ぼんやりと思うアレコレ

Title : 怪気炎比べ

 

 

ビートルズ解散後、呆然とした日々を過ごしていたリンゴ・スターの胸は再び突然の熱き炎に包まれることになる。グラムロックなるニューウェイブ引っ下げてTレックスが4人のカブトムシを失った失意のミュージックー・シーンに鳴り物入りで登場したからだ。

ビートルズ旋風が巻き起こり始めた当初のあの熱狂と興奮。あの時との違い、それはリンゴのいる場所。彼はステージでドラミングする代わりに、ヒステリックに絶叫する女性観客に揉まれながら最前列でステージを見上げ記録映画用カメラを回していたのだった。

名曲『テレグラム・サム』『ゲット・イット・オン』『メタル・グルー』。まるで疾風の如く駆け抜けていったTレックスのダミ声ボーカル、マーク・ボラン。

本物は本物を即座に見抜き即座に反応した。新しき幕開けに熱狂した。

 

マーク・ボラン、そしてジョン・レノンのあまりに早過ぎた死。

ジョン・レノン射殺の速報をブルースプリング・スティーンは自身のコンサート真っ最中、ステージ上で聴く。聴衆達にもすさまじい衝撃が走つた。

彼は「こんな夜に眠れるか !!」と絶叫し夜明けまでコンサートを続けた。

ジョンとジョージを失ったポールはグラミー賞のステージで『ヘイ・ジュード』を熱唱した。この楽曲の正確な作詞者と作曲者は未だにハッキリしない。

ジョンもポールも自分が作ったと譲らなかった。どちらが作詞しどちらが作曲したのか本人達さえ記憶が定かでないビートルズ・ナンバーは多い。

ジャムセッションしながら自然に曲が完成してゆくスタイルが多かった彼らには著作権や所有権のことなど微塵も頭になかったからだ。

有名になりたいから、と言ってクリエイターを目指し一流になった人を知らない。大多数を愚弄する人に才能などありはしない。