Title : 特に、別人としか思えない証明写真の自分の顔。おすまししたり、キッと睨んでみたり、かすかに微笑んでみたり、何やっても全然ダメ。
自分の顔を見てみようとフト思いつき、ここ数年のミニアルバムを開く。
そういうのは、大抵ひとり、部屋でボンヤリしている時であることが多い。
次々にスナップ写真だとか記念写真だとかを流し見てゆく。
アレ?。思った以上に自分の顔が良くない。
顔立ちが。
気に入らない。
えッ?、でも。こんなだっけ?。
もしかして写真写りが悪いだけ?。
他の知人友人の顔を覗き込む。
みんなボクが普段見てるまんまの顔で写っている。
アレ?。何で自分の顔だけ悪く写ってるの?。と思う。
そうだ、割とイイ男じゃないの!と思った自分の写真があった、アレを見て見ようと思い!、慌ただしく数冊のアルバムをめくり続ける。
あった、あった、これだこれ。
しげしげと眺める。結構イイ男じゃないかと口元がゆるむ。
気を取り直し、再度さきほど目を通した自分の写真をチェックする。
アレ?。どれもこれもサッキと同様、全然イケてない…。
じゃあ、あのイケてる写真1枚だけが、たまたま良く撮れ過ぎてたってこと?。
それとも、他のが悪く撮れ過ぎてるってこと?。
どっち、どっち?。
鏡を覗き込む。
悪い写りの写真より更に良くない。明らかに。
顔色が悪い。いや、ここが暗すぎるだけのようだ。
立ち上がり窓際に行き、再び自分の顔を斜め角度から流し目。
全然良くない。
更に、小さな吹き出物を発見し、ひどく驚く。
翌日、数名の友人に時間差でミニアルバムを見せ、聞いてみる。
「あのさあ。ここに写ってるオレの顔、普段見てるオレの顔と同じかなー」
全員、ぶっきらぼうに同じだと答える。
全く同じか、ニュアンスとか雰囲気とか微妙に違ってないか良く見てくれ、とさりげなく食い下がる。
いつも見ている顔と、全く、完全に、僅かな狂いさえなく、完璧にオマエの顔だと全員に言われる。 “ナルシズムとは自虐ネタなのであろうか” の続きを読む