Title : チョビットちゃん
Title : パチンコ丸シロー
秋の味覚猫種としてミケ猫の次に人気の晩夏猫種で、今9月イッピ付で満1歳となったチョビット(オス)が、却都町(きゃっとまち)に越してきたのが9月3日。
チョビの飼い主の虫原佳代子さんは、先月から在宅勤務となり、いとこの飛虫原(とびむしばら)勝美の勧めで転居してきたのだった。
飛虫原さんには、縁戚の走虫原(そうむしばら)鉄春さんが飼う仰天乃助(ぎょうてんのすけ、キジ猫7才、オス)と、
同じく遠赤外線関係にある落虫原(おちむしばら)幸三が飼うところの献血乃嬢(けんけつのじょう、白猫3才、メス)との間に出来た子供を、
縁戚関係にないが偶然にも苗字に類似点のある腹虫(はらむし)光代さんの勧めでもらいうけた、という経緯がある。
何故、光代さんが勝美に子猫を飼うことを勧めたのかというと、
当時(三か月前)勝美は勤務するコンビニ、セブンカナブンで店長補佐見習いに抜擢されており、
その重責に耐え切れずストレス過多で深刻な過多凝りとなり、毎夜マッサージ店に入り浸るようになった。
それを見るに見ていた光代さんが、どうせお金を落とすなら猫でも飼って猫缶に落としなよ、と落としどころをチラつかせたところ、勝美は本気にし、現在のバットマン竹内飼育に至ったというわけだった。
チョビはバットマン竹内に付き添われ、今月初のネコ集会に参加した。
ネコの集会とは、同じ町内に住むネコ達が情報交換を目的として集まるもので、情報交換の内容が人間達に漏れないよう脳内テレパシー交信という形で行われる。
各々1メートル間隔で集会場所である空き地隅に座し、情報を受け取りたい相手に向かって一瞬だけ目線を投げかけると、閉じ目の相手が情報を送信してくれる、という段取り。
この日は9尾の猫が出席、チョビが最年少、バットマン竹内以外は皆立派な大人ばかりだった。
チョビはおそるおそる一番遠くのメスネコに視線を投げかけた。すると、
“ この町は猫には暮らしやすいわよ。犬が少ないし路地が多いしね ”
ふぅぅん、そうなんだ~。と初交信成功に嬉しさを隠し切れないチョビ。今度は少し離れたフェンス手前でアクビをしたネコに目線を。
“ 子猫なんだから同じ子猫と遊ばんとな。子猫がよく遊んでるのは~この空き地裏のネギ畑の奥だよ。今度行っておいで ”
行く行く、行っちゃう!。チョビはテンション上がりまくり、今度はフェンス上で背を向けているオスネコに視線を勢いよく投げかける。
“何だキサマ、今ウツラウツラしかけたのに交信なんかしてきやがって、この、どうしようもなく厚かましいキャベツ抜きのお好み焼き野郎がッ。風と共に去りぬが何でテリーヌなんだよ、アア?、ッたく開いた口がふさがれたらどうなんるのかって話だよ、聞いてんのか、お前だよ、オーマーエ~、もしもーし!”