間接灯がもたらす多大なる人生の恩恵を、
もっともっとボク達は享受してもいいのではないだろうか。
温かくて柔らかみのあるマーマレード色の癒しを、今よりずっとずっとボク達は身近に引き寄せてもいいのではないだろうか。
日本人は刀を捨て銃も遠ざけてきた。
それらと対局にある心の灯(ともしび)を、きっときっとボク達は取り戻し引き寄せるべきではないだろうか。
時として大人のボクらも度を失うことがある。
傷ついて打ちのめされてしまえば、
ボクらはもう成すすべなく泣きじゃくる子供と同じ。
やさしく幼心(おさなごころ)に寄り添う小さな灯の女神は、
心の死角に隠れて震えている傷跡に光をかざしたりはしない。
ただ心と瞳にささやきかけるだけ。魔法の呪文の息遣いで、
私ヲ 見ツメテ 下サイ
絵描きは老けない、という言葉がある。
多くの色彩に包まれて暮らす画家の肌を若々しく保たせているのは色彩。
色とりどりの色彩が人間の組織を活性化させる事実は海外でよく知られている。
色彩の中でも特に人の心を癒す色というものが在る。それはブルー。淡いブルー。
「緑かと思ったぜぇ…。ハズレかよぉぉぉ…」という人、たくさん居るかも。
確かに樹木の緑は人々を和ませる。癒す。
しかし、同時に不安を与える要素も兼ね備えている。
ハリウッド映画の宇宙人系は緑色が多い。超人ハルクも。ジム・キャリー主演のマスク、なんてのもそう。
たまたまではなく、色彩心理学では緑を未知なる謎、不可解なものへの憧れ、極端に飛躍した個性の意思表示、
と位置づけている。
奇抜なアイデアや考えにとらわれているいる時、
緑に惹かれる。
クリスマス・プレゼントの定番包装紙といえば、赤プラス緑。
これは人に胸騒ぎを起こさせる効果を持つ組合せと言われている。
そうなのかあ~、胸騒ぎなんてクリスマスにピッタリじゃないですかあ!。
胸騒ぎって、いいこともあるし悪いことも。その不安パーツを受け持っているのが緑ってわけ。
赤は競争や闘争。嫉妬ムラムラ、
ワインレッドまでトーンが落ちれば嫉妬度数は最高潮。
闘牛士のムレータ(手に持つ赤布)見れば分かるよね。つまり癒しの要素はかなり低い。
黄色、特にレモンイエローではなくて真っ黄色。
これは突拍子もない気分の時に大ウケの色。
羽目外しまくり、ドンチャン騒ぎ、こんな時に黄色を見ちゃうと拍車かかりまくりのフルスロットル!。
茶色は思慮深い落ち着いた色。
先生がコレ来てると生徒は安心、落ち着きやすいと言われる。
人はじっくり考えたい時、アイデアを模索する時、この色に惹きつけられる。
紫は精神状態を操る(あやつる)クセ物。
位の高いお坊様の紫ケサは崇高な気高さを意味するし、
赤の目立ちたがり屋さんと青の夢見がち屋さんが混ざって出来た色だけに、
心の複雑な葛藤を内包している。
青は夢見る夢子さん。さわやか、清純、不完全、希望。
だから青空見上げりゃ心も晴れる。明日を感じる。
青春も青い春。つまりはそんな意味。
青が淡ければ淡い程、その意味合いは強くなり、濃くなればなる程、それは遠のく。
だって黒に近づいていくから。
暗い群青色は油絵具ではインジゴと言って、とっても繊細で邪悪な色。
この絵具を使いこなせる中世の画家は、さほど多くはなかったという。
黒。現在、世界中の都会人に好まれている色。
特に衣服で多用。全てを隠す、開示しない、暗黒の意味。
白。まっさらで白紙。
偏見なしかと思いきや、不純なものを許せない気分に。
厳格さを重んじる気分の時に強く惹かれる。
正義の忍者ガッチャマン見れば分かるよね。
聖歌隊の子供達の服だとか、
ルールが全てのスポーツマンのイメージ。
灰色。子供が最も関心を失う色と言われている。
何となく分かる気がしちゃう。遊び気分を除外する色だからこそ、
サラリーマンの背広だとか作業服に多用される。
マジメなイメージはあるけど人をションボリさせる面もあるよね。
これらの色彩心理学データをもとに、少しずつ間接灯のコレクションをしてみては如何だろうか。
「茶色の部屋灯?。見た事ないぞ!」
確かに。
パラフインでもセルロイドでも、布でも紙でも、
色々な色を白色灯に巻いたり、覆ったり、
色々工夫すれば宜しいのでは。(ソレらが熱い電球に直接触れないようご注意)。部屋がムーディーになるだけではなく、気持ちが落ち着く、癒されるだけではなく、本当の目的は自分の心を豊かに育む(はぐくむ)こと。
豊かに?。具体的に!。
人の気持ち、思惑、が前よりも鮮明に見えてくる程に
心が成長を始めるということ。
相手のことだけではなくって、ア、あの時、私ってこういう気持ちだったから◇◇だったのか、
なんて自分の心の姿勢まで見えてくるようになる。
花には水を。緑には太陽を。これに加えて人には愛を。
愛には間接灯を。
◆写真タイトル / おめかし (写真下は薄生地スカーフをかぶせる前のスタンド)。カモノナカ自宅にて。2点共。