー・ワンダーがスマイルを歌ったということ。

御存じの通り、彼はこの世に生を受けるとほぼ同時に盲目(未熟児網膜症)となった。楽曲スマイルの歌詞には空に在る雲、輝く太陽、といった視覚描写が有る。

彼がボク達に教えてくれるのは、物理的に見えることしか信じないのなら、人生の苦難に微笑をもって立ち向かえない、ということではないだろうか。彼の心の心象風景には、悩みや苦悩の暗雲の日、きらめく陽光が降り注ぐ日、ありとあらゆる心模様が在る。

子供が “ その人の単なる空想でしょ? ” と本気で言うのであれば、じっくりと根気よく、時間をかけて子供と対話しなければならない。

「あの人、涙流してるのに何で笑ってるの?」

微笑と笑いの違い。生涯を賭けてでも分かって欲しい、切なる願い。

 

 

◆写真タイトル / どれを選ぼう

 

 

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Close to you / カーペンターズ / あなたのそばに居たい

Title : 来た?

 

 

Why do birds suddenly appear

Every time you are near ?

just like me  they long to be

Close to you

 

◇ Close to you〈song by , Carpenters〉

 

 

どうして突然 鳥達が現れた?

いつも君が近づいて来ると そうだよね?

ボクと同じだ

君について行きたいんだ

傍に 居たいんだよ

 

 

★ 煮崩れた雑煮の餅は

他の具材を体内に吸収したかのようだ。

傍に居る、のを通り越し

相手の存在を全否定し

独占する。

ストーカーは愛を侮蔑する。

 

I’m Yours / Jason Mraz / 私はあなたのもの

Title : Confined to Time〈腕時計に閉じ込められて〉

 

 

But I won’t hesitate no more

no more

it cannot wait,  I’m yours

 

 

もうこれ以上 ためらってらんねぇ

もうダメだっての

待ちは止め、

オレは オマエのモンだ

 

 

★ もう待てない!。私はあなたのもの!。

 

女性が乗り込む、押しかけ女房、という言葉は有名。

男の場合、本人がどんなに

 

「オレはお前のものだ!好きにしてくれ!」

 

と叫んでみたところで、それは誰の耳にも

 

「お前は俺のものだ!好きにさせてもらうぜ!」

 

としか聞こえないのは何故だろう。

この犬を探しています

Title : 行方

 

 

独り暮らしのその中年女性は、唯一の女友達にさえも疎遠にされてしまったことをきっかけに、流石に反省したのだろう、歪んだ底意地の悪さを治そうと白い子犬を飼った。やさしさといたわりは三日坊主、キュンキュン鳴いて部屋中を走り回る子犬を小憎らしい、いまいましいと、いつものように思うようになった。そして邪険にし始めた。

晴れた日に布団をベランダに干す時、彼女は無意識に鼻歌を歌う。歌い始めると子犬のイソーロー(つけられた名前)が決まってキャンキャンはしゃぎ始める。イソーローは一緒に歌っていたのだ。

「うるさい!、いやがらせのつもりかッ?」

 

ある日、イソーローは気づいた。あの歌が好き。ボクのことは嫌い。

 

 

冷たい雨が降っている。町のあちこちに行方不明の子犬を探しているという地味でみすぼらしいポスターが貼られている。

 

二度と会えるはずなど、ないのに。

幸福の洗礼 / 横浜元町散歩のススメ / ワンちゃんのオシッコシャワー

 

 

 

大学生のボクは、オシャレで小粋なファッションタウンを

ゆっくり歩いている。快晴、時折そよ風。出がけの天気予報は

本日最高気温18℃、人が最も快適だと感じる気温だと報じていた。

誠にそのようで、ソフトクリームを舐め舐め歩くボクの心も、

躍動したくてたまらないゴムマリさながら。しかし

此処はホットでクールなガイズが行き交う、

ピープルウォッチが楽しい小路。

大人のボクはやや伏目がちに構えて歩かなければ。

1人歩きのハシャギ小僧と思われてどうする。

 

はたと気づく。大人バージョンで歩くなら、この手持ちソフトは邪魔。

目の前の曲がり角で裏道に入る。裏道もオシャレ。

道行くガイズの数も表と変わらない。見れば

すぐ先に街路樹が目隠しするちょっとした広場がある。

あそこでサッサとコイツを舐めきってしまおう!。

と早速、木陰でガツガツ。

すると、ボクの背後で熱い期待に胸躍らせる犬の誘い鳴きが、

「クォォワッ!、ハヒハヒーッ!!」

激しい興奮を物語るカリカリッ!カキキ!という

コンクリ道路に当たる犬の爪音!。振り返ると

ソーセージを圧縮したような体型の

薄茶色フレンチブルドッグの若造!。

 

「ピンクの首輪からして、お嬢様か!」

 

ボクの呼びかけに彼女は激しく反応!

柱に繋がれたリードをピイーンと張ってボクに抱きつこうと

前傾直立。左右の前足はもどかしく空を切り続ける。

ハッ!。この腕の動きは見たことがある。

海の家のオバサンが、かき氷機のレバーを片手で掴み、

激しい勢いで腕を車輪の様に回転させていた、アレだ!。

そう思った時、間髪入れずボクの背後から女性の声。

 

「撫でてあげて!、撫でてあげて!、早くッ!」

 

振り向けば、セレブチックなヤンママ風、

チブル ( フレンチブルドッグ ) の飼い主に間違いなし。

ボクに抱きつきたいチブルの失望

を見たくないのだな、分かりましたと歩み寄るボク。

言われたからではない。ボクも撫でてみたかった。

 

ソーセージの前にしゃがみこんだ瞬間、

寸詰まりガールはボクに体当たり!。

こぶりな体格とは塑像もつかないほどズッシリ重い手応え。

 

「あっはっはっは、元気だねえ」

と微笑むボクにソーセージは弾丸の様に再度激突!。

 

「ハアヒヒ!キャワワワーッ!」

 

と嬉しさ通り越し半狂乱。グリングリンの真っ黒に光り輝くビー玉

のようなつぶらな目、頭を撫でようとするボクの両手をすり抜ける程の

激しい回転を見せるチブル。一瞬、満足そうに笑みを浮かべ、

通りに戻る飼い主の姿が見えた。その刹那、

 

シュウウウウーッ

 

ボクのジーンズめがけ、シャワーのようにまき散らされるチブルの湯!。

熱い液体がみるみるジーンズに染み広がるのを感じる。

 

「どうしてなのぉ~?。こらこら、女の子がはしたな…」

 

軽く制そうとしても、彼女は激しく昂ぶり、

駒のように鋭く回転しながら湯の放出を続ける。

可哀そうに、ずいぶん長くつながれていたからだね?。

そうそう、そうなのよ!と彼女はボクのジーンズに

偏りなく、まんべんなくシャワーを放出し終えると、

グリグリとオデコをボクのみぞおちに押し付け、

満ち足りた甘え声をあげてみせた。

 

「キミは……湯を引っ掛けた箇所だけを

上手に避けて密着してくるね。冷静だね」

 

躍動したくてたまらなかったのは

ゴムマリではなく、ソーセージだったか!。

 

●写真タイトル / 夢は湧き上がる

 

 

青い稲妻

 

海を見下ろす広くて気持ちのいい海浜公園が在る。海風さえ優しければ、冬声にカモメが応えても人足が耐えることはない。それがこの7月ともなれば…。ボクも其処で過ごすのが好きだ。人気の公園なら尚更、誰もが強く好む場所というものが在る。波にさらわれた磯蟹が、砂地を目指さず岩場にツメを立てるように、人々は刈り込まれた夏草の中、樹木影差すベンチに腰を下ろす。その傍らを通り過ぎ、ボクはゆっくり真っすぐ歩行する。行き交う人は誰1人うつむいていない。海風をブレンドした陽光がそれを許さないからだ。

公園奥のドッグ・ランが近づくにつれ、みるみる人の行き来が少なくなると、園内の空気をチェンジするかの様に犬たちの喧騒が聞こえ始める。5メートルほど先にあるドッグ・ランのフェンス越し、マリンブルーの服を着た小型犬が疾走するさまが見えた。「早いッ。早すぎるッ」。ボクの足取りがたちまち加速。着く前に疾走を止めて欲しくないッ。

太った楕円形、ランのスペースはコンビニ4店舗を足したくらい。大中小、様々な種類のワンちゃん達がざっと20匹ほど、思い思いに戯れているのは毎度見る風景。飼い主達の大部分は強い日差しを避け、日陰のベンチ周辺に集まっている。疾走続ける若きプードルのスピードは全く衰える様子を見せない。楕円形グランドの縁をサラブレッドのようにタテガミ振って、いや、両耳羽ばたかせて突き抜けてゆく。

何という速さだろう!、まるで本物のレースを見ているかのようだ!。遊んでいるなどというナマやさしい走りではない。走る度たび、身にまとった青いTシャツが顔半分を隠すようにめくれ上がっては落ち、再びめくれあがるを繰り返す。左コーナーを回って直線コースに入った。ボクの眼前を新幹線する時、青いTシャツの背中に大きなピンクのリボン柄が見て取れた。メス(以下、このお嬢様をブルーと呼ぶ)だとは一層の驚き!。ボクはてっきり……。

それにしても妙だ。これほどの素晴らしい走りを見せて回転し続けているというのに、誰1人としてブルーに注目していないとは!。全く信じられない!。犬たちも又、そうだ。のんびりジャレ合ったり、ちょっと走ってみてはすぐに飼い主のところへ戻ってゆく。疾走続けるブルーの速度は以前として衰えを知らない。まるで青い稲妻。

ボクは1周回るたびカウントを取り始めた。その前に3週回るのを目撃していたから、それも加えた。7、8、9、10、11、12。突如ブルーがゴール?!。日陰ベンチで立ち話をしている飼い主同士の1人、その背後にピタリと座して長身の中年男性を見上げる。おそらく彼が飼い主とみて間違いない。ブルーは彼を見上げ続けていたが飼い主は全く気付かぬ様子。とその時、突如ブルーが疾走を再開!。先程と全く変わらないスピード!。この燃え盛るエネルギーは一体どこから来るのだろう!。全身にみなぎりスパークするパワー!、モジャラモジャラの体毛の下には、凄まじく高度に鍛え上げられた肉体が潜んでいるに違いない!!。13、14、15……。

ブルー2度目のゴール。見えないテープを切った稲妻ランナー、へたり込む素振りさえ一切見せず、先程と同じ様に主人の背後にピタリとお座り。しばし主人の顔を微動だにせず見上げ続けているのだが、飼い主はやっぱり気付かない。話し相手達も誰1人指摘しない。やがてボクの視線に気づいたブルー、目を細めてボクを見やる。

“ 偉いぞブルー!! 、こんな素晴らしい走りを見せてくれてアリガトーッ!!。”

ブルーの眼が答える。“ でもやっぱり、この人に誉めて欲しいの ” 。

 

◆写真タイトル / 何待つキミ