物語の終わり / その時あなたは

Title : 「ア、オレ?。うーん。月へ行く前日おいなりさん5つ食べたかなー。地球離れる、なに?、儀式みたいな?」

 

 

「これ食べ終わってからでい~い?」「これ見終わったらネー」

私達は日々の暮らしの中、常に無意識にケジメをつけようとする。行動のリズム、とも言えるし、やっていたことを終わらせるための納得感とも言える。

ひとつの恋が終わる。ひとつの愛が終わる。次のステージに行きたくない、行ける自信がない、なのに留まることを誰も許してくれない。

 

その時

 

ささやかで悲しい、精一杯の自身への納得。区切り。

 

次のステージへ進むための、儀式?

 

 

れの朝 ふたりは 冷めた紅茶飲みほし

さようならの くちづけ

笑いながら 交わした

〈ペドロ&カプリシャス / 別れの朝〉

 

 

雨がやんだら お別れなのね

二人の思い出 水に流して

 

雨がやんだら 出て行くあなた

冷たい靴音 耳に残して

〈朝丘雪路 / 雨がやんだら〉

 

 

 

踊れば 都会は束の間

優しく 包んでくれる

乱れた呼吸を 整えたら

さよなら する時ね

〈麻倉未稀 / 黄昏ダンシング〉

 

 

いつものように さりげなく

あなたの呼びかけ あなたの喝采

あなたのやさしさ あなたの全てを

きっと私 忘れません

後ろ姿 見ないでゆきます

〈山口百恵 / さよならの向こう側〉

 

 

遠ざかる影が 人混みに消えた

もう届かない 送る言葉

〈海援隊 / 送る言葉〉

 

 

後ろ姿を見ないで行く、最後の最後まで見届ける。人は自分なりのピリオドの打ち方で物語を終えようとする。

後ろ姿は見ない。去って行ったという事実を認めない。何故って、まだ終わってはいないと信じたいから。サヨナラの向こう側の再会を夢見ていたいから。