日本の食文化 / 呼び名の嘘 / ネーミングの謎

Title : 焼肉よりカレーだべ!

 

 

「焼肉行こうよ、焼肉」と孫娘の夢香(どりか)。

「焼肉の種類は?」

「種類?。牛肉に見えてんジャン」

「ウシ肉じゃなくて?」

「ハ?」

 

「どうして豚を見たらブタと呼ぶのに、牛を見たらウシと呼ぶのに、

どうして食べる時だけギューになってしまうのか、

ワシにはどーしても分からん。何故なんだねドリ。

夢平(むへい)に教えてくれんかね」

 

「だってウシ肉とか呼ぶとキモいよ。

ナマナマしーよーッ!。食欲無くなっちゃうよォー!。

生前の姿思い浮かべちゃうよォーッ!」

 

「ハア~ハ、なぁるほどぉぉ…。それでかぁ~。

ウマ肉と呼ばずに馬肉(ばにく)になってしまうんだねえ~?。

ナマナマしさを失くすか」

 

「そーだよお~。早く行こッ、早くッ。ねッ、ねッ」

 

「焼き鳥と書くのはどうしてなんだね。

…スーパーで鳥肉(とりにく)とは書いとらんじゃろ。

鶏肉と書いてあるのに、焼き鶏とならんのはどうしてなんだね」

 

「焼き鳥は、鶏(にわとり)とは限らないからジャン。

色んな鳥を焼くんだよきっと!。

早く焼肉行こーよー、オジーチャアァーン!」

 

「それはおかしい。オジイチャンは全然、賛成出来ない。

それはおかしい。……

焼ホルモンと言わないで焼き鳥にしてしまう

のもワシを苦しませる呼び方なんだよドリ。

焼き鳥と呼ぶようにしてしまい、

挙句に肩透かしして、ホルモン焼きと言う。

鳥焼きと言わずに焼き鳥、

それなら焼きホルモンなのかなと

メモ取ろうとすると、ホルモン焼き…」

 

「呼び方なんてどーだってイージャン!。なんでそんなこと言うんだよー!。

焼肉食べたくないのオジーチャン?。そーなんでしょ!」

 

「呼び方どーでもいいなら、ドリカと呼ばんでドロカでもいいのかい」

「アタシは食べ物じゃないからダメだよー、チャンと呼ばなきゃー」

「だけどだねドリ。牛も豚も

食べ物として生まれてきたわけじゃないんじゃなかろーかね」

 

「オジーチャン、もしかしてお寿司食べに行きたいの?」

「そう」

「じゃ、お寿司食べに行く?」

「行く行く」

 

 

Title : 炙り穴子寿司