ネコならエッセイ12 / パチンコ丸シロー / シローの受難

Title : メグちゃん

 

 

Title : パチンコ丸シロー

 

 

朝5時50分。二階角部屋、四畳半和室、

飼い猫パチンコ丸シローの枕元、

湯冷まし時計の起床ベルがジャァーッ

っと鳴り始めた。シローはビクリと目を覚ますが、

マブタはまだ閉じたまま。

アア?……今日は身体がオモダルか?…眠い…… ”

 

数分その状態でグズグズしていたが、意を決し、両目まぶたに力こぶ。

 

「起床ッ!」

 

シローは、自室の押し入れ上段、開け放たれたフスマから

周囲をうかがうように顔を出し、

砂金入りのダンボオル・トイレ以外には何もない部屋

であることを確認してから、

パピーのオサガリであるヒートテック長袖下着二枚重ね寝床

の上で安心して顔を洗い始めた。

 

まず、右手を招きネコ状態にし

右指わきを丁寧にナメ回し、

それで右目マブタまわりを拭 ( ふ ) く。

続いて左マブタ。これを27回セット。

 

ようやく終えて満足気、軽やかに畳に降り立ったシローの耳に、突然、

 

「アンッ!、アンッ!、アンア、アンッ!!」

 

と激しく興奮し昂 ( たかぶ ) った幼犬の鳴き声が廊下から飛び込んで来る。

次の瞬間、

オッホホホそうなのよぅ~(爆)

と見知らぬ女性の超うれし声が聞こえ、部屋出入り口のフスマ穴から、

転がるように白いボーリング球がシローめがけマッハで飛び込んで来た!。

仰天し眼をむくシローに激突したボーリング球の正体は

真っ白な洋犬、

彼は嬉しさのあまり半狂乱になりながら

高速回転するドピンク色の舌で

シローの顔をベッロンベッロンとナメ回し、

感極まって半白目となり横転、甘えるように

 

「キュゥゥイ~ン」と鳴いた。

 

悪魔降臨のような一瞬の出来事、

ボーゼンと幼犬を見下ろしているシローに対し、

 

「ああら、メグちゃんたらッ!雑種ネコを

キレイキレイにしてあげたのねぇ~、偉いわぁ~!」

 

と見知らぬ女が入室、

ハアハア!と転がったまま身もだえするペットを抱え上げ。

 

「ななななな、何だとキサマッ!、

どこの誰だか知らないが

ワカメとヒジキのハーフみたいな髪型しやがって、

バカ犬と何しに来やがったのだ?、この、この、

どうしようもない、救いがたい大マヌケの

フヌケ野郎がーッ!」

 

激怒するシローの右目はメグちゃんの唾液で半開き。迫力まるでなし。 “ネコならエッセイ12 / パチンコ丸シロー / シローの受難” の続きを読む