Title : プロテイン狙われるから自分がヌルヌルだとは絶対に言わないカッパの竜ちゃん
「オレは悩んでんだよ。もう何年位なるだろうかー、やだやだ」
虎抜(とらぬき。去年定年退職後、郷里の判子村に戻る)は庭の紫陽花眺めながら、角刈りごま塩頭をさわさわ撫でて独りごと。
「あら、そんなに長い事。水の臭いがするわねえ。何?。何よ」
「いやな…どうして魚の身体の表面は、ああもヌルヌルなのかと思ってサ。ウナギは特にヌルヌルしてるだろ」
「ドジョウもアナゴもですわねえ。潜ったり、隙間に無理矢理入り込むからでしょ~、傷つきやすいことしてるからぁ~」
「うん、オレもそう思ってんだ。だけどミミズはあんましヌルヌルしてねぇんだよなぁ。オレ、昨日そこんとこ掘っ繰り返してミミズ触ったから分かんだけどね。な?、そこんとこ掘っ繰り返した跡、分かんだろ。な?。その、落ち葉の、黄色みがかってるやつの右隣の」
「黄色みがかってるの3~4枚あるじゃないのぉ~。どれかしら」
「もういいよ。淡水でも海水でも蟹とか海老はヌルヌルいらねぇんだろ?、硬いカラに入ってっから。貝だとかサ」
「ヤドカリもそうよアナタ」思いつき笑いに顔が輝く求美(もとみ)。
「あれは貝じゃねぇだろ。貝には入ってるが。あれ?。ヤドカリはカニなのかエビなのか」
「やあねぇ(笑)。ヤドカニってちゃんと名前がついてるじゃないの」