TUTAYAの想い出

Title : イモカリントウの風雲踊り

 

 

TUTAYAの閉店が全国規模で相次ぎ、遂に首都圏でもそれが始まったとニュースで報じられていた。ひとこと、時代の流れだよねぇ、ということだろう。

TUTAYAといえば思い出がある。今から10年以上前の話だが、何気なくTUTAYAをチラ見し店を出た途端に若い男子店員が「ちょっと!」と鋭い声でボクを呼び止めた。「?」

ブザーが鳴ったのでカバンの中を見せて下さいと言う。要するに、ビデオを盗んだ可能性がある、ということだった。アア、なるほどねハイハイとボクはカバンを開け中を覗かせ、手にした自分のVHSテープを彼の前にかざす。

「これのことかな?」

そのVHSテープは明らかに使用済み、背帯にはマジックで “ ある程度重要 ” とボクの走り書き。ボクはその日、中古VHS再生機を探しに出てきていた。

レア物VHS防犯対策でブザーが鳴った、で呼び止め中身を確認、は納得。理解する。問題は容疑が晴れた後の店員態度。

「納得しましたか?」の問いに憮然とした顔で無言、おっかしいなあという怪訝そうな顔で店に戻ってゆく。失礼しました、のひとこともない。キレることも出来るが同じ次元まで降臨して無駄な時間を費やしたくない。で、シラケェェェ~とクラゲの様に浮遊しつつフェイドアウトした。

無論、閉店とは何の関係もない話。